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AR技術で抽象的なメイク方法を可視化。外見に悩む学生と美容学生のマッチングアプリが提供する価値(6期生:布川さん)

「自分で事業をつくる」挑戦を始めた、北海道の高校生・大学生たち。
若者創業支援プログラム「mocteco」の集大成となるDemo Dayでは、若者たちの3ヶ月間の取り組みと、その先に見据えるビジョンを発表します。

2023年12月9日(土)開催の『mocteco DemoDay 2023』で行われた、「外見に悩む学生と美容学生のマッチングサービス「Tasuki」」代表、mocteco6期生の布川舞桜さんの発表をご紹介します。



外見に自信が持てず、つらい思いを。「こんな世界であっていいはずがない」

誰もが明日スキップして学校に行きたくなる世界を作る 「Tasuki」の代表をしています。札幌出身で、現在は北海道教育大学3年で休学中です。(2023年12月現在)

DemoDay当日、布川さんのプレゼン発表の様子。

Tasukiは、対話とAR技術を用いた外見に悩む学生と美容学生のお悩み相談マッチングアプリです。

Tasukiをやろうと思った理由は2つあります。私は札幌西高校という華やかな高校に通っていました。外見に自信が持てず、いつも鏡を見るたびに「あぁ、死にたい」と口に出してしまうくらい、しんどい思いをしていました。2つ目は、教育実習で色々な教育現場に行った中で、9歳の女の子が痩せてガリガリな状態なのに給食を残してダイエットをしていました。私が「給食食べなよ」と促しても、「韓国アイドルは30kgだから」と言います。

自分がしんどい時はただ辛くて、「なんでこんな学校に来ちゃったんだろう」と思っていたのですが、 実際に目の前で苦しんでいる子や、そこから起きるいじめを見ていると、私の中で怒りの方が勝ってきました。「こんな世界であっていいはずがない」と思い、この事業を始めました。

外見と存在価値を結びつけてしまうルッキズム(外見至上主義)とは

実際の調査で、差別を受けた理由の第一位は「見た目について」です。高3女子の悩みは、成績を抑えて「容姿について」が上位、今悩んでいることとして「外見」と答える子が、全国中高生の4分の1以上もいます。
これは、外見と存在価値を結びつけてしまうルッキズム(外見至上主義)という考え方から来ています。 まだ日本では聞いたことがない人もいたり社会課題として認識されていませんが、かなり深刻な問題です。

Tasukiのターゲットは、そんなルッキズムに悩む子供たちです。 
外見に悩む学生250人にインタビューして分かった課題は「真に信頼して相談できる相手がいないこと」でした 。だから私は、外見に悩む学生と経験を積みたい美容専門学生をマッチングさせて、信頼できる相手とのお悩み相談の場をつくっています。

mocteco DemoDayプレゼン資料より抜粋

外見に悩む学生と美容学生のマッチングアプリ「Tasuki」が提供する価値

相談を受ける美容学生にもメリットがあります。美容学生は、就職する際、SNSのフォロワー数が履歴書に必要だったり、見込み客や経験を求められますが、学校ではその場を提供できていません。美容学生には、このTasukiを将来の経験を積む場として利用してもらっています。今は、インスタグラムを用いて申し込みからヒアリング、実際の相談であるビデオ通話まで行っています。

ルッキズムに悩む子どもたちが、「私は太っているだめ」「こんな自分じゃだめだ」など、外見と自分の価値を結びつけてしまうところを、美容学生と話すことで、「こんな自分でもいいんだ」と考え方が変えられる。これがTasukiが提供する価値です。

mocteco DemoDayプレゼン資料より抜粋

これまで350件のマッチングを実施しました。相談後、「心理的に明るくなった」と答えてくれた子が92%いて、もっと増やしていきたいと思っています。
「実際に味方がいることが分かって心強かった。もう自分のことが嫌いじゃない」「私は私なりに素敵なところがあるということを知って自信になった」というような声を頂いています。

AR技術を開発し、抽象的なメイク方法を可視化

mocteco期間では、さらにその先のサポートについて取り組んできました。自分で自分を認められるようになった先に、「今まで嫌だったけど、ちょっとメイクしてみようかな」と前向きに美容にチャレンジしようと思った時に、初心者はメイクすることをハードルが高いと思ってしまう点があります。その不要なハードルをサポートしていきたいなと思いました。

TasukiではAR技術を用い、抽象的なメイク方法を可視化してくれます。例えば、アイホールと言われた時に正しい場所がわからない方はたくさんいると思います。
実例として、ハイライトと言われる場所が分からないけどやってみたいと相談があった子に、AR技術を使って「ハイライトを塗る部分はここだよ」と、塗り絵をしているような感覚でメイク相談ができるよう技術を開発しました。

AR技術で抽象的なメイク位置を可視化。mocteco DemoDayプレゼン資料より抜粋。

これはメイクを推進しているわけではなく、自分のことを「嫌だな」「きもいな」と、鏡を見るたびに思ってしまうような子が、「こんな自分でもいいんだ」と思えるようになった時、その先にチャレンジしたくなるようにTasukiはサポートしていきたいと思っています。

Tasukiの強みとしては、これまでAIが似合っている度合いを診断するものはありますが、AIに「100%似合っている」と言われても嬉しくないし、それで自分のことが好きになれるわけではないと思っています。Tasukiでは、人と人で行うことを大切にしています。
私はこの事業をビジネスモデルや市場規模についても考慮し、大きく世界に届けたいと思っています。

mocteco期間中、応援していただけることのありがたさを身に染みて感じた

東京都主催ビジコン「TOKYO STARTUP GATEWAY 2023」ファイナリストに選出

mocteco期間中に取り組んだことはたくさんあります。資生堂さんや東京大学さんなど、大きい会社さんとイベントを行ってマネタイズの難しさを知りました。新雪(未踏人材発掘プログラム)に採択されAR開発が進みました。期間中に韓国へ行ったり、北海道でもイベントをやって、韓国の子も北海道の子も同じようなことを言っていることを知り、世界中で出来るかもしれないと実感しました。女性起業家ミニピッチコンテストで優勝し、企業から契約のお話をいただいたり、TOKYO STARTUP GATEWAYのファイナリストとして選出されました。

韓国とイギリスでは相談の実績があるので、それをもっと広げていき、世界中の悩んでいる子たちにTasukiを届けられるようにしたいと考えています。

合宿Day2ndの布川さん。moctecoコーディネーターたちと事業のブラッシュアップを行う

最後に、mocteco期間中にいただいた言葉を紹介します。
コーディネーターの久保さんに、「ビジョンは社会との約束だから、布川さんは数字に向き合ってください」と言われました。今まで数字に向き合えと言ってくれる人が周りにいなかったので嬉しかったです。
また、韓国へ行ってへとへとになって、やりたいことがたくさんあるのに時間がなくて「もう無理です」と言った私に、コーディネーターの浜中さんが「それでも全部やるしかないよね」と言っていただいて、逃げ道をなくしてくれる人も今までにいなかったので嬉しかったです。
応援していただけることのありがたさを身に染みて感じているので、結果で返したいと思っています。

「誰もが明日、スキップして学校に行きたくなる世界を作る」

Tasukiのビジョンは、「誰もが明日、スキップして学校に行きたくなる世界を作る」です。Tasukiと言う名前には「明日、自分を好きになる」という意味を込め、ロゴもスキップしている様子をデザインしていただいています。

本当に鏡を見るのが嫌だったり、人の目が見れなかったり、マスクを外せなかったり、ダイエットをしすぎたり。皆さんが「どうしてそんなことするの?」と思うような子が実際にたくさんいます。そんな子たちが、「ちょっと明日はマスク外してみるか」「人の目をみて堂々としゃべってみようかな」と思える人が、一人でも増える社会はすごく素晴らしいと思っています。Tasukiは、そんな社会を作っていきたいと思っています。

布川さんが代表を務める「Tasuki」のロゴ。スキップする様子がデザインされている

皆さんと一緒にこの社会を作りたくてmoctecoにエントリーしました。ぜひSNS をフォローしていただいていただいたり、皆さんとお話させていただけたらと思います。
どうぞ応援のほど、よろしくお願いします。

・Instagram:https://www.instagram.com/tasuki.official/
・note:https://note.com/tasuki0628/n/nbb5b713dc350

氏名:布川舞桜
生年月日:2001年4月27日
大学学部:北海道教育大学札幌校(休学中)
自己紹介:趣味や自分を表すこと
札幌出身の22歳です。中学校〜大学でハンドボールをしていました。教員を志して北海道教育大学に入学し、国語教育を専攻しています(現在休学中)。日本最北の村である猿払村のオンライン学習ボランティアと、SAPPORO Incubation Hub DRIVEにてコミュニティスタッフをしています。言葉とテクノロジーと海が好きで、教育と悩んでいる人に興味があります。

https://note.com/mocteco/n/n64fed369770a

moctecoコーディネーターからのコメント

3ヶ月間伴走しサポートを務めたmoctecoコーディネーター浜中

mocteco期間中も力強くどんどん事業を進めていっていて、「この子はすごいな」と思われると思いますが、彼女は繊細なところがあって、周りがどう思っているかも感じ取ってしまう人だと思っています。そういう人ほど、事業を応援してくれる人がいるとすごく心強かったりします。今後も戦っていく中で打ちのめされたりすることもあると思いますが、札幌に応援してくれる人たちがたくさんいるということが、彼女が今後進んでいく先の力になると思います。皆さんも、「あの子はどんどん進んでいくから」ではなく、「自分の応援が何か支えになるかもしれない」と思ってもらえたらと思います。(moctecoコーディネーター浜中)


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▼ 詳しくはCAMPFIREコミュニティのページをご覧ください。https://community.camp-fire.jp/projects/view/430411

▼布川さんの取り組みについての記事はこちら

▼布川さんが参加したmocteco6期のKickOffレポートはこちら

▼布川さんが参加したmocteco6期のDemodayレポートはこちら


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