いのちの初夜を再読する

確か、むかし読んだ覚えがあるのだが…いのちの初夜をまた読んでいる。

というか、忘れている。
チエホフの6号室かもしれない。

ハンセン氏病や結核は死病と恐れられていた。

見た目が崩れていく様は、結核とは違い悲愴感が違うし、異界の出来事のように思える。

世の中...現世から隔離された状況は、またひとつの世の中を作り出している、ようにも見えた。

描写が特効薬のない時代にあっては、運命的な生殺しを想起させるし、ある種の現世から離された、あの世(かくりよ)でもある。

この場合、出てくるのは、忌避的な現世からの捉え方だろう。

実はいのちの初夜の特集をドキュメント出みていたのだが、クッション性が効き、一般向けにされていた。

個人的に読むと番組とは違い、気になる部分が特に気になり、より不気味にも思えてくる。

ダークな面がやたら見えてくるし、作品を通して個人的な感じ方を体験できる。

さきほど、ハンセン氏病病棟ですら、ひとつの世の中である、みたいに書いた。
人間が集まれば経済や面倒見たりと、それだけで社会になるようだ。

筆者の描く観察記には、実に人間についての妙が描かれているし、もの事の本質も透徹した目で見ている。

死にゆく病に冒されないと、理想や綺麗事の価値のなさが出てくるらしい。

気休めで掛けられる言葉でさえ、死というもの、周りの患者の風貌崩れながら死ぬのを見れば、どう悲惨に死んでいくのかがわかる。

最後まで読んでまた感想を書いてみたい。

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