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いぬらぼ36 調査結果まとめ

ここまで35にわたる、いろんな種族の主力技のリード率の比較を行う中で、共通事項として浮かび上がってきたことをまとめていきたいと思います。中には「え!? マジで!?」と思われるような結果もあるかもしれませんし、「そんな当たり前な」と思われるようなものもあるでしょう。たとえ古参勢にとっては「当たり前」とされる理論であっても、それが数字という形で証明されたというのは、悪い話ではないと思われますので、ぜひ一度読んでいただければと思われます。

技性能

【前提】評価値が高い技ほどダメージ効率が良い
MF2バトルマニアを読んでいただいた方ならご存じの通り、「評価値」はコスト・火力・命中率・クリティカル率・モーション時間などから総合的に割り出したダメージ効率の高さであるため、この数字が高い技を主力にすれば理論上は勝率が高くなることになります。しかし、これには固定値であるガッツダメージが考慮に入っていません。一撃あたりのガッツダメージが大きいほど相手の攻撃回数を減らせる、いわば被ダメージを抑えることが可能になるため、最も評価値が高い技よりも、別の技の方が実際のリード率が高くなるケースは多く見られます。評価値の差が僅差で、使用回数も差がなく、ガッツダメージに差がある場合は多くの場合、ガッツダメージがある技の方がリード率では上回ってきます。ウンディーネの超アイスブレード<アローorアクアウェイブになるのも、ゲルの突き刺し<ムチになるのも、同じ理屈です。また、スエゾーのしっぽアタックとツバはきのように、評価値が僅差でガッツダメージ値も同じの場合は、命中率の高い技の方に軍配が上がるのが基本です。命中率が高い技の方がそれだけ、ガッツにダメージを与えられる機会が多くなるからです。ガッツダメージがリード率に与える影響は大きいと言えます。まとめると、以下のようになります。

【前提】評価値が高い技ほどダメージ効率が良い
・評価値が僅差で使用回数にも差がないなら、ガッツダウン効果が高い技の方がリード率は高くなる

ガッツ回復

【原則①】同じ種族同士なら、ガッツ回復が遅いほどリード率が高くなる
【原則②】基本は軽量級←中量級←重量級←軽量級(ガッツロック)の三つ巴の相性相関

今までのいぬらぼによるリード率の比較から見えてくる傾向として、基本的には多少手数が少なくなっても、大きな補正を掛けて攻撃をした方が、リード率は高くなっています。これはビークロンやゴーレムといった典型的な補正重視の種族は当然として、ナーガやスエゾーといった、典型的な手数重視とされる種族でも、この傾向が見られます。ここから導き出される結論は、原則は軽量種(手数)<重量種(補正) だということです。
ただし実際には、そこまで単純ではありません。いぬらぼ35で考察したように、重量種の方がリード率が高くなりやすい理由はダメージを与える能力が軽量種より高いからというよりも、補正によって受けるダメージが減少するからという事情が大きく関わっています。ナーガやスエゾー、ピクシーなどのように、圧倒的な手数を武器に攻撃するタイプは、多少確率が下振れても安定したダメージを与えやすいため、移動技術で相手を翻弄できるなら、おそらく軽量種の方が力を発揮できるでしょう。軽量種の方がガッツダウン技を効率よく使えることもポイントです。また、ラッキーやコロペンドラ、ダックンなどのように、主力技に大きなガッツダメージが付与されているタイプは、試行回数が増えれば増えるほど相手からのダメージを抑えやすくなるため、軽量種の方が安定するはずです。まとめると、以下のようになってきます。

【原則】軽量種(手数)<重量種(補正)
・モーションが短く、試行回数が多くなる技を主力にする種族は、移動技術次第で軽い個体の方が勝ちやすい
・モーションが短く、大きなガッツダメージを連続して与えられる種族は、軽い個体の方が勝ちやすい
・強力なガッツダウン技(コストが低い、コストに対するガッツダウン量が多い、命中率が高い、モーションが短い 等の条件を複数クリアする技)を持つ種族は、軽い個体の方が勝ちやすい

ここでも、主力技のモーションの長さと、ガッツダメージが重要な要素になっていることが分かります。いくつか例を見てみたいと思います。

【例1 ビークロンミラー】

いぬらぼ36-1

左はG16のビークロン、右はG12のビークロンです。45秒間で超つのを打てる回数はどちらも5回、つまり試行回数に差はありません。
左は補正によって命中率57%、右は補正によって命中率49%。当たる回数はどちらも2~3回。しかし補正によって一発あたりの火力は大きく差がついており、左は一発あたり231前後、右は一発あたり181前後。

左:ノーマルヒット1回とクリティカル1回で577前後
右:ノーマルヒット3回で543前後

同種族同士で試行回数にも差がないなら、補正で上回るG16種の方が、多少確率が下振れても余裕で挽回できることが分かります。このことから、

原則的には軽量種<重量種

だということが言えます。

【例2 ナーガミラー】

いぬらぼ36-2

左がG8(パニッシャー・トキビト)、右がG16(羽化テロル)です。ごらんのとおり、リード率だけを見れば、G16の方が9ポイント程度上回っていることが分かります。精査してみます。

左の突きは命中率53%、一発あたりのダメージは92前後、残り15秒までに打てる回数は9回程度。右は命中率66%、一発あたりのダメージは156前後、残り15秒までに打てる回数は約5回。
左は試行回数に対する命中率を考慮すると、命中は4~5回。1回クリティカルすると考えると与ダメージは414~506程度。
右も同じく試行回数に対する命中率を考慮すると、命中は3回。1回クリティカルすると考えて与ダメージはおよそ546。
見ての通り、差は歴然です。どちらの突きの当たり方も命中率どおりだったとするなら、G16種が与えるダメージは少なくともG8種より50~100程度も高く、有利な状態で終盤戦を迎えることになります。もちろん最終的な勝敗は残り15秒の終盤戦を制して決まりますが、終盤戦においてもG16種の方が命中率・一撃あたりのダメージが大きいというのはよほどガッツ差がつかない限り変わらないため、基本的にはG16種の方が有利であると言えます。

ただしこの例では、左は残り15秒までに突き9発、右は5発と、試行回数に大きな差があります。もし確率が左に味方し、突きが確率以上に6回ヒットしたとします。逆に右は確率以上に突きが外れ、2回しかヒットしなかったとします。そうするとこうなります。

左:598前後(命中6回、うち1回クリティカル)
右:312前後(命中2回、クリティカルなし)

差は一転して左優勢になります。右は少しでも確率が下振れすれば、左が確率どおりにヒットしたダメージ量(約414~506)よりも低いダメージになってしまうことが見て取れます。さらに、どちらも確率に嫌われ、左は9発中3回、右は5発中1回しか当てられなかった場合はどうでしょうか。

左:324前後(命中3回、うち1回クリティカル)
右:156前後(命中1回、クリティカルなし)

どちらも平均命中回数-2なんですが、ダメージ量は左(G8種)の方が大きく上回っています。このデータから、以下のことが確認できます。

①どちらも確率どおりなら、重量種の方が勝ちやすい。特に重量種の側の確率が上振れした場合、軽量種は厳しい
②重量種は確率が下振れすると、一転してピンチに陥る。一方軽量種は、多少確率が下振れてもある程度のダメージは期待できる。このことから、

どちらも確率どおりなら軽量種<重量種。ただし軽量種は試行回数が多いほど安定感が高まり、重量種は事故率が上がる

ということが言えます。

【例3 ラッキーミラー】

いぬらぼ36-3

左はG8種(ベビードール・メタルグレイ)で、右はG13種(ペブリー)です。超ソニックの打ち合いをした場合、左は残り15秒までにおよそ4発打つことができ、一発あたりのダメージは134前後、命中率はおよそ71%です。右は残り15秒までに2発、一発あたりのダメージは189前後、命中率は76%です(なお、この使用可能回数は、互いが受けるガッツダメージを考慮しております)。

このケースでは、簡易相性評価上は左51.7%、右48.3%と一見ほとんど差がないように見えますが、実際はもっと差が開いており、圧倒的に左優位とみるべきです。その根拠を解説します。

まず単純に、ダメージ比較です。左は4発打てて命中率が71%なら、およそ3回は当たる計算になります。右は2発打てて命中率76%なので、好意的に見て2発とも命中したとします。

左:469前後(命中3回、うち1回クリティカル)
右:378前後(命中2回、クリティカルなし)

この時点ですでにダメージレースでは左(G8種)優勢です。しかしこの程度なら、左が少し下振れしたり、クリティカルの回数などでまだ、右にも挽回できるチャンスがあります。
しかしこの技には、ガッツダメージ平均12がついています。超ソニックのコストは28なので、左が命中させた超ソニックのガッツダメージが上振れして、3発合計で50近いガッツダメージが出たりしてしまうと、もう右は超ソニックを1回しか打つことができません。つまりこのケースでは、

①左の超ソニックの命中率が下振れする
②左の超ソニックのガッツダメージが下振れする
③右の超ソニックが最低でも命中率どおりに命中する

あたりの条件を満たさなければ、勝機は薄いことになります。主力技に強力なガッツダメージ効果があり、手数でも差がついているために軽量種が有利になるケースです。

以上の3つの例から、概ねの手数と補正の有利不利の関係が見えてきたかと思われます。種族ミラーの場合や同じような技タイプの種族と対戦する場合に、ガッツ回復の差で不利になりそうなら、コストの低い技やガッツダウン効果の高い技を主力にすることで、不利を打開できる場合があります。

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