世の中難しのは❷


司馬遼太郎か池波正太郎のどちらかが、この国は土建屋の国になってしまった、と嘆いていた。

ハコモノは建ればカネになる。

都心の再開発の流れは、壊しては建てるの繰り返し、リニューアルで新奇性が出てくる。

終わらない不況や格差のなかにあっては、昔のようにゴルフ場を造るとか、大規模なものはなかなかないが、それでも稼ぎ方としてのリニューアル工事や建設は、今日もどこかでなされている。

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産業医の日常についての本を読んだ。

真っ当で、常識的な方だった。

彼を通じて会社にいれば、余程のことがない限り、クビになったり辞めたりしないだろう。

問題は人事と産業医がタッグを組んで、従業員を過剰に管理することだろう。

マイクロマネジメントといわれる、最近目にする過剰な管理である。

たとえは悪いが、埼玉の中学で血圧や心拍でやる気があるかないか?を計る装置で、生体を客観化することがあったが、あれはプライバシーもありやり過ぎである。

生産性を高めるためには、何をしてもいいというのはよくない。

大義名分が怖いのはこのことだ。

最近の「悪」が怖いのは、良いと思われることが平気で、個人の内側に入りこむことにある。

〇〇のため、を称しすれば何をしてもいいだろうという、やり方の悪用、乱用である。

四半世紀前に河合隼雄が、次は管理社会になる、といった予言の的中である。

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売るためには相手がなくてはならない。

客が何を望みそうか?を予想しなければ、ならないし、見向きもしないようなものがあっても、どうしようもない。

売るために書くものが歪んでくる、と言うのはある。

まともだった物書きが、最近変なことを書くようになるのも、そのサインであろう。

いや、物書きに限らず、科学者やアーティストだってそうだ。

言うことやることは理にかなっているのだけど、党派性が出てきたり、都合の良いことしか言わなかったり、というのは疑った方がいい。

しかし、結局は人間である。
神仏でもないし、完璧にはいかないゆえ、様子を見ながら、軌道修正できるか待つしかない。

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