宴で終わるな、ドレスローザ
僕、女性キャラで”レベッカが一番好き”と言っても過言ではないくらい好きなんですけど、それ故にドレスローザ編でちょっと納得できない所があるんですよね。
それは、”宴”で終わったことです。
ドレスローザ編は子分盃を含む宴で終わっちゃったんです。
「いやいや、ワンピースって毎回”宴”で終わってるじゃん!」とおっしゃる方…はい、半分正解で半分間違いです。確かにワンピースは物語の終わりに宴してますよ?でも、厳密に言えば宴で終わってないんですよ。
僕の好きなナミ編で言うと、宴はするものの、章の終わりはナミのシーンで終わるんです。こんな感じで大体は章の終わりに宴はするけど、宴のシーンでは終わらないんですよ。(アラバスタとかね)
いや、宴で終わってもいいんですよ?
ただ、宴で終わるのは”ここ”じゃない
ここは
”レベッカとキュロス”のシーンで終わるべき
だったと思います。
ドレスローザという国は、オモチャと人間が共存しており、傍からだと一見楽しそうな国に見えるのですが、この国のオモチャは本当は元々人間で、ドフラミンゴという海賊によってオモチャの姿に変えられており、変えられた者は皆から存在すら忘れられるという鬼畜極まりない闇が存在する国でした。
このドレスローザの物語は、コロシアムで戦う女剣士レベッカと、元「リク王軍」軍隊長キュロスを中心に進行していきます。
キュロスはスラム街で育ち、15歳の時に2人殺してしまうんですが、当時国を統治していたリク王の温情でコロシアムで100勝したら自由にしてやると言われ、結果的に3000連勝して国の軍隊長に任命されるという無敗の男です。
まあ色々あって、キュロスは王女スカーレットと結婚し、その間に生まれたのがレベッカです。彼らは世間では死んだことになっているので、ひっそりと丘の上で暮らしていました。
キュロスは「人を殺めているので自分の”手”は汚れており、純粋結晶でもある赤ん坊のレベッカには決して触れてはいけない」と考えていました。
だからレベッカを抱き上げるときは手袋をするという徹底ぶり。
キュロスは、人間だった時は生の手で触れたことがないので、レベッカの”体温”を感じたことがないんですよ。
その数年後、キュロスはドフラミンゴ達にブリキの片足のオモチャに変えられ、皆に存在や記憶、全て忘れられます。
それはスカーレットとレベッカも例外ではなく、「赤い花畑で待て」という約束を忘れてしまい、スカーレットは町に来てしまいます。
愛する者から忘れられ、しまいにはブリキのオモチャなので、”涙”も出せず、消えゆくスカーレットの”体温”すら感じられずに最期を看取ります。
そっからはレベッカとキュロスの二人きりになり、最初こそは嫌われますが、一緒に暮らしていく中でレベッカも受け入れ始めます。
ここの手を繋いでる場面、レベッカに「あったかい?」と聞かれ、ブリキの体だから温度を感じないはずなのに、「ああ、とても暖かい」と返しているところにキュロスの優しさを感じると同時に、「ああ、オモチャだからここでもまだレベッカの"体温"を感じれていないんだ」と”真に”レベッカに触れられていないことを思い知らされます。
そうなんです、妖精のレオ君が言う通りキュロスが救われないと、この国は救われないんです。
だから、人間の様に”涙”を流し、”体温”を感じられ、真にレベッカに触れることができたキュロスが描かれないといけないのです。
一方、レベッカは女剣士として殺し合いのコロシアムに出場するものの、母スカーレットの教えを忠実に守り、誰も傷つけないように刃のない剣で戦ってきました。
そう、誰も傷つけなかったレベッカの手はまだ美しいんです。
だからこそ、キュロスはレベッカに手を握ってもらわなければならない。
真っ黒に染まった”キュロスの手”が純粋で綺麗な”レベッカの手”によって握られ”体温”を感じた時、キュロスは”真に”救われるのです。
僕は尾田栄一郎ならここをしっかり描いてくれるだろうと、ワクワクしながら見てました。
結果、尾田先生はしっかりラストに描いてくれました。
ホントにありがとう。
ただ…!実際に読んでもらえばわかるのですが、
ここシーンはめちゃくちゃ小さい!!!マジですみーっこに小さく描かれてる。
正直もっと大きく、大々的に描いてほしかった!!!
二人はこれから本来のひっそりとした暮らしをしていくから、わざとこじんまりに描いてるのかもしれないですが、やっぱり少し悲しい。
そして、冒頭に言ったようにドレスローザ編はこのシーンで締めくくられず、宴で締めくくられます。
ルフィ達の子分達よりもレベッカとキュロスに思い入れあるからか、「ドレスローザの話しなんだからこっちが最後でしょ」と、どうしても思っちゃう。
「空は快晴、風は軟風、風車がよく回る」みたいな文言がこのシーンでは思いつかなかったのかな??尾田君
なんなら797話、799話、800話のタイトルのつけ方にも納得いってない。
797話”レベッカ”
799話”親と子”
800話”子分盃”
実際に読んでほしいんですが、全体的にう~んって感じなんですよね。
一例を挙げると、799話。
”親と子”っていうタイトルなので、「お、キュロスとレベッカの話しか?」と思って読んでみると、全然違う。
大半がルフィと藤虎が戦っていて、最後にちょろっと親子盃の話しが出てくるだけなんで、「いや、それなら797話のタイトルを”親と子”にした方が内容とぴったしじゃね?」と思ってしまう。
ドレスローザのラストは、ピースは揃ってるけど、なんか完璧にハマってない感が否めない。
もういっそのこと、797話~800話をおれに再構築させてほしい。
これ書いてて分かった。
たぶん、球場でヤジ飛ばしながら打順考えてるおっさんってこんな感じなんだろう。