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80の壁を乗り越えたら、・・積み立てた年金保険を取り戻すにはどうする?年金改革(その2)
積み立てた「年金保険」を取り戻すにはどうする?
年金支給の計算がややこしすぎて、老人の力では計算できませんから、年金機構の送ってくる数値(自分の年金額)が正しいのかどうかの検算ができません。年金機構はかつて、大規模なミステイク(原本への記入・入力ミスをしていますし、年金支払い者の確定ができなくなった多くの事例を抱え込んでいました。私のところへも何度も問い合わせのレターが届きました)がありましたから、「間違いはございません」と言われても、なんだかなあ・・・ですね。
しかし、だからと言って年金の積み立て総額を把握できないわけではありませんし、支給額の概要は把握されています。手元にある数値を総動員して(?)推計することは可能です。今日は支払額、受け取り額を計算し、「年金制度改革案」の提案に結びつけたいと思います。
(1) 積み立てた保険金
仮に私の収入が日本の給与所得者の平均(年収で443万円)であったとしま
す。この数値は508万円も発表されています。(国税庁・2022年。この数
値から平均値を算出すると給与所得の平均額は月42万3000円となります)
月額の平均は37万円になります。受け取りぶんは月額14万円が全国平均で
す。ただし、508万円をベースにすると年金保険料はさらにアップします。1、積み立てた保険料=37万円×48年×12ヶ月×9.15%=1,950万円
(私は22歳から70歳まで保険料を払っています)
2、受け取り年金=14万円×7年×12ヶ月=1,176万円
(私の場合は72歳まで働き、それまでは年金停止措置を受けていました)
3、残高=(1,950万円―1,176万円)÷14万円=55.2ヶ月
(55.2ヶ月÷12ヶ月=4.6年、80歳+4.6年=85歳)
積み立てた分を受け取り切るには少なくとも85歳まで生きなければ取り戻せません。その前に死んでしまえば保険金は寄付金になってしまいます。
(2) 積み立て保険金の利息
積み立てた保険金(1,950万円)には通常利息が発生します。
仮に年1.0%の利息だとして(福利計算はできませんが)、
1,950万円×1.0%=19万円
これは受け取り分に上積みしても良いのではないかと思います。
(3) 会社支払い分
年金保険には会社も保険金を同額(1,950万円)払っています。
「年金保険は個人と会社が折半だ」という人がいますが、正確な表現ではないと
思います。
会社が支払う保険金は「福利厚生費」という科目に計上されますが、これは給
与・賞与などと同じ「人件費」に分類されます。
社員の年金保険を会社が負担するのは、法人としての福利厚生費用で、仕事・雇
用に当然付随しているものです。会社に通勤するための「交通費」を会社が交通
機関に支払うことと趣旨は同じです。「年金保険金を折半している」わけではあ
りません。
私のように自分のお金を出資して、自分の会社を設立し、会社負担分の社会保険料(福利厚生費)を自分の会社から支払っていたような場合には、気持ち的に会社負担分も自分が払っていたと同じ内容で受け止めてしまいます。会社が払う保険料も自分や従業員が働いて稼いだから払えるのであって、天から降ってきたお金ではありません。汗と血が染みたお金、人件費です。
ここで仮に個人負担分と会社支払い分とを合算してみます。
個人支払い分+会社支払い分=3,900万円
3,900万円÷14万円÷12ヶ月=23年3ヶ月
80歳+23年=103歳まで生きないと全額を手に取り戻せません。
これが日本の年金制度の実態だと思います。
「現役世代(四人)が年金世代(一人)を支えている」という考え方は矛盾に満ちています。この実態を踏まえて、日本に住む「いち年金生活者」が老いて豊かに暮らせる「年金制度改革案」を提案いたします。
〈表紙の写真は友人のヘリコプターに同情した時のものです〉
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