再会と対決と結末と

この間・・・と言ってももう先月のことになるけれど。

長年敵対していたある食べ物と再会することとなった。
ある食べ物・・・それは、

かた焼きそば

子どもの頃にはよく食卓に登場していたかた焼きそば。
私はかた焼きそばに対して、
”麺類なのに何故か麺がパリパリでよく分からないし、ついでに食べにくい食べ物”
という印象を抱いていた。
当時野菜炒めもあまり好きではなかった影響もあって、テンションの上がらないメニューのひとつ。むしろ嫌いの部類に入る食べ物だったように思う。

母や姉は好きだったようだが、私があまりにもテンションが低かったせいか、はたまたはっきり嫌いだと断言してしまったのか（つまり覚えてない）、だんだんと食卓に登場しなくなっていったメニュー。

そうして、登場しなくなって、そのまま別れてしまったかのように見えた。

が、誰かが「久しぶりに食べたい」と何気なく呟いたことから、あれよあれよと再会する方向へと話が進む。母と姉は元より好きだったのだから、当然といえば当然の流れかもしれない。
この流れに私も、「あの頃から味覚も変わってるし、今なら美味しく食べられるかもしれない」と僅かな希望を抱き、再会への一歩を踏み出した。（ただ単にダイニングテーブルに向かっただけ）

実に十何年ぶりの再会。

いただきますと手を合わせ、ドキドキしながらお箸を手に取り、ドキドキしながらかた焼きそばを口に運ぶ。

麺類なのに何故か麺がパリパリでよく分からないし、ついでに・・・

”美味しい”

これがどうして嫌いだったんだろうと過去の自分を疑うくらいの美味しさ。
野菜の餡もパリパリのかた焼きそばも、なんならちょっとふにゃっとしたかた焼きそばも美味しい。（それはもうかた焼きそばとは呼ばないのだろうか。ふにゃ焼きそば？）

ちらりと横を見れば母も姉も久しぶりの再会を喜んでいる様子。
みんなからかた焼きそばを取り上げていたようで悪かったなあと少しの罪悪感を感じつつも、かた焼きそばを美味しく食べられるようになった喜びの方が大きい。
またひとつ、私の味覚が大人になったその事実に、心の中でスタンディングオベーション。拍手喝采が鳴り止まぬ素晴らしい夕食となった。

かくして、この歴史的な対決はえりぴの勝利で幕を閉じたのである！

めでたし、めでたし！！

えりぴ