制約があるから自由が明るく見える。
もうすぐ給料日だ。
大学生のころは、お金を使うことに対してどこか後ろめたくて、
たとえアルバイトで稼いだお金でも、これで本や課外活動費を払わなかったら学生のありかたとして間違っているのではないかという気がしていた。
服を買ったり、化粧品を買ったりするのもコソコソやっていた。
社会人になって、はじめての給料は嬉しかった。
「私は自由なんだ」と思った。
しかし、それはつかの間の幸せだった。
出ていく分のお金は決まっていて、毎月支払わなければならないものもある。
残った自由なお金も、生活に必要な日用品を揃えたらほとんど残らなかった。
私はなんの制限もなしに自由になったわけではなかったのだと気づく。
私は、渡されたこの封筒の中身の範囲内でのみ自由にしていいというだけなのだ。
給料は、生活の囲いだ。
餌場や寝床を用意して、なるべく心地よい環境を整えながら、
その囲いの中では自由に走り回っていいとされているのが人間なんだなと思った。