1/6 『自意識とコメディの日々』を読んだ
よくおぎやはぎやバナナマンのラジオに一緒に出ていて話してるスタッフさん、というのが著者を知る最初のきっかけと印象だったかな。その後、好きなバラエティ番組のスタッフロールなどに名前があるのを見かけて、結構な人なんだと思ったり、第3のバナナマンなどという肩書を聞いてスゲェんだなと思ったり、なのにラジオじゃすげーバカな話かくだらないことしかしてないんで一体どういう人なのかなかなか実態が掴みにくい放送作家(最近は佐久間宣行ANN0などによってそうでもないけど)、その自伝にして、彼の周りで輝き続ける芸人たちの列伝でもある。
まえがきで言われている通りやはりいちばん気になるのはバナナマンをはじめとする「周り」の方ではあるんだけども、しかし読んでみればオークラさんの現在に至るまでの青春の足跡もとても面白かった。お笑い自意識過剰だった、なんて自虐めいた言い方をしているけど、まだ何の芽も出ていないような時期から「さまざまなカルチャーが融合するコントライブを作り上げる」という目標を掲げ邁進し続けているのは素直にすごいと思える。そうやって現在は着々と実績を積み上げているわけだし。
ゆいいつ言えるとしたら、細雪の相方Aさんを元コンビから略奪したり、そうしておきながらコントユニットの作家としての活動に熱中してコンビとしての活動をおろそかにしていたあたりなんかは、確かにお笑い自意識が熱さゆえにほとばしりすぎていたのかな……なかなかなことをしている。まあこれは本人だけの述懐ではわからぬこともあるだろうし、いつか当時そこにいた他の人たち、バナナマン設楽とかバカリズムとか東京03飯塚などが自伝を出したときに、当時の傍から見たときのオークラさんがどんなであったかというのを聞いてみたい。
放送作家として本格的に活動しだしてからの話も面白かった。つっても半分くらいは既にラジオなんかで聞いてた気もするけど。でも東京03の単独公演でやっていたあのネタ、僕も実際観に行っていた公演のネタが、まさかオークラさんの私コントだったとは。この本の中では触れられていないが、演者の人生や人間性そのものをコントに仕立てた「私コント」というのもオークラさんはやっていて、ひょっとしてあれも「さまざまなカルチャーが融合するコントライブを作り上げる」の一環であったのかなと今なら思える。
昔から抱いてきた夢を今まさに着々と形にしていて、そして今後さらに発展させていっているのだから、やっぱりとんでもない才能なんだろうな。バナナムーンじゃアホなことしかしてないけど。今後も面白いコントをよろしくお願いします。