映画『ハニーボーイ』を見た。
自身が書いた脚本の映画で
自身のジェシア・アブーフは父親役として出ている。
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子役として小さい時から働いていたオーティス・ロート。
ハリウッドのトップスターとなっていたが、
飲酒運転で車の事故を起こした際にPTSDと診断されて支援施設でプログラムを受けることとなった。
その時のプログラムの一つとして
過去のことについて書き出したものがこの映画に繋がった。
両親は離婚しており、父親との生活は子役である自分の仕事で生活が成り立っていた。
6年間モーテルに住んでいて、食事などすべて外食。
しかしそのモーテルにはプールがある。
日本とは生活や文化が違う。
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いい父親になりたい、ならなければと思っているけれども
犯罪歴もあり
アルコール依存症の治療の支援プログラムにも参加してることからも
なかなか自分自身に自信が持てないでいる父親。
父親には子どもに対する愛情はあるけれども、
間違った知識から手を繋ぐとか
抱きしめるということが上手くできない。
人が見ているとすぐに手を繋いでいても離してしまう。
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また、父親はアルコール依存症の治療中ということもあって
情緒が不安定で子どもをライバルのように見てしまう。
トランプで負けると子どものように不貞腐れてあたる。
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自分自身が十分に愛されたという経験がない場合には
親となった時にどうしたらいいのか分からないのだろう。
というよりも
未だに自分自身が成熟、成長しきれていなくて
子どものままの満たされないままの状態であるのだろう。
アダルトチルドレンのように、子どもが父親の親として生活している。
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見ていると、喉のあたりに異物があって喉がつかえる痛みを感じた。
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現在のオーティスと子どもの頃のオーティスが入れ代わりながら映画が進んでゆく。
次第に子どもの精神の成長が父親を超える時が来る。
その現実を受け入れることができない父親は、話し合うことから逃げるために子どもを殴り、出てゆく。
卑怯者で弱い人間だからだ。
そして断酒していたのを破り、酒場でお酒を飲み、マリファナを吸う。
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映画の中の言葉
「傷ついて途方にくれた善良な人が酒を飲む」
「父さんがくれた唯一の価値あるものが『痛み』」
PTSDの治療には、その原因となる記憶を別の角度からとらえ直す作業が必要で有効であることもある。
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子どもの時に父親から十分な愛情が感じられなかったのには
父親の心が安定していなかったからであるということ。
父親も保護が必要であり、味方や愛情が必要であったということ。
多くのコンプレックスに感じていたことに対して受け入れることができる心の余裕が必要であったということ。
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大人になった時に
その当時の父親の気持ちを理解することで
自分のつらい経験を和らげてゆくことができるようになるのだろう。
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お互いがお互いに対して多くことを期待していると
その期待の平行線は交わることがない。
本来ならば十分に大人の年齢である父親が
落ち着いた対応を取ることが必要なのだけれども、できないこともある。
そうなると
成長した子どもが
真の大人となり
自分自身のケアをして、過去の記憶の見方を変えていくことだ。
そして
父親を理解して受け入れていくことで
父親は許されたと感じ、お互いに落ち着いていく。
そういうことだろうか。
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辛い時に、同じモーテルのお姉さんが一緒にいてくれ
一緒に遊び
抱きしめてくれたことで
癒されていたことが映画を見ている私自身にとっても救いだった。
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多くのアダルトチルドレンとして成長してきた人にとっては
見ることがしんどい映画となるかもしれない。
しかし、
ともにつらい経験に対しての認識を捉え直す作業をすることで
ともに自分も癒されるような映画でもある。
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子どもを育てる時には
多くの人のサポートがあると心強い。
多くの人に頼ることが大切だと思う。
どうか
子どもの味方であってください。
味方がいることで
子どもは安心して生きてゆくことができます。
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父親役を演じた当人のジェシア・アブーフ。
自分が父親役を演じることで
理解してゆくことができ、
そして安らぎを得ることができたことを願います。