【モダンマリーザ_02】プラチナ1〜3まで
【前段】
プラチナがこのゲーム一番のボリュームゾーンだそうです。中級者になろうとする初心者が淀のように溜まっている層と言えるでしょう。連勝ボーナスも無くなり、実力でこのプラチナ帯を抜けられるかどうかが、殆どの人の一旦の目標になるのではないでしょうか。
プラチナ3までは正直、ゴールドの延長で昇格していきました。苦戦しつつも勝率は45%ほど(時間さえかければ確実に昇格できる勝率)を維持しながら、プラチナ4の目前までいきました。
【突然のスランプ】
しかしながら、プラチナ3の時点で未だに手癖オンリーで戦っていたため、「何で勝ったのか?」「何で負けたのか?」がはっきりとしていない状態でした。
そこで思い立ち「一度、このゲームの基本を改めて押さえて、しっかりとロジカルにやってみよう!」とプレイスタイルを新たにしてみました。
ただ、それが長い停滞、有り体に言えば地獄の始まりだったように思います。「認定戦〜プラチナ3」までは1ヶ月ほどのスパンでテンポよく昇格していきましたが、プラチナ3からプラチナ4に上がるのに、同じ1ヶ月を要しました。
それまでの昇格ペースからすると明らかな停滞です。この時期の勝てないストレスたるや尋常ではなく、「格ゲー向いてないのかな?」とか「モダン操作だから火力が低くて負けてるのか?やっぱりクラシックのベテラン勢には勝てないのか?」とかなり色んなことを考えました。
そのスランプを抜けた今は、この時期があって良かったなと思うのですが、渦中にいる時は「なぜ娯楽でこんなストレスを…」という思いが強かったように思います。
【スランプの原因】
これですが、理由は結構はっきりとしています。
簡単にいうと「状況の解読方法が分かっていなかった」からです。これは色んな過程をぶっ飛ばした結論なので、それに至る道筋を順次説明していけたらと思います。
◆対応型のプレイスタイルへの遷移
プラチナ3までは徒にブンブンと技を出し、その勢いで圧倒できた時は勝つし、戦いのセオリーを知っている相手にはガン処理されて負けるというのがパターンだったように思います。
そこでまず「このゲームの基本を押さえよう」と改めて考え、「相手の動きをしっかり見て、それに対応できるようになろう」と思い立ったのでした。
しかしながらここで問題が起きてしまいます。
「対応型のプレイは常に一手遅い」という事です。その結果、対応しようとしている事は全て間に合わないし、仮初ながらも持っていた攻めの勢いを失うことになりました。これは相手からすると全然攻めてこないのに、こちらの攻撃は全部通してくれるという雑魚の出来上がりです。
ここで勝率が一気に落ち込みました。35%ほどだったと記憶しています。ランク降格のセーフティーがあったからどうにかプラチナ3を維持できていたものの、勝率だけで言えば確実にプラチナ1まで下がっていたと思います。
◆課題と感じていた部分
・対空が出ない
・インパクトを返せていない
・ラッシュに反応できてない
・気がついたら相手の中足が刺さってラッシュをかけられている
・距離を離された時、脳死でファランクスや飛びを出してしまう
・壁に追い詰めてもドライブインパクトを返されたりジャンプで簡単に抜けられてしまう
・しゃがみガードが漏れていて、油断で下段を喰らっている
正直どれも基本の部分ですね。マリーザの強みを活かすとか相手のキャラ対策をするとか、その一歩手前の話です。そしてこうした基本の部分が出来ていないと感じたからこそ、「改めてちゃんとやってみよう」と思ったのでした。まあそれがとんでもないストレスの始まりではあったのですが…
◆もみくちゃにされる脳内
特に対空などは「いや相手が飛んだら出せよ」と他ならぬ自分自身が思っていたのですが、どうにも上手くいきません。
単純な反応の遅さもあったかも知れませんが、飛びを見ていたら全く相手が飛んで来ずドライブインパクトを食らったり、ラッシュをしかけられたりします。そうして別の事に対応しないといけなくなると、飛びへの意識が消えて対空が出なくなります。
そうして段々悪循環に入っていくのです。まず意識が前回失敗した部分にいくので、「次の試合は対空だすぞ!」となります。ですがそれ以外の要素がすっぽ抜けているので、相手からすると「飛び以外は何でも通るぞこいつ…」となります。
そうするとこちらは一生懸命に上を見ているのにも関わらず、当の相手からするとそもそも飛ぶ必要が無い状況になり、思う存分地上戦をしかけて勝利をもぎ取っていきます。
そうなると今度は「対空は一旦無し!地上戦だ!」となる訳ですが、今度は対空意識が無くなるので相手はジャンプし放題になります。これらを繰り返して「対空出さないと!→→→インパクト返さないと!→→→ラッシュ止めないと!→→→中足気にしないと!」が試合ごとに移り変わり、その分、意識が薄くなったところを相手に通されて負けるという無限地獄のような状態になりました。
◆なぜこれらに対応できていなかったのか?脳のリソースの限界と意識配分
自分が各項目に対応できていなかったのは、訓練不足などもありますが根本的な部分でいくと「あらゆる場面で、あらゆる事に対応しようとしていたから」でした。
・対空
・ドライブインパクト
・ラッシュ
・突撃技
・中足
・弾
気にしないといけない項目はたくさんありますが、これらをあらゆる場面で同時に見る事はできません。残念ながら、人間のワーキングメモリーはそれほど優秀にはできていないのでした。その脳内容量的にできないことをやろうやろうとして、毎度脳みそが焼けついていたというのが最大の原因だと思っています。
ではどうすれば良いのか?
ここで最初の話、「状況の解読方法を知ろう」という部分に繋がってきます。
さらに言えば前提として「あらゆる場面で全項目を気にすることは出来ないが、同時にあらゆる場面で全項目を気にする必要も無い」のです。
要するに状況に応じて気にする事を絞る・切り替えるという事になります。
◎画面端から見る状況解読のコツ
一番これが整理しやすいのは画面端かと思います。
①注意項目01:ドライブインパクト
画面端で一番気にしないといけないことは「ドライブインパクト」ですね。
壁ドンから一気に2000〜3000ダメージ、SAも絡むとそのままリーサルもあり得ます。追い詰めた側も追い詰められた側でも、一番意識しないといけない点でしょう。
特に追い詰められた時には最大の警戒をし、指をそっとドライブインパクトボタンに置いておきましょう。何なら柔道も全て受け入れる覚悟で、もうそれ以外の項目は一旦捨ててしまっても良いかも知れません。ですが多分これだけで反撃率がぐっと上がるはずです。
②注意項目02:飛び
その次に気にしないといけないのは「飛び」になります。
特にこれは追い詰められた側の意識としては顕著でしょう。いつドライブインパクトが飛んでくるかも分からず、後ろに下がって様子見も出来ない画面端はとんでもない窮屈さです。
すぐにでもジャンプして入れ替わりたいというのが人間の自然な心理ではないでしょうか。
そして追い詰めた側としては、絶対に飛びを阻止して画面端で封殺したい状況です。あえて密着せずに、すこし後ろに下がり迎撃状態を作るのが良いかと思います。
要するに「ほら飛びたいだろ?脱出したいだろ?」と相手のジャンプを釣り出すモードに入るという事ですね。そしてその状況に対して、堪えられないプレイヤーならば手癖で飛びを出してきます。
予め意識を作っておく事ができれば、比較的容易に対空処理できるでしょう。
③画面端まとめ
つまり画面端という状況は「ドライブインパクト」と「飛び」をメインの2項目として意識を割くべき場所です。
・「ドライブインパクトで押し込みたい/押し込まれたくない」
・「飛びを通して逃げたい/飛びを落として逃したくない」
を基準として、読みが発生する箇所と言えます。
ですがこのセオリーを把握していない場合、「苦しい!」と思って手癖で出した飛びは、実は自分の意思で出したものではなく「相手に出させられたもの」になります。そしてそうした行動は往々にして相手に刈り取られるという訳ですね。
そうした前提を踏まえつつ、数多ある項目全てを均等に注意する事はできませんが、分かりきった2項目なら対応できそうではないでしょうか。
あとはこの「状況に応じて何に意識を配れば良いのか?」をパターン整理していけば良いのです。
たとえば端ではなく、画面中央での駆け引きの際には不意のドライブインパクトはそこまで警戒する必要は無いかと思います。ガードさえ間に合えば、多少ラインが下がって終わりになるからです。
それよりも相手の牽制技や生ラッシュなどに意識を割くべきでしょう。他にも気にする事はあるかも知れませんが、大事なのは「一つでも項目を捨て去って脳の負荷を軽くする」という点です。
◆回路の大改築
さて、「ストリートファイター6というゲームの解読の仕方そのもの」の基本を自分の中で整理できた時、一気に勝てるようになったか…というとそうでもなく、暫くは芽が出ませんでした。
というのもそれまで何となくの手癖でやっていたものを、急にロジックで構築するようになったので、今まで通り動かせなくなっていたのです。
上述の「対応型のプレイスタイルは常に一手遅い」という話に繋がってきますが、思考が脊髄反射のスピードに勝てる訳がないのです。状況の読み取りはできた、ただ反射でそれに対応できないという期間がしばらくありましたが、自然とそれは改善されていきました。
脳内回路が構築され切る前は、どうしても脳と手の間にラグがあり、回路がカクついていた感じでした。しかし適度な睡眠を経て、それらが統合されたのでしょう。ある日突然、対空アッパーやインパクト返しが反射で出るようになりました。
きっとこれからもこうした体験をするかと思います。新しいことを取り入れて、今までの回路を作り直す時、人間はどうしても停滞したり落ち込んだりするのです。ですがその落ち込みが強ければ強いほど、大きく人間の回路は改善されてぐっと前進する事ができるのだと思わせてくれる出来事でした。
【スランプの脱出】
こうした経緯を経て、一旦自分なりにコツを掴んだ時、するんとプラチナ3を超えていく事ができました。
それまで勝てなかった相手に勝てるようになったり、負けたとしてもどこで負けたのかが分かる「良い負け方」が出来るようになったのです。
それまで3週間ほどプラチナ3で停滞していたものの、「あれ?なんか勝てるな?」という日が不意に来て、そのままその日のうちにプラチナ4へと上がりました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?