妙に現実感のない場所――コストコ

はじめて、コストコに行った。

大きなかごに次々と大容量の品を乗せ、のっしのっしと棚の間をめぐる。

カゴが密集して流れの詰まったロティサリーチキン売り場の通路は、「ドロドロ」と表現される血管の映像のようだった。

アクセスが集中して込み合ったサーバーを具体的に表現したらあのようになる。

そう思うのは、コストコを「実写版Amazon」のように感じたからだ。

目的の場所にアクセスしたら、目的のものをカゴに入れる。

目的のものの周囲には購買意欲をそそる「似た商品」が並ぶ。

あれも安いこれも安いと次々カゴに入れると会計時に驚愕する。

各々が目的の棚だけに焦点を合わせ、少しずつズレた角度で大きなカゴを進める。

「このままではぶつかる」という感覚も薄まっているのに、なぜか衝突事故は起きない。

まるであらかじめプログラミングされたコマが画面上を動くようにカゴを押す人々が進んでいる。

自分も同じように、消費をコントロールされているような気がしてくる。

多少買いすぎたように感じたが、満足感はあった。

重すぎる荷物を両手に抱えて家に入ると、買った商品は、店で感じた大きさの数倍に膨れ上がっているように見えた。

生活スタイルに全く見合わない買い物をしてしまったようだ。

家族で腹がはちきれるほどSUSHIを食べた。

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