神田川・秘密発見の旅 後編31こんな集団見たことない! 宗教の偉大な力をそこに見た
後編31 こんな集団を見たことない! 宗教の偉大な力!
しかし、拝殿建物の外、左手脇に立つ7人の固まった群像には驚いた。かなりのショックがあった。一群は拝殿の正面を避け、縦に格子を並べた連子窓から拝手し、内部に向かって祈り、首を垂れていた。年寄りの群れではない。30代、40代の年齢層に見える。性別も関係なさそうだ。
肩が触れ合うほどに密集して2列に整然と並んだ7人は、完全に無言の集団で、脇にブルーの旅行カバンを置いている。
神田川の川歩きをしてきて、幾つかの神社で拝礼する人々を見てきたが、
この一群の7人は全く異質だった。長い祈願の時間が過ぎ、背中を15度に傾け両腕をまっすぐ伸ばして腰に当て、首は垂れ、長い礼拝に入った。誰も微塵も動揺がない。7人は全く一つの塊になって一体化していた。拝殿の正面を避け、櫺子から拝礼する姿は尋常ではなかった。誰が見ていようとも、周りで何が起きようとも気が逸れることはない強烈な意志が一群の塊から発せられていた。
急に感動が突き上げてきて、しばらくはその姿から目を離すことができなかった。あまりにも強烈だった。
この神社には恵比寿・大黒神が祀られているそうだが、パワーを持っているのは平将門で、将門の命となって祀られている。将門の首塚が千代田区大手町の三井物産ビルの下にあるが、この首塚は神田明神の管理下に置かれ、
「毎年9月に神田神社の奉仕により将門塚例祭を斉行しております」
(崇敬会機関紙第75号)とうたっている。
京都で処刑された将門だったが、首は空を飛んで関東の地に来たとの伝承もあるそうだ。太宰府に流された藤原道真、隠岐に配流となった崇徳天皇と併せて将門は日本三大怨霊といわれ、恐れ崇められている。首塚のある場所は老中酒井雅楽頭忠清の上屋敷地跡で、仙台藩・原田甲斐が刃傷に及んだ場所でもある。
何か因縁めいたものを感じてしまう。
一心不乱に拝礼していた一団は将門の1300年にわたるパワーに何かを見出しているのだろうか。げに、信仰心とは凄まじいものだ。