鉄道に関する技術上の基準を定める省令:9.軌間・線路線形
「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」の勉強ノートです。
条文は下記リンクで公開されています。
またこの解釈基準が国土交通省から示されています。
略称については、
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 → 技術基準
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 解釈基準 → 解釈
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 解説 → 解説
と記載します。
今回は第三章の第1・2節の軌道に関する部分を見ていきます。
◆軌間
▶軌間とは
レール頭部間の最短距離のことです。昔はレール上面から14㎜以内の頭部の最短距離とされていましたが、今は各社が各所の事情に応じて決めているそうです。
一般的に軌間が広い方が走行安定性が高まるとされていますが、建設費の問題や日本の限られた国土を有効活用するために、JR在来線を始めとする多くの鉄道では1067㎜となっています。
世界的にはかなり多くの軌間が存在しますが、日本国内では4つの軌間(762㎜・1067㎜・1372㎜・1435㎜)が採用されています。
1435㎜は標準軌と呼ばれ、これを基準に狭軌・広軌とカテゴリーが分かれます。
例(762㎜):三岐鉄道北勢線
例(1067㎜):JR在来線・民鉄の多く
例(1372㎜):京王線
例(1435㎜):東京メトロ銀座線・新幹線
▶異なる軌間の共存
状況によっては複数の軌間を共存させたり、異なる軌間同士で直通する必要があったりします。
・三線軌条
レールを3本使う方法です。軌道中心や建築限界も2パターン共存するので保守・施工に注意が必要ですが、最も単純で確実な方法です。国内でも複数の実例があります。
例:京急久里浜線 総合車両製作所引込線付近
・軌間可変列車(フリーゲージトレイン)
特殊な台車機構により車輪の幅を調節可能で、調節時間はかかりますが複数の軌間を直通運転できます。
すぐ台車が壊れる・乗り換えた方が早いなどの理由から日本では実用されていませんが、海外では事例があります。また近鉄が研究をしていたり、東急蒲蒲線で噂されていたりします。
例:スペイン 特急列車TALGO スペイン(1686㎜)→フランス(1524㎜)
◆線路線形
レールは地形に応じて縦横様々な方向に曲げる必要が生じますが、列車をスムーズに走行させるために工夫・制限がされています。
▶曲線半径
解釈基準において下記のとおり基準が示されています。
しかし推定脱線係数比=限界脱線係数/推定脱線係数が1.2を超えるor脱線防止ガードを設置した場合は、車両性能に合わせた曲線半径とすることができます。
▶カント
カーブでの遠心力によって車両が転覆しないようにするため、カーブ内外のレールにつける高低差のことです。
▶スラック
カーブでの左右車輪の内輪差を吸収するため、カーブ区間の軌間を広げた拡大量のことです。
▶緩和曲線
半径の違う曲線の接続点で大きな遠心力の変化がないようにするため、曲線半径を緩やかに変化させた部分です。これがないとカーブでガクッときて乗り心地がたいそう悪くなるそうです。
▶こう配
上りや下りのこと。動力・ブレーキ性能などを考慮した値とします。千分率‰(パーミル)で表します。
▶縦曲線
こう配の変化によって生じる縦方向の曲線。キツすぎると連結器が壊れたりします。
◆線路線形を示す標識
▶こう配標
こう配の始終点と傾きを示し、こう配の始終点に建植します。
▶曲線標
曲線の始終点と半径を示します。円曲線の始終点や緩和曲線の接続点などに建植します。
▶逓減標
カント逓減の終点に建植します。
以上です。
参考
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