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2025年の埼玉西武ライオンズを展望する
プロ野球ファンにとって"お正月"は
「元日」「キャンプイン」「開幕日」
の3回あって、今年2回目のお正月を他球団と同じ、2月1日に迎えました
あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いします
悪夢のような2024年(厳密に言えば、2023年5月からか)が終わり、源田壮亮の一件で年明けまで持ち越す事になりましたが、謝罪会見を行ったことで根も葉もない憶測記事を止める効果もあり、源田夫妻もライオンズファンも新たなシーズンを迎えられることになりました
もう振り返りたくもないのですが、改めて昨年のライオンズは以下のような成績でした
143試合 49勝 91敗 3分け (勝率.350)
チーム総得点 350 チーム総失点 485 得失点差 -135
チーム打率 .212 チーム本塁打 60 チーム防御率 3.02
NPB 1試合平均得点ワーストランキング(2リーグ制以降)
— ヤキグラ (@yakigraph) October 9, 2024
西武が歴代ワースト4位、中日が9位にランクイン pic.twitter.com/DAByAhWCDM
1試合の平均得点数は2リーグ制以降でワースト4位にランクインするなど、歴史的な貧打に泣いたシーズンでした
リーグ2連覇を果たした2018年、2019年は「山賊打線」と称された暴力的なほどの強力打線が売りでしたが、浅村栄斗、秋山翔吾、森友哉、山川穂高がFAで抜け、栗山巧、中村剛也はさすがに全盛期を過ぎている。大きな柱が4本も抜け、長年支えてきた2本の柱も老朽化が進む中、補強工事は遅々として進んでおらず、そうなれば建物が崩壊するのは自然な流れと言わざるを得ない
2025年、西口文也二軍監督が一軍監督に就任し、広池浩司球団本部長が事実上のGMとして、ライオンズOBではない人たちをコーチとして招聘するなど、早速新たな動きを見せており、改めてライオンズ復活に向けてのスタートとなりますが、基本的には希望的観測をベースに展望していきます
【野手編】
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〈捕手〉
森友哉の移籍により正捕手不在となったこともあり、2023年から「古賀悠斗 正捕手への道プロジェクト」を推し進めていて、スタメンマスクも90試合(62.9%)→91試合(63.6%)と”ホップ・ステップ”の段階は過ぎようとしている。あとは"ジャンプ"するのみだが、野球解説者の里崎智也は以前より「正捕手になるには、一軍レベルの守備力があった上で打つこと」と唱えており、それで言うなら古賀にはバッティングの向上が求められる
昨シーズンは5月終了時点まで、.270近い打率を残し、wRC+も100を超えていたが、6月以降急降下。最終的には打率.228、wRC+73と「キャッチャーとしてはそれなりの…」というレベルに落ち着いてしまった
昨今のプロ野球では1人の捕手に90%以上、スタメンマスクを被らせる様な起用は減ってきたが、選手からすれば1試合でも多く出たいのが本音だろう。森が正捕手の時も2019年と2021年には80%を超えており、まずはスタメンマスクの約70%に当たる、100試合を目指したいところ
6年ぶりにライオンズへ復帰した炭谷銀仁朗は武内夏暉とのコンビで能力を引き出すなど、二番手捕手としての存在感を十二分に発揮した一年だった
今年も若手捕手の教育係であったり、チームの盛り上げ役、または雰囲気を引き締める役としての活躍が期待される
三番手以降の捕手に関しては、この二人に割って入るのが難しい。というのも打撃型と守備型で大きく分けようとした場合、ライオンズの捕手は全員守備型になってしまい、差別化が出来ないため。そんな中、左打ちでそこそこ打てるという意味で牧野翔矢にはチャンスがある
育成選手とスタートした昨シーズン、二軍で打率.317/OPS.829とアピールしていたこともあり、晴れて支配下に復帰。一軍では打てなかったものの、分かりやすく違いを生み出せるので、ここを長所として伸ばしていきたいところ
今年育成3年目を迎える是澤涼輔にとっては勝負のシーズンとなる。ライオンズは過去、育成枠で獲得した大卒捕手が3人【※藤澤亨明、齋藤誠人、中熊大智】いたが、いずれも支配下であり、一軍の壁に敗れ、涙を呑んできた
捕手の場合、経験を積むには時間がかかるし、二軍の公式戦に育成枠の選手は5人までしか出られない規定があるので、そもそもチャンスを得るのが難しい。そして3年経てばもう25歳と若いとは言えない年齢となり、支配下登録を勝ち取るまでのハードルがとにかく高い
ただ専門職ゆえ、けが人が多く出た場合、替えが利かないので、そうなると支配下登録の可能性は高くなる。仲間の不幸を待っているかのような書き方になるが、実際問題それがチャンスを得る一番の方法でもある
この2年間、打撃成績は以下のようになる
・二軍
2023年:58-12 3四球 14三振 【打率 .207/OPS .620/BB% 4.7/K% 21.9】
2024年:89-24 6四球 15三振 【打率 .270/OPS .641/BB% 6.1/K% 15.2】
・三軍
2023年:69-18 9四球 18三振 【打率 .261/OPS .737/BB% 11.0/K% 22.0】
2024年:93-26 5四球 9三振 【打率 .280/OPS .654/BB% 5.0/K% 8.9】
チームとしては不測の事態に備えキープしておきたいが、それでは"都合のいい男"止まり。誰からも愛される選手なだけに、大きな壁を破って欲しい
〈内野〉
昨年まで源田壮亮と二遊間コンビを組んでいた外崎修汰をサードにコンバート。それに伴って主にサードを守っていた佐藤龍世が外野に挑戦かと言われており、玉突き人事が起きている
外崎に関しては、セカンドのUZRにおいて未だ高水準の数値を誇っており、「わざわざコンバートをする必要はないのでは?」との意見もあったが、想像するに今後訪れるであろう勤続疲労によるコンディションの悪化を避けたいのと、二塁よりは負担が無いとされるので打撃面の復活を期待しているのが主な要因だろう
もしかしたらドラフトで宗山塁が獲れた時の為に、前もってコンバート計画を行ってしまおうと思ったのかもしれないが
ただ一覧表にもあるように、wRC+において最も数値が高い佐藤龍を不慣れなポジションに追いやってまで、サードにコンバートする必要はあったのか?外野ではダメなのか?という疑問はある
これに関しては想像だが、古くは石毛宏典と辻発彦、そして中島裕之と片岡易之といったように、チームのまとめ役を内野に残しておきたいという意図ではないか?少なくとも、何かしらのデータに基づいた整合性のある理由ではないと思っている
肝心なのは打撃面の復活。外崎のコンバートを優先させたのも"天井の高さ"であろう。佐藤龍の成績が良かったとはいえ、規定打席をクリアした訳ではなく、試合に出続けたうえで結果を残した経験があるのは外崎だけ
秋季キャンプでは仁志敏久一軍チーフ兼打撃コーチから打撃指導を受けており、これが上手くいくことを願っている
「レギュラーは白紙」と西口監督が公言しているように、ファーストとセカンドは誰になるか全く分からない。セカンドに関しては「滝澤夏央、児玉亮涼、ホークスから加入した仲田慶介など若手で競い合ってほしい」と答えており、打撃型というよりは、守備型もしくはスピード型の選手を据えたい思いが透けて見える
注目は仲田。昨年オフには無念の育成落ちを経験し、心が折れてしまったとの事で、ホークスで改めて支配下に上がるのではなく、他球団での挑戦を決意。そこにライオンズがいち早く声を掛けたことで移籍が実現
二軍では88打席とサンプル数は少ないが、打率 .403/wRC+ 204 と異次元の成績を残しており、チーム内での競争もあるが、それと同時に一軍の壁に再挑戦となる
カギはボールゾーンスイング率の改善。二軍では43.0%→31.2%→25.1%と年々、良くなっているが、初の一軍となった昨年は46.5%と対応できなかったので、屈辱を胸に一軍の投手相手にどこまで結果を残せるか
レギュラー候補の3人は守備に不安がなく、違いを見せるには打つのが手っ取り早い。もし3人とも低調な内容&結果であれば、山村崇嘉や佐藤龍といった攻撃型の選手にチャンスが巡ってくるかもしれない
ファーストに関しては、昨年は佐藤龍と並び、チームトップタイとなる32試合で4番に座った山村。40安打のうち、半分近くを長打が占めるなど、wRC+ではチーム屈指の成績を残した野村大樹。一軍昇格早々に大怪我をしてしまったが、驚異的な打球の強さを誇る村田怜音などが争う形になるだろうが、新外国人選手次第ではポジションが埋まってしまう可能性もあるので、シンプルに打ってアピールしたい
最後、ショートについては色々あったが基本は源田一択。近年の投手優位な環境にもかかわらず、判で押したように同じような成績を残しており、成績を落とさないことでその凄さを表している
守備に関しては加齢により少しずつ守備範囲が狭くなっているが、まだまだトップレベルを維持しており、もちろんデータなどの指標による評価はあるが、信頼と実績を積み重ねてきた安心感は現場レベルにおいて絶対的なものがある
ただ昨年は4年ぶりとなる全試合出場を果たしたものの、そろそろ計画的な休養を挟みたいところ。源田本人がそこを目指すのは良いとして、首脳陣がそれに甘えてしまっては、コンディションの低下を早める危険性があるし、いざというときの代わりが育たない
日本の野球では「センターラインは固定すべき」というセオリーがあり、それ自体は間違っていないだろう。ただ休ませずに使い続けて、怪我をしたら大慌てで穴埋めするようでは意味がない。セオリーに固執しすぎることなく、柔軟な選手起用をお願いしたい
二軍および三軍に関しては、野手の頭数が揃わなければ試合が出来なくなるので、ポジションに関してはあまりガチガチに決めず、フレキシブルな対応が求められる
そんな中、注目なのはドラフト1位で獲得した齋藤大翔。将来のライオンズを担う選手として、どのような育成方針か考えてみると、モデルケースとして近年、高卒で入団し、早くにショートのレギュラーを獲得した選手として、紅林弘太郎と長岡秀樹がちょうどいい物差しとなる
・紅林弘太郎
1年目
〈二軍〉 86試合 338打席 309-68 1HR
【打率 .220/OPS .550/BB% 6.8/K% 24.6】
遊撃 70試合(先発 64試合) 551.2in
三塁 13試合(先発 11試合) 91in
2年目
〈一軍〉 136試合 473打席 448-102 10HR
【打率 .228/OPS .603/BB% 2.5/K% 21.4】
遊撃 115試合(先発 113試合) 984in
三塁 17試合(先発 16試合) 135in
・長岡秀樹
1年目
〈二軍〉 71試合 268打席 237-52 2HR
【打率 .219/OPS .585/BB% 8.6/K% 17.9】
二塁 50試合(先発 44試合) 383in
三塁 19試合(先発 14試合) 120.2in
遊撃 8試合(先発 8試合) 63in
2年目
〈二軍〉 82試合 302打席 283-74 7HR
【打率 .261/OPS .699/BB% 4.0/K% 11.9】
二塁 41試合(先発 33試合) 292in
三塁 25試合(先発 22試合) 189in
遊撃 25試合(先発 14試合) 157.2in
3年目
〈一軍〉 139試合 548打席 511-123 9HR
【打率 .241/OPS .610/BB% 3.6/K% 13.1】
遊撃 139試合(先発 137試合) 1244in
紅林に関しては、中嶋聡二軍監督(当時)が相当に惚れ込んだ選手で、一年目の成績もそこまで秀でたものではなかったが、代行から正式に一軍監督となった二年目には肝入り人事で抜擢。大小それなりのミスはあっても我慢して起用し続け、次世代の大型遊撃手として成長を続けている
一方の長岡は二軍時代、高卒同期の武岡龍世にショートのポジションを譲る形で、セカンドやサードを中心に出ていたが、3年目のオープン戦でアピールできたのをきっかけに開幕スタメンをゲット。一気にレギュラーを勝ち取った
齋藤に関しては現在、右肩を痛めていることもあり、当分の間はノースロー調整となるが、源田は今年の2月で32歳を迎えることを考えると、2年目の後半か3年目には一軍で使えるまで成長してくれるのが理想的
最初は齋藤がセカンドに入り、二遊間コンビを組みつつ、徐々に入れ替わるのか、それともいきなり替えてしまうのか。もちろんプロは実力の世界である。違う選手がポジションを奪っている可能性もあるが、どちらにせよ"源田以降"に向けての動きを注視していきたい
〈外野〉
「外野手が決まらない」と言われ続けて数年経過するが、昨年も相変わらず低調な出来。これでOPSとwRC+は5年連続で最下位
2018年:OPS .798(6位)/wRC+ 118(4位)
2019年:OPS .705(11位)/wRC+ 96(11位)
2020年:OPS .684(12位)/wRC+ 86(12位)
2021年:OPS .582(12位)/wRC+ 63(12位)
2022年:OPS .625(12位)/wRC+ 83(12位)
2023年:OPS .572(12位)/wRC+ 70(12位)
2024年:OPS .528(12位)/wRC+ 58(12位)
2023年のシーズンが終わったとき、「これ以上の底はないだろう」と思っていたが、まだ底があったとは…
一応、デプスチャートには各ポジション3~4人を挙げたが、二軍に分けた選手も含め、みんなにチャンスがある
とは言え、一番上に挙げた選手が第一候補であろう
レフトには新外国人選手、タイラー・ネビンが最優先で起用される見通し。特徴は集計サイトによって多少のズレはあるものの、レフト・センター・ライトの三方向に満遍なく打っていること。あとフライ打球より、ゴロ打球が多く、本質的には中距離打者であろう。そして速球のPitchValueが大きくマイナスとなっており、速い球に課題がありそうだ
近年はスパンジェンバーグ、オグレディ、ペイトン、コルデロと言ったように「左打ちの外野手」という条件下でリストアップされた選手から選んでいた感もあったが、左打ちという条件は外した模様でこれは正解だと思う
球団も駐在スカウトや渉外担当からの推薦や映像だけでなく、トラッキングデータをより重要視しながら選んだようなので、とにかく上手くいくことを祈るのみ
センターはキャリアハイとなる104試合に出場。335打席に立ち、守備での貢献も光った西川愛也が第一候補になるが、長谷川信哉や岸潤一郎と比べ、明らかにリードしているわけではない。一軍キャンプに呼ばれているモンテルや平沢大河も含め、誰が抜けだすのか
ライトは仮という形で佐藤龍を一番手としたが、本当にライトが適任なのか?と聞かれたら、お世辞にも足が速いわけではなく、多くの人は「NO」と答えるのではないだろうか
wRC+130はチーム内においてトップであることを考えても、出場機会が減るようなことがあっては意味が無いし、不慣れなポジションに就くことで打撃に影響を及ぼしてしまっては本末転倒になる
また投手に対し、頻繁に声を掛ける姿を見ても内野に残しておきたいので、ファーストとセカンドのポジション争い次第では、内野へ舞い戻ってくるのでは?とも見ているのだが、どうなるか
ルーキーではただ一人、一軍キャンプに選ばれた渡部聖弥。文化放送内のインタビューではアピールポイントとして「走・攻・守、三拍子そろっている」とし、バッターとしてのタイプを「三方向に強い打球を飛ばせる、中距離打者」と答えている
2024年9月末に発売された「野球太郎 No.052 2024ドラフト直前大特集」号にて、NHK-BS「球辞苑」にも出演していて、炎のストップウォッチャーとしても知られるキビタキビオ氏の記事によると、集計データのほぼ全てがライナー性の打球とかなり極端な結果となっていた
近年、メジャーでは定着した「フライボール革命」であり、中村剛を見ていれば分かるように、長打(ホームラン)を打つには「ゴロ<フライ」となるのは明白。中村剛も徹底的に練習した結果、会得した技術だと思うので、これから練習すればそういう打球を増やすことも可能だとは思うが、基本的には外野の間を抜ける打球が多い打者を表す「ギャップヒッター」なのだろう
その為、アマチュア時代に大学日本代表の4番を経験し、同じくドラフト2位で入団した牧秀悟と重ねて見る向きもあるが、牧は入団4年間でゴロ打球がフライ打球を上回ることはなく、打球が上がるor上がらないだけで言うなら、日本での7年間でルーキーシーズンを除き、ゴロ打球の割合が多かった吉田正尚タイプではなかろうか。無論、右の吉田正尚になってくれたら、万々歳なのだが【※ちなみに秋山翔吾も「ゴロ>フライ」タイプ】
あとは本人のアピール次第だが、佐藤龍とライトのポジションを争って、どちらかが出られないのは惜しい。ちなみに大学時代はセカンドも守った経験のあるので、渡部聖がセカンドに回るという奇策はあるのかないのか
二軍キャンプスタートとなった蛭間拓哉は入団3年目にして、優先順位を下げられつつあり、ドラフト1位の期待感が過去のものになりかけている
蛭間の課題は打球スピードの弱さ。データでも確認はしていたが、ボテボテの打球や詰まった打球の印象が強く、強い打球をコンスタントに打てない
仁志敏久一軍チーフ兼打撃コーチのインタビューにもあるが、そもそもどこに課題があるのか。オフの間はその課題に対して取り組んでいたと思うが、ここからの捲りに期待したい
二軍および三軍の外野手に関して、強いて一人だけ注目選手を挙げるなら古川雄大となる
・二軍
2023年:打席なし
2024年:69-18 1HR 4四球 25三振
【打率 .261/OPS .683/BB% 5.3/K% 33.3】
・三軍
2023年:102-18 3HR 10四球 38三振 5盗塁 6盗塁死
【打率 .176/OPS .552/BB% 8.8/K% 33.6】
2024年:160-37 1HR 28四球 35三振 10盗塁 3盗塁死
【打率 .231/OPS .668/BB% 14.4/K% 18.0】
昨年、三軍においてチーム最多となる194打席に立ち、アプローチ面では四球が増え、三振が減るなど良化しているが、打率やOPSを見れば分かるようにまだまだ
とは言え、入団3年目となり、新たな外野手も多く入団しているので、もう三軍を主戦場にするのは卒業したいところ。元々、磨かれていないダイヤの原石とも言うべき粗削りな選手なので、時間が掛かるのは承知の上だが、そろそろ将来一軍で活躍するための軌道に乗りたいところ
〈指名打者〉
4番候補およびチームに枯渇している長距離砲として期待されるのが、昨年までバファローズにいた、レアンドロ・セデーニョ
一部マスコミに「ライオンズは(無駄に)プライドが高いからか、他球団のお古を獲得せず、頑なに新外国人選手を探すが、まるで当たらない」と酷評されていたが、これも体制が代わったことによる変化なのだろうか
セデーニョ最大の特徴は打球速度の速さ。昨年、300打席以上立った83人中、F.レイエスに次ぐ2位となっており、2023年も150打席以上立った147人中、1位と高いレベルで安定している
その割にフライ打球は多くなく【※上記の条件下で、2023年(56位)、2024年(29位)】、もう少し打球を上げることが出来れば、更にホームランの数は増えるのではないか
チーム創設以来初となる「シーズン二けたホームラン0人」という不名誉な記録を2年続けるわけにはいかないので、ライオンズのレオとして活躍を期待したい
ライオンズが誇る「骨と牙」、ともにプロ24年目のシーズンを迎える栗山巧と中村剛に対しては「今年も一年間、頑張ってください」とただただ応援するだけで、今更何かを求めるといったことはない
怪我を除けばレギュラーになって以来、最も少ない打席数となり、岡田彰布元監督ではないが「アレ」が刻一刻と近づいてきているのは確か。しかし三振数を上回る四球数を稼ぐなど、いまだ衰えぬ選球眼と一球で仕留める集中力を見せる栗山。本人にとっては満足していないだろうが、それでもチーム最多タイの7本塁打を放つなど、確かな技術を見せる中村剛にはまだ働き場所がある
また中村剛はここ数年、一年おきに復活しており、そのたびに「奇跡の復活」と思っていたが、もう一度はあるのかも注目したい
2019年:wRC+ 137
2020年:wRC+ 87
2021年:wRC+ 120
2022年:wRC+ 74
2023年:wRC+ 149
2024年:wRC+ 83
【投手編】
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〈先発〉
西口監督たっての希望なのか、フロント主導なのか分からないが、平良海馬をクローザーで起用する方針を固め、それを平良本人が受け入れたことが投手陣における最大のトピックとなる。多分、西口監督発案だとは思うが
貴重な先発投手が一人抜けたことでローテーションの再編が急務となるが、今井達也と隅田知一郎の二枚看板が軸となる
今井は「確実にアウトが取れる手段として、奪三振にはこだわる」とシーズン前から公言していた通り、初の奪三振王に輝くなど、普段の振る舞いや言動も含め、一気に大人になった印象がある
一方の隅田は決め球となるチェンジアップで50in以上投げた98人中、積み上げたPitchValueで1位、カーブでは2位とプロでも有数の「変化球の使い手」となり、今井を上回るイニング数を投げた
投球スタイルが全く違う二人だが、K-BB%やFIPを見れば同じような数値になっており、山へ登るルートは様々なんだなと思わされる。そしてこの二人は質の高さはもちろんの事、量をこなせるのは心強い。今年も離脱することなく、安定した投球を披露してほしい
第二グループとして期待していた武内夏暉だが、自主トレ中に左ひじの張りを訴えて離脱。検査の結果、「左ひじ内側側副じん帯不全損傷」と診断され、3週間ほどノースローで調整した後、約2か月後(3月末ごろ?)の実践復帰を目指す
完全に損傷していれば、トミー・ジョン手術といった話になっていただろうし、そうなると本人にとっても、チームにとっても大打撃を受けるのは必至なので、不幸中の幸いと言ったところか
昨年のシーズン後、プレミア12の代表候補に当初はリストアップされながらも、疲労などを考慮して外れることになったが、あの判断は大正解だったのでしょう。あそこで投げていて疲労が抜けないまま、今年に入っていたらと考えると恐ろしい
現実的にはゴールデンウィークあたりでの一軍復帰が一応の目安ではないか。そして一軍に復帰できたとしても、一か月ほどは90~100球前後で交代させて、問題が無ければ110球、120球と増やしていくなど、慎重な起用をお願いしたい。壊してしまっては元も子もないので
もう一人は復活を期す髙橋光成。悪夢とも言うべき一年を過ごし、今年は捲土重来となるか。0勝11敗の要因を全て光成のせいにするのは無理があり、先発で50in以上投げた投手のうち、援護率は最も低く、少なくとも一つも勝てないといったことにはならないだろう
ただ本人の中で納得したボールを投げられなかったのであれば改善すべきで、狙ったボールであっても必ず抑えられるわけではないが、結果オーライが永遠に続くほど甘い世界でもないので、根拠のあるボールを投げて抑えるのが理想的
元々三振を多く奪えるタイプではないが、20%以上の大台と、15%以上のK-BB%を目指して、復活いや進化したところを見せて欲しい
第三グループに属するのが昨年、ようやく覚醒の予感を見せた渡邉勇太朗。ここ2年は「奪三振<与四球」となるなど伸び悩んでいたが、昨年はストライクゾーンに投げた割合が50in以上投げた98人中、4位の好成績。これによってK%にさほど変化はないものの、BB%が大きく減り、それが結果に結び付いたのではないか
今年の課題はK%を増やして、K-BB%を一旦10%以上に乗せる事か。開幕ローテの4番手として計算に入れたいので、初の規定投球回クリアを目指して欲しい
平良のクローザー転向と武内が開幕に間に合わないことで、5番手以降の先発候補から不確定要素が強くなってくる
松本航は昨年、開幕から先発を任され、結果が出ていたにも関わらず、チーム事情で急遽、中継ぎへ。先発へのこだわりを持っていた事もあり、消化不良のシーズンを過ごした
松本の場合、「結果が出ていた」というニュアンスが微妙で、2022年をピークにK%とBB%、そしてK-BB%が落ち込んでおり、昨年は危険水域に入りつつある
2022年:128.2in K% 19.4/BB% 8.2/K-BB% 11.2
2023年:114.1in K% 17.9/BB% 9.7/K-BB% 8.3
2024年:41in K% 12.6/BB% 10.3/K-BB% 2.3
※先発登板時のみ
昨年のK-BB% 2.3は、先発で40in以上投げた82人中81位と結果的に抑えてはいたものの、運に恵まれた感がある
松本と言えば、ストレートをゴリ押しするイメージが強いが、ここ2年のPitchValueはマイナスに転落しており、唯一の武器を失っている状態。今年はプロ野球投手としての生き残りをかけた一年になる
與座海人も松本同様、2022年をピークにK-BB%が悪化しており、昨年は髙橋光成同様、身体を大きくして再起を図ったが、上手く身体を操作することが出来ず、遠回りの一年となってしまった
ただシーズンも終わりに差し迫った9月29日の試合では、2022年に地元沖縄での快投以来となる8三振を奪うなど、良いイメージのままシーズンを終えることが出来た。この投球を今年も見せたい
最後に菅井信也。今年は隠れた新人王候補と言ってもいい期待の若手左腕。空き枠が1つなら「今年はお試し枠で10試合ほど投げてくれたら」と思っていたが、2つ空いてしまった事で「できれば15試合ほど先発してほしい」とハードルを上げたいところ
菅井が何故これほどまで期待されているかと言えば、それはK-BB%の良さゆえ。昨年、二軍で50in以上投げた97人中、1位の好成績
菅井信也:76in K% 26.8/BB% 6.5/K-BB% 20.3
前田悠伍:65in K% 23.3/BB% 3.2/K-BB% 20.1
C.ポンセ:60in K% 26.2/BB% 7.7/K-BB% 18.5
DERはリーグ平均より下回っているにもかかわらず結果を残しており、リーグの平均レベルに落ち着いたらさらに抑えられる可能性も
とはいえ課題ももちろんあって、二軍では通用しているストレートが一軍では通用しておらず、変化球も含め、全体的な質を上げる必要がある
また一軍で投げ続ける体力もまだ備わっていないだろうから、仮に2~3試合結果を残したからと言って、無理をさせることなく、計画的にリフレッシュさせながら、一年間持たせる運用が出来たら理想的だがどうなるか
〈救援〉
契約更改の場で「平良海馬のクローザー転向案」に対し、本人が拒否をして一発更改といかなかったとのニュースがあった際、セイバーメトリクス的視点において、効果を下げるということもあるが【※セイバー的評価による"良い投手"に多くのイニングを任せることが効果的】、それと同じぐらいモチベーションを下げる起用法を"押し付けている"ことへの不安がありました
ただ次の契約更改では条件提示をアップした模様で、平良も納得してサインを行ったことで一応の決着が付く
昨年、右ひじを痛めたことであまりしてこなかった準備運動に時間を割くようになったようで、球速アップを含めクローザー転向に向け、準備に抜かりは無さそうです
平良に関しては元気に一年間、投げ続けてもらえれば、黙っていても勝手にやってくれるだろうし、心配はしていない。2022年にセットアッパーとして記録した【K% 33.2/BB% 8.0/K-BB% 25.2】を上回るぐらいの圧倒的な制圧力を見せて欲しい
昨年、クローザーとして28セーブを記録したアブバート・アブレイユと、派手なパフォーマンスで沸かせたジェフリー・ヤンとは契約更新せず、新たにエマニュエル・ラミレスとトレイ・ウィンゲンターを獲得した
アブレイユに関しては、何故引き止めなかったのか?という意見も散見されたが、一番大きかったのはK%ならびにK-BB%が高くないという事であろう
昨年、救援のみで30in以上投げた81人中、K%は66位。K-BB%は75位とかなり低い。そして年俸が1ドル150円換算で100万ドル(約1億5000万円)だったが、現状維持ではまとまらないだろうから、最低でも150万ドル(約2億2500万円)は用意しないといけない。だったらもう少し安くて、三振が奪える投手を探そうかとなったのではないか
ラミレスは昨年、30歳にしてようやくメジャー昇格を果たした苦労人
真上から投げ下ろす投球フォームで、球種はストレートとフォークの2種類で約90%を占め、ストレートはあまりシュート回転せず、むしろまっスラ気味。フォークもメジャーの平均よりはシュート回転していないのが特徴的
ウィンゲンターは若干、腕を下げたスリークォーターの投球フォームで、2020年にトミー・ジョン手術を受けてからは3Aが中心
スリークォーターから投げる投手特有のナチュラルにシュート回転するストレートとスライダーでほぼ占められるが、昨年からフォーク(スプリット)を投げ始めている
2人とも奪三振能力が高く、これが日本でも披露できるか。環境に慣れる必要があるが、豊田清一軍投手コーチはリード・ギャレットやヘスス・ティノコなど、外国人投手に対する指導やサポートに定評があるので、上手く順応してもらいたい
外国人投手2人と共に勝ちパターンの7~8回を任せたいのが、甲斐野央と佐藤隼輔。甲斐野は右ひじの違和感が原因なのか、昨年より2シームを投げるようになったことが原因か分からないが、K-BB%がキャリアワーストの成績に落ち込むなど、移籍における諸々の経緯も含め、大変なシーズンだった
2022年:25in K% 25.5/BB% 13.2/K-BB% 12.3
2023年:42.2in K% 22.7/BB% 7.6/K-BB% 15.1
2024年:18.1in K% 18.5/BB% 12.3/K-BB% 6.2
2シームはどちらかと言えばゴロを打たせる球種であって、空振りを奪う球種ではないので、増やすメリットはあるのか?シンプルに4シームとフォークの2種類ではダメなのか?投手に求められる100点の答えは三振であり、後ろの投手であれば尚更その要素は強くなる。再びホークス時代の輝きを取り戻すための一年となる
昨年はチーム最多の17ホールドを記録した佐藤隼だが、「ライオンズのセットアッパーは誰?」と聞かれて、佐藤隼の名前が即座に出る人は少ないのでは。消去法から「佐藤隼輔かな」とはなるが、起用法を見る限り、左投手が少ないチーム事情もあり、いまだ便利屋的ポジションから抜け出せない印象がある
その結果、ブルペンで何度も何度も準備する羽目になり、それにより疲労が蓄積される→コンディションの悪化し、怪我につながる恐れがある。と良いことが一つもない
準備に関してはチームの問題であり、監督のさじ加減一つで改善できるので、是非とも取り組んでもらいたいが、佐藤隼だけのことを考えれば、ポジションを固定されることが余計な準備を減らす一番効果的な方法となる
チェンジアップを効果的に使えるようになったことがいい方向に作用しているのか、K%ならびにK-BB%が年々良くなっており、そろそろポジションを確立したい
2022年:47in K% 16.1/BB% 10.7/K-BB% 5.4
2023年:39.2in K% 16.2/BB% 9.6/K-BB% 6.6
2024年:37.1in K% 20.8/BB% 11.4/K-BB% 9.4
ライオンズが中継ぎ強化に本腰を入れた理由の一つに、第二グループからの底上げが少ないことが挙げられる
田村伊知郎はK-BB%が10%を超えているが、それ以外の投手は軒並み5%以下と三振が奪えず、打たせて獲るスタイル。「打たせて」と言えば、意図的に、そして狙い通りに打たせている言葉遣いとなるが、実際に狙って打ち獲ることは不可能で、そうなると運の要素が強くなる
なので確実にアウトが奪える三振が重宝されるわけであって、そのような投手が一人でも多く出てもらいたいところ
上田大河、豆田泰志、羽田慎之介、黒田将矢、山田陽翔といった若手や、育成枠ながら一軍キャンプに参加している、黒木優太、ビクター・ロペスなど、新戦力の台頭が待ち遠しい
二軍・三軍における注目の投手は杉山遥希と成田晴風
「LIONS THANKS FESTA 2024」における堂々としたパフォーマンスも記憶に新しいところだが、杉山は三軍で5試合に登板し、見事な投球を披露し、二軍にチーム内昇格。二軍でもいきなり2試合(12イニング)を無失点に抑えるなど、1年目としては十分な成績を残した後、シーズン終盤には一軍デビューを果たすなど、上々のルーキーシーズンだった
二軍:9試合 44in K% 16.4/BB% 5.6/K-BB% 10.7
三軍:5試合 15in K% 28.1/BB% 7.0/K-BB% 21.1
2年目となる今年は二軍におけるエース格として、最低でも月に3回以上先発させてもらい、内容と結果を追い求めたい。そのタイミングで一軍ローテに空きが発生した時は、ガチガチでミスを連発したデビュー戦のリベンジを果たす投球を披露してもらえれば
成田は三軍で4試合に投げ、1四球のみでノーヒット、5三振を奪い、ストレートは軒並み150キロを超えるなど、上々の滑り出し。しかし首の不調を訴えた結果、「右第5頚椎神経根症」と判明し、7月10日に頸椎内視鏡下椎弓切除術を受ける
実践復帰まで約6か月と言われながら、9月29日の三軍戦に実践復帰し、その後はフェニックスリーグでも投げたが、精彩を欠く内容で不完全なまま復帰してしまったのでは?と心配な部分も
ただ怪我をする前の内容には目を見張るものがあり、仕切り直しとなる今年はまた唸りを上げるストレートが見たい
【最後に】
3年ぶりに2月1日からのキャンプインとなり、2025年のシーズンが本格的に始動した。広池球団本部長は「優勝を目指す!」と宣言しており、その心意気は素晴らしいが、現実問題としてこれだけ弱くなってしまったチームがいきなり強くなるほど、世の中甘くはない
いまだライオンズについて「野手を育てるのが上手い」と言ってくれる人もいるが、その人は数年前で情報が止まっており、実際は野手育成が枯渇しての惨状であって、ライオンズという名の枯れた土壌に再び、選手という名の種を蒔き、新しく加入したコーチが耕し、芽が出るまでにはそれなりの時間を要するだろう
ただ埼玉移転50周年を迎える2028年には復活(優勝)したいとの思いもあるはずで『ROAD TO 2028』が一つの合言葉となる
その為にも無駄に出来ない初年度、まずは
・得失点差をマイナス100を切る ※せめてマイナス二ケタ台に
・勝率4割以上
・源田、外崎に続く、若手野手の規定打席クリア
この3つを目標に頑張っていただきたい
目標として書くには低すぎる気もするが、昨年は点が取れなさ過ぎたし、負けすぎたので、若手の台頭によってすべてクリアし、希望の持てるシーズンにしてほしいと願っています
では👋👋
☆参考資料
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