当たり前を当たり前に【4/25】
昨日の話になるんですが、どうしても書きたかったので一日遅れで書いてます。
昨日の試合は追いつ追われつの展開で、延長10回表に途中から出場していた愛斗がプロ入り初安打となる三塁線を抜くタイムリー二塁打で勝ち越して、勝利を挙げたのですが、
打った事以上に印象的だったのが、攻撃が終わりチェンジとなる最中、愛斗が辻発彦監督に何やら叱責を受けている場面でした。
後の取材で辻監督は愛斗が三塁へ向かわなかったことを指摘していたとの事。
ベンチに戻った愛斗に対して
「ヒットを打って喜んでいる場合じゃない。
『なぜサードまで行かなかったのか』と。
サードまで行けば内野にプレッシャーがかかる場面だった」
と走塁の意識について指摘。
試合映像では分からなかったのですが、テレビ埼玉で放送中の「LIONS CHANNEL」に出演されている青木英李さんがバックネット裏から撮った動画がインスタストーリーにアップされており、それを見ると愛斗が二塁へ到達すると、二塁ベース上で一塁から長躯ホームインする森友哉の姿を見ているだけ。
カットマンから本塁へ送球するところは二塁へ向かう愛斗の視界に入っていますので、自分自身で判断が出来る。しかし二塁へ到達した時点で「自分の仕事は終わり」とスイッチを切ってしまった為、あわよくば三塁へ進むという選択肢を自ら放棄してしまいました。
殊勲の一打を放ったのに怒られている場面を見て、30年来のライオンズファン、もしくは野球ファンはあの場面を思い出したのではないでしょうか?
1992年の日本シリーズ第6戦、1点を追いかけるライオンズは2アウトから大塚光二が粘って四球を選び塁に出ると、続く秋山幸二が右中間を破る一打を放ち、一塁走者の大塚光二が古田敦也のブロックをかいくぐってホームイン。
プロ野球史に残る好走塁として記憶されている場面ですが、同時に貴重な同点打を打ったにもかかわらず、ベンチにいる黒江透修コーチやサードコーチャーの伊原春樹コーチから「何で二塁へ進まないんだ!!」と怒られている秋山幸二の姿が印象的でした。
辻監督は選手のミスに対してガミガミ叱責する姿を見せず、「終わった事は過去」と前向きな言葉を常にされていますが、
元々は広岡達朗監督の厳しい指導を受け、森祇晶監督のもと、こういった野球をしていた方なんですよね。
それこそ監督に就任した時、自分にも人にも厳しい辻選手を知っている人は「現代の選手は面食らって上手くいかないのでは?」と危惧したほど。
ですので辻監督のああいった姿を見て、「心の奥底では熱い魂が沸々と煮えたぎっているんだな」と妙にうれしくなりました。
そしてもう一つ思い出したのが、第二回WBCの決勝「日本vs韓国」戦でイチローが決勝タイムリーを放った場面でした。
この場面、平成時代のスポーツ史に残る名場面ですが、打った事に感動したのはもちろんの事、イチローが当たり前の様に二塁へ進んでいたことに私はある種の凄みを感じていました。
「そんなこと思っているのはお前だけだよ」と言われるかもしれませんし、実際イチローに「よく二塁まで走りましたね」なんて聞こうものなら「当たり前のことをいちいち聞くな」と、にべもない対応をされるとは思いますが、私にとってこのプレーはとても印象深いものでした。
ただ何度も書きましたが、辻監督にとってもイチローにとっても、少しでも隙があれば先の塁へ進むというのは「当たり前」の事で、その「当たり前」のプレーをしていなかったから愛斗はそのミスを指摘されたのでしょう。
まだ4年目でやっと一軍で初ヒットを記録した愛斗に辻監督やイチローと同じレベルを求めるのは流石に酷ですが、昨日出来なかったことを反省して、抜け目のないプレーができる様になれば、現在の外野陣に割って入り、レギュラーを獲得する日も近いのではないでしょうか。
そして愛斗だけではなく、現在のレギュラーやレギュラーを狙う一軍半の選手、虎視眈々と一軍入りを狙う二軍の選手たちが一つでも先の塁を狙うプレーができる様になれば、常勝チームになるはず。
その日が来るのを私は待っていますので、たまには「鬼の辻監督」を見せてくださいね(*'-')b
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