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神田川・秘密発見の旅 後編25 伝通院から水道橋・金毘羅宮へ
後編25 伝通院から水道橋金毘羅宮へ
ここを訪ねる気になったのは「仙台堀」を書き終えたからで、徳川家康が、秀忠が、家光が徳川3代に渡って発したお手伝い普請とそれを受けて立った伊達正宗、忠宗、綱宗の仙台藩・3代の苦心を知ったからだった。そうでなければここまで足を伸ばさなかっただろう。
伝通院を一巡りし、来た道を戻る。
途中、春日通りに出て、東京ドームの横を通り抜け、JR水道橋駅に戻った。春日通りの名は、現在の文京区役所の場所に家光の乳母「春日局」の屋敷があったことから付けられたという。
(神田川船の会・東京グリーンクラブ冊子 03-3615-5565)
水道橋交差点の脇に、都立工芸高校のビルが見える。今回はそのビルの裏に回って、金毘羅宮を見て来ようと思っていた。都立工芸高校の敷地は、かつて松平讃岐守の下屋敷跡だったことは先に触れてあるが、あれこれ資料を見る内、裏手に讃岐の金毘羅宮・東京分社があることを知った。この辺りは江戸の面影を残す史跡や名称が多い。
裏手に足を伸ばした甲斐があったというか、このお宮さん、社殿や鳥居より目についたのが「料金表」だった。
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「御祈祷・ご祈願の初穂料、5000円」が本殿の左手の柱いっぱいに貼られていた。黄色地に黒の文字は目立つし、その看板の最上部に金毘羅さんのマーク「○に金の字」が赤で書かれていたのも気に入った。社務所の窓口には立派な板に墨書きされた大きめな料金表が掲げられ、ご神札・初穂料「大木札20,000円、中木札10,000円、小木札2,000円、交通安全守1500円、袋肌守(大)500円、袋肌守(小)500円、学業成就・兼合格祈願守500円、えんむすび守500円、安産守500円、えと開運守500円。他に、幸福の黄色いお守り受け付けます」とあって、ガラスケースの中にお守りのサンプルが5種類、木札のサンプルが4種類飾ってあった。交通安全から、えと開運のお守りまで全部買っても4500円。これを全部身につけて歩けばかなりの範囲をカバーできる。
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鳥居をくぐって出ようとするところへ、一人の中年の男性が入って来た。
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こちらには一暼もくれず、まっすぐ社殿に向かう。正面を見て静止。
手を打って拝礼。頭を垂れて一心に祈り始めた。何を祈願しているのかは想像もつかないが、大事なことを祈っているのだろう、真剣さが背中に出ていた。
日本は今、文字通り神に縋りたいほどに「苦難の時代」、「苦しみの時代」に入っている。自分は力一杯努力をしている、しかし、思いの丈に至っていない。報われていない。目に見えない何かが不足している。そこを補ってくれるのが○金マークの金比羅さんだ、と考えても無理はない。