神田川・秘密発見の旅 後編41 秋葉原から浅草橋へ・・旅の終わりが近い
後編41 秋葉原から浅草橋へと進んでいく
旧万世橋駅ですっかり毒気を抜かれ、ぼんやりした気分で浅草橋を目指して歩き始めた。高いビルが神田川の縁まで迫っているから、川沿いには歩くスペースがない。途中、ビルの駐車場があれば無断で立ち入って川を眺めるが、こそこそしていて何とも情けない。
しかし、ここにも発見はあった。川沿いに何軒かホテルがあるのだ。
万世橋から柳原通りを少し歩いたところにヴァイン秋葉原があり、柳森神社を越えると昭和通り(和泉橋)に行き着く手前にホテル・リソルとスーパーホテルの2軒がある。神田川の反対岸には秋葉原ワシントンホテルもある。客は戻りつつあるようで、ホテルリソルには若者5人が入っていくところだったし、スーパーホテルには中年の男性が一人で入って行った。
ホテルの部屋からは神田川を眺めることができるだろうと想像しながら昭和通りが通過している橋、和泉橋まで歩いた。交通量が多く、道幅がワイドな昭和通りは「昭和通り口」の信号まで行かないと横断できない。
通りの上に首都高1号線が乗っていて、その桁下に細長い陸橋が設置されていた。陸橋で昭和通りを渡った。昭和通りはつまり、車の流れる水のない川なのだ。
渡りきって、歩きを神田川左岸に変更。
神田佐久間河岸を右手に・・、
と言っても河岸はビルに遮られて見えないのだが、
しばらく行ったところが美倉橋。
ビルに責め立てられた川は隅田川までの最後の旅に近づいていた。
川は何も言わない。
ビルの谷を抜け、ゆっくりと流れて行く。
神田川を吉祥寺池から歩き始めたのは2020年10月25日。2年半が過ぎていた。
両国橋が見えるのはあと1キロ先で、この川旅も残すところあと1日か、せいぜい2日だ。なぜか行き着きたくない気持ちが湧いてくる。「終わる」ということは年令がかさんでくると達成感や満足感より寂寥感の方が重たくなって、変に悲しくなる。川がいつまでも終わることなく、絶えることなくずっと続いていてほしい。そんな気持ちが湧いてくる。