Valorant ゲーム内の暴言・指摘等について
人間はゲーム中に認知負荷が大きいとパフォーマンスを発揮できないと言われています。認知負荷はフェイス(面子)を侵害されたときに負の感情を持つことで発生します。今回はフェイス侵害行為と暴言等の関係させて、暴言等が非効率であることについて説明します。
1.なぜ暴言を吐くのか
当たり前ですがイラついているからです。暴言を吐くのは男性が多いです。男性はもともと狩りをする文化を持っているため、戦う本能を持っています。そして戦いに負け続けることで、本能的に不満を抱きイラついてしまうのです。狩りをしない現代でもその本能は残っており、それを満たすために戦いの代理物であるスポーツやゲームをします。その際に負けてしまうと本能的な欲求が満たせないため、イラついてしまうのです。つまりゲームで負けて暴言を吐く(吐きたい気持ちを持つ)のは本能なのです。
2.フェイスとは?
フェイスとは欲求であり2種類あります。ポジフィブフェイスとネガティブフェイスが存在します。
(1)ポジティブフェイス
自分をよく見せたいと思ったり他人から認められたりしたいという欲求で、他の人と仲良くしたいという気持ちです。
(2)ネガティブフェイス
お互いの行動の自由を維持したいと思ったり、自分の領域に入ってほしくないと思ったりする欲求で、他の人に嫌われたくないという気持ちです。
この二つの欲求を満たせないときに人間は負の感情を持ちます。
3.フェイス(面子)侵害行為
暴言は相手のフェイスを強く侵害します。フェイスを侵害された相手は負の感情を抱き、認知がそちらに持っていかれてしまうので、ゲーム中のパフォーマンスが落ちます。フェイス侵害行為には段階があり、以下のようになります。下のほうがよりフェイスを侵害しない行為です。
(1)フェイス侵害の軽減をしない
暴言はここの上位に位置します。相手のフェイスを侵害を軽減する工夫をまったくしない行為のことです。例えば、セージに対してヒールを欲しいと伝えたいときに「ヒールをくれ。」と直接依頼してしまうこともこの段階となります。この段階は非常に相手に認知負荷を与えるので、行わないほうが良いでしょう。
(2)ポジティブポライトネス
ポジティブポライトネスとはポジティブフェイスを侵害しないように意識した行為のことです。仲良くなるために同調したりフランクに接したりすることが該当します。例えば、ゲーム内のVCで「ドンマイ!」や「まだ勝てる勝てる!」といった仲間を励ます行為はポジティブポライトネスの典型です。ポジティブポライトネスは、後述する力関係の差や距離感が余程遠くない限りは悪いことにはなりませんが、理想的な行為とは言えません。
(3)ネガティブポライトネス
ネガティブポライトネスとはネガティブフェイスを侵害しないように意識した行為のことです。相手に失礼をして嫌われないようにすることが該当します。例えば、銃をプレゼントしてもらったときに「ありがとうございます。」と伝えたり、ヒールが欲しい時に「ヒールをください。」と丁寧に伝えたりすることがこの段階に該当します。ネガティブポライトネスは力関係が距離感が遠い相手にどうしても直接依頼したいときに使う行為ですが、理想的な行為とは言えません。また、直接指摘はどんなに丁寧に行ってもネガティブポライトネスになります。
(4)非明示的伝達行為
非明示的伝達行為とは相手に直接伝えるのではなく、気づかせて自主的に行ったと思わせる伝達行為のことです。例えば、セージからヒールをもらいたいときに「ダメージを受けちゃったな。」と呟いてみたり、セージの近くでちょっとウロついてみたりすることが該当します。非明示的伝達行為は相手のフェイスをほぼ侵害しません。よって、相手の認知負荷をかけることがほとんどないので、試合中の依頼方法としては理想的なものでしょう。
(5)フェイス侵害行為を行わない
この段階はコミュニケーションをまったく取らない段階です。何も言わなければ、何も感じないのでまったくフェイスは侵害されません。よって、認知負荷がまったくかかりません。しかし、伝えたいことが全く伝わらないです。プレイヤーのパフォーマンスをあまり落とさない非明示的伝達行為ができない状況であれば、まったくコミュニケーションを取らないほうが効率が良いことが多いです。
4.フェイス侵害行為への対策
人間は感情の生き物なので、つい相手を悪く考えてしまったり、相手に強い言葉を使ってしまいそうになることがあります。そのときの対策を侵害された側と侵害する側に分かれて考えてみましょう。
(1)フェイス侵害行為をされた側
味方にフェイス侵害をする人がいるときは、自分のパフォーマンスが下がってしまうのでミュートしましょう。聞こえなければかなり抑えられます。それでも近くで邪魔をするような言外のフェイス侵害行為をしてくる相手がいるときは、ほぼ勝てないので諦めましょう。勝てたらラッキーくらいの気持ちを持つことで、心を保つことが大事です。
(2)フェイス侵害行為をする側
まずはフェイス侵害行為が味方に悪影響を与えることを理解しましょう。もし伝えたい場合は、非明示的伝達行為で行いましょう。それができないなら何も話さないことが一番効率的です。また、ぼやきとかが聞こえないようにプッシュトゥトークの設定を行いましょう。話す前に言うべきか考えることが大切です。自分の中で味方に伝える内容をあらかじめ決めておくと良いでしょう。(ex. 相手の位置、人数、エージェント、武器種)
5.フェイス侵害行為と距離感・力関係について
仲のいい友達からちょっとした暴言を言われても、あまり気になりません。それはフェイス侵害行為が距離感と力関係に関係しているからです。式として以下のように表されます。
フェイス侵害行為の度合い=距離感+力関係
つまり、家族や仲のいい友達のように距離感が近い人が相手ならあまりフェイスを侵害されません。また、仕事上の同期など力関係が同等に近いほどフェイスは侵害されません。相手との関係性も非常に大切な要素となります。ゲーム中のソロキューのメンバーは、ほぼ他人なので最大レベルのフェイス侵害行為を軽減する措置を行う必要があります。
まとめ
暴言はフェイス侵害行為の中でも上位なものなので、味方のパフォーマンスが落ちてしまうため絶対にしないようにしましょう。また、味方の行動を指摘したり、味方に行動を依頼したりする行為も味方のフェイスを侵害してしまうので、非明示的に行うようにしましょう。フェイス侵害行為をしてしまいたくなる気持ちは本能的なものなので仕方がないですが、相手に伝える前に意識的にストップすることが試合の内容をよりよいものとできるでしょう。