80歳のジジ放談、パソナが33億円の「コロナ利権」を手にした手口
頭の良い人には敵いません。どう頭をひねればこういったことを考えつくのか。私も色々と知恵を巡らせ、日々の暮らしのために「全宇宙を治めるほどに頭をふり絞っている」のに、思いつかないのです。パソナの手口を明石市(兵庫県)の泉市長が解き明かしてくれていました。(デイリー新潮・3月10日)
「関西地方で発覚したワクチン接種コールセンター業務での課題請求問題。その額は10億円超にも上るが、業務を請け負ったのはあの“政商”率いる人材派遣大手のパソナグループでーー」と書き出した記事は、
「濡れ手で粟の大儲け、のはずだった。2月10日、大阪市枚方市で明らかになった今回の過大請求問題について、経緯を取材したジャーナリストが語る」
と続いている。
パソナといえばあの竹中平蔵氏を思い出してしまう。新自由主義を唱えて、「若者には貧乏になる権利がある」との賜った人。
「自分で貧乏を選択したんだから、自業自得」で「それはあなたの自由な選択だが、お願いだから成功者の足を引っ張るのだけはやめてくれ・・・」
と言っていた人。自分は成功者の1人なのでしょうね。
それはともかく、過大請求で国からお金を(騙し取って)契約金以上に受け取ったのがバレてしまったのでした。通常の業務をしているだけで(嘘をついて行政や国を騙し、課題に請求しなくても)会社としては立派に事業になっているわけで、コールセンターの仕事をもらえなかった事業者は世の中にゴマンといるわけです。バレないと思ってやったんでしょうね。他の事業でバレずに上手くいったからなのかと疑いの目を向けたくなります。それで、手口ですが、
「枚方市ではワクチン接種のコールセンター業務をパソナに委託し、さらにパソナがエテルという会社に再委託していました。が、昨年11月、オペレーターが100人勤務しているはずのところ、実際には3分の1しかいなかったことが分かった・・」
エテルという会社になぜ、直接仕事が回らなかったのか、という疑問が最初に来ます。なぜパソナが選ばれたのか、また、パソナは自分で仕事をせずになぜ下請けに丸投げ(中間で中抜き)したのか。こんなことは国や自治体の事業では当たり前になっているのか?なぜそうなのか・・説明後欲しいところです。
「・・・他に吹田市、兵庫県西宮市でも同様の事例が発生していました」
「この業務を請け負い、管理していたのはパソナに他ならない。この2年でパソナが3市から委託された業務の総額は33億円にもなります。枚方市の場合、再委託の際のパソナのマージンは12%、他市も同様・・」
誠に情けなく、残念な日本の実態です。これが「成功者」の論理で「貧乏を選択した人は成功者の足を引っ張らないでくれ」という理屈になるのでしょうか?日本人が長く心の支えとしてきた「武士道」や「侍の心」は失われ、「恥の概念」もなくなり、人を騙しても金を欲しい・・・のかと浅ましさを感じてしまいます。それもコロナという世界的な感染症に絡んでですから、余計に悲しくなります。
では、「なぜパソナは地方行政にここまで食い込めているのか」を記事はレポートしています。パソナ(を率いる南部靖之代表・71)は自社の迎賓館に大物政治家を接待し、政界と強い結びつきがある・・経済財政担当大臣も務めた竹中平蔵氏を2007年、パソナに招聘した・・」
とパソナと政治家との強い関係を述べています。経済界と政界との構造的な癒着でしょうか。日本の屋台骨が腐りかけてきています。特に地方自治体との関係構築に落選した国会議員が使われている経過を明石市の市長が報告しています。
「パソナが長年にわたり、政治や行政と大変濃い関係を形成し、利益を得てきたのは明らかです。コロナに限らず、自治体に食い込んでいる・・・」と。
記事は次のように言っています。
「落選議員を鵜飼いのごとく使い、多くの事業を獲得してきたパソナ」と。
(このネット記事は「週刊新潮」2023年3月9日号掲載記事をもとにしています)
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