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持続可能な''食''への挑戦(2期生:小畑夏音)

mocteco2期生、小畑夏音(こばた かのん)さんに現在の取り組みや、moctecoでの取り組みをお伺いしました!

①夏音さんが、今取り組んでいることを教えてください。

 この記事を書いている''たった今''は、学会でのプレゼンがあってシカゴにきています(笑)
 もう先月で大学は卒業したので、この発表が終わればマサチューセッツ州のボストンに戻って、スタートアップ企業で食品の研究や開発に挑戦する予定です。

 その企業では微生物を使った研究や商品開発を行います。「水素細菌」と言われる分野で、空気中のCO2から原料を吸収して、油など有用物質を生み出す細菌で、細菌から取れた油などを使った化粧品や食品開発などに取り組みます。つまり空気から新しい商品を生み出す試みです。

 メンバー5人、ゴリゴリのスタートアップ企業ですね(笑) moctecoに取り組んでいた時と変わらず、食への興味関心から今も離れていません。

食品のカンファレンスに出展中

②moctecoに取り組む前はどんな学生生活でしたか?

 mocteco前後も変わらずですが、 食品や、サステナブルな食に関心があって研究をしていました。 大学期間中に取り組んでいたのは、植物由来の物質から、海産物の代替食品を作るというテーマで挑戦していました。
 今ではソイミート(大豆肉)などは有名ですが、具体的には、エンドウ豆を素材にしてひたすらホタテを作っていましたね(笑)
 ※研究の内容はこちら

 食感の再現や、繊維の再現など実験を繰り返して 特許申請するところまで持っていくことができました(結果はこれからですが汗)。

 他にもジャガイモを素材に、3Dプリンターでベーコンを作ったり、豆やウキクサという藻の仲間をつかって、あん肝の再現などをしていました。美味しいものも好きだし、食と環境の関係など、サステナブルな食品への関心がとても高いです。

エンドウ豆で開発したホタテの技術や環境へ負荷軽減について発表中

③mocteco期間中の取り組みを教えて下さい

 元はイギリス伝統のお菓子なのですが、 アメリカやカナダでも一般的に拡がっている「ファッジ」というお菓子を日本版に変えて開発することに挑戦していました。ファッジはとても甘いお菓子なのですが、ファッジと紅茶でゆっくりと午後を過ごす文化があって、私はその時間がとても好きでした。

 自分の商品を持ちたいという想いと、好きなモノを作りたい気持ちが合わさってmoctecoにエントリーしました。

 通っていたアメリカの大学の調理室で試作品を作ったり仲間に食べてもらったり、日本の大学の学生と2名で取り組んでいたので、日本での商品開発などにも取り組んでいました。
 最後は販売までには届かず、サンプルの試食をあちこちでして頂いて、残念ながらビジネスとしてのスタートを切るまでには至りませんでした。

 ただ、今も忘れているわけではなく、現在取り組んでいる微生物も乳化などファッジの制作工程と似たものがあるし、頭の片隅にいつもあって、機を狙っている…という感じですね。

試作中の抹茶ファッジ。抹茶の「緑」を発色させるのに苦戦している様子。

④moctecoはどんな成果や学びがありましたか?

 ビジネスをカタチにするには、目的が大切ということをとても実感する機会でした。 ファッジを拡げたいという想いだけで試作開発までいったけど、 いざ売りに出そうと思った時に「なぜ、私たちがファッジを売るのか?」という 理由がないところで詰まってしまいました。

 商品のコンセプトはあるけど、拡げる理由が 私たちの中に明確に見いだせなかったのです。 世に出す!という瞬間は大きな勇気が必要なんですが、それを後押しする目的をはっきり立てられなかったことが悔しくもあり、大きな学びでもありました。
 
 やりたい!からスタートして、徐々にカタチになっていく中で、次はマーケットとすり合わせていく段階がだったんだと思っています。 未開拓過ぎるマーケットだったので、もう少し火種がくすぶっているというか、植物性の代替食品とか、ニーズや可能性が見えている領域で挑戦してみてもよかったかもと思います。

 ただ、進む中でだんだんと目的がはっきりしてきたので、進んだからこそ見えてきたものがたくさんありました。
 

⑤これから取り組みたいことは何ですか?

 大学時代はサステナブルフードに取り組んできましたが ソイミートなどの代替食品もある程度やり尽くされていて、奥行きのなさを感じています。 微生物など違った領域から、食の可能性をもう一度捉えてみて今まで取り組んできたことに加えて、新たな食の領域を開拓できたらなと思っています。

 当面はスタートアップ企業でビジネスを実現しつつ 大学院の博士課程での研究も同時に目指したいと思っています。
※アメリカの博士課程は研究者として大学に雇われるスタイルです。

研究の取材を受ける様子

⑥最後にフリーでメッセージをお願いします!

 アメリカにいても、世の中全体がネガティブな方向に向かっているなと感じることが多くあります。そんな中だからこそ、個人個人はやりたいことに走った方が良いと思っています。

 これから何が起こるかはわからないから、温存しておくのはもったいないし、いつかの未来のために…ではなく、今やりたいことを惜しみなくどんどん打ち出していったらいい。そんな 一人一人がポジティブな行動をしていくことが大切なんじゃないかと感じています。

 それと、海外で食品の研究をしている日本人は本当に少ないです。 あまり増えすぎても私の希少価値が薄れるか?とも思いますが(笑)、もし関心をもつ学生がいたら応援したいと思っています。 moctecoの誰か(浜中さん?)経由で連絡頂ければこちらの状況もお伝えできると思います。

 それでは、また時折更新していきたいと思います。最後までご覧になって頂いてありがとうございました!

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