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就職面接のアピールと映え

自分はデジタルハリウッド大学のゼミを受け持っているが、3年の後半から授業が始まるので、ほとんど就職活動真っ最中の学生を受け持つことになる。今回は自分のゼミ生の話でもなく、デジタルハリウッド大学の学生の話でもなく、まったく別の知り合いから聞いた話。

この春大学4年生になる娘さん(Aさんとする)は、現在化粧品メーカーを希望している。
Aさんは、自宅にほど近いスーパーでアルバイトをしているそうだ。鮮魚売り場を担当しており、仕入れた魚をさばくなどして準備することも担当している。
そんな準備があるため、Aさんはほかのアルバイトに比べて朝早くからの出勤になるというのだが、特に嫌がることなく、坦々とこなしているという。しかも、魚を柵にする仕事も、三枚におろす仕事も、自分で包丁を持って作業しているそうだ。鮮魚売り場の寿司も彼女が握ることがあるそうだ。昨今の大学生ではなかなか珍しい技術を持っている。
Aさんの仕事はそれにとどまらない。そのスーパーにはトイレが施設内になく、仮設トイレが駐車場近くにあるだけとのこと。アルバイトは月に一回
仮設トイレの掃除当番が回ってくるので、汚物処理などを行っているそうだ。
アルバイトの経験なんていろいろあると思うので、彼女が特別素晴らしい経歴かどうかはそれぞれだが、少なくともAさんがほかの人から見ても大変そうだったり、嫌だなと思うことも続けることができる人物ということがわかる。

ところが、Aさんはこのアルバイトの経歴の一切をエントリーシートに書いていないということだ。
エントリーシートには、海外の語学留学の経験や、サークルなどの実績だけを、できるだけ見栄えの良いものだけ記述しているそうだ。

最近も某社の面接を受けて落ちてしまった彼女に言いたいことは、会社は、そういう映えない仕事をきちんとこなすことができる人に興味がある。なぜなら、化粧品会社だろうと、なんであろうと、きらびやかに見える仕事の大半は泥臭い仕事に支えられているのだから。
なので、自分の実績のきらびやかな部分を見せられても、よほど突出したものではない限り、興味を持たれないということ。

Aさんの父親である私の友人も同じようにアドバイスしようとしたそうだが、悲しいかな父親の意見は「うざい」らしく、聞く耳を持たないそうだ。

もうちょっと、社会経験が必要かもしれない。

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