悪い芝居「メロメロたち」を観てきた。
悪い芝居は前回も紹介した通り、京都の劇団でその名も悪い芝居は「悪いけど、芝居させてください。」の略でとても謙遜している劇団。
大好きな劇団で高校生の頃からこの劇団の演劇をずっと観ている。今回第24回OMS戯曲賞大賞を受賞した「メロメロたち」の再演を観劇してきた。
初演も観ていて、2回目の観劇で感じたのはいかに初心や幼い頃に抱いた純粋な気持ちが大事なのかってこと。
大人になってから鈍くなる感受性をとことん掘り起こしてくれる感覚で、1幕2幕と途中休憩がある演目なんだけど、2幕で完全に心奪われるというか自分の話なんじゃないかと思うくらいこの演目を自分の話にさせてくれる、そうさせてしまう力のある作品だった。
誰も私のことなんか見てないのに自意識過剰になり、学校の男子と喋れなかった中高6年間があった。
今でも自意識過剰で正直で頑固にしか生きられない、社会に適応できない自分が嫌で仕方なくなるときがある。それでも自分と向き合いながら日々を過ごしてきたつもりだけどいろんな雑念や生活に追われてそして自分に追われて、年齢だけが重なっていた。
そんな自分で生き続けてきた今、何もかも諦めがちになった。そして失敗だらけでふてくされるように本当の自分と向き合うのをさぼっていた。大人になったからこそなのかもしれない。本当の自分が何なのかは自分でもわからないけれど。
生活に追われ大人になるにつれ「自分」というものがどんな存在だったのか忘れていた。だけど過去の純粋な気持ちと熱い情熱を少しだけ思いだしたのだ。
だからなんだという話なんだけれど、その感覚を思い出しただけでなぜか生きた心地がした。
ライフイズラブリー。人生はかわいい。
私のこの人格は私の両親の元で生まれたからあると考えている。
自分を肯定できないのは両親のせいだ、毒親なんだ、と言ってしまうのは簡単だし被害者意識になるのも仕方ないとは思う。
だけどそんな私を産んだのも不器用でしかいられない人だった。
私が今、私でいることは本当に誰のせいでもなく巡り巡ってきた偶然なんだと改めて悟った。
それもそれで厄介な偶然だなとは思う。自信はないけれどその偶然の中でもなんだかんだ楽しんでいけるのかなとどこかで感じていた。
その感覚を確信に変えてくれた、そんな素敵な観劇体験だった。