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【24年5月】今月のアート放浪記

2024年5月も空いた時間はフラフラと美術展や施設を巡りました。
(自分のための備忘録としてはじめたこのブログ、ちゃんと5ヶ月目に到達!)

先月までの訪問記録はコチラ。


春の江戸絵画まつり  ほとけの国の美術
@府中市美術館 5/6
GW最終日に府中市美術館に駆け込み。これまで日本画はじっくり鑑賞してこなかったけれど、例外として、長沢芦雪の狛犬の絵は特別に好きです。長沢芦雪の狛犬の絵が複数展示されると知って、伺いました。仏教と日本画をルーツを辿るような展示で、地獄の表す絵は、昔の作品とは思えないくらい色彩豊かで驚いた。江戸時代は、仏教の教えがいかに民衆に身近なものであったか知ることができて面白かった。もちろんお目当ての狛犬の絵は素晴らしかった。ゆるい雰囲気の輪郭と柔らかな色遣い、そして犬同士戯れる様子は、とても愛らしい。情景が浮かんでくるようで、ニヤニヤしながら、堪能させてもらいました。
@アクアパーク品川 5/7
空き時間に年パスをもっているアクアパーク品川へ。今回はベルサイユのばらとのコラボらしい。世代じゃないので、全然ピンとこなかったのだけど、クラシカルな音楽に合わせてパフォーマンスするイルカショー、とても楽しかった。
民藝 MINGEI― 美は暮らしのなかにある
@世田谷美術館 5/9
気になっていた民藝展へ。柳宗悦さんをはじめとした人たちが広めた民藝思想を辿りながら、衣食住の三テーマに分けられた民藝作品を鑑賞。ファストブランドが大量生産、全国展開する現代と違って、100年近く前は地域に根ざした手仕事をする職人さんたちが栄えており、同じ時代でも北海道、北日本、西日本、沖縄などで、全く異なるカルチャーが育っていたことが面白いと感じた。100年くらい前だと、伝統的な雰囲気はありつつ、現代にも通用するようなバイカラーの器や陶器などがあったのにも関心した。どの展示も解説がしっかりとあり、作品のルーツを見て、想像力を膨らませながら、器や服、家具を鑑賞できて、とても見応えがあった。企画展の締めくくりは、現代も残り続ける職人さんの仕事ぶりを紹介する動画と合わせて、工芸品の展示があり、非常に興味深かった。そのまま特設会場で買い物できてしまうというニクイ設計にも。笑 去年、富士吉田の布の芸術祭に出店されていた「Pacifica Collectives」で購入したラグのデザイナー、宮入圭太さんがデザイン監修したグッズもかわいかった。思わずピンバッジをゲット。そして、いつか柳宗理さんのバタフライスツールを我が家に迎えたい。今サントリー美術館や森美術館で民藝関連の展示をしているので、そっちも回らねば。
〜心に残った言葉メモ〜
「心の持ち方、美しさへの見方によって
充分暮しを豊にし美しくし
和やかにすることが出来ると思います」
柳宗悦
「世の中は、こんなローテクでなく、
効率的な方向に進んでいます。
でも、効率だけを重視するなら
人間でなくてもよいのでは」
小鹿田焼陶工 坂本浩二
草間彌生、具象を描く
@草間彌生美術館 5/10
草間彌生さんの初期作品の抜粋と、2010年代頃の作品がメインの展示会。ここ最近の草間彌生美術館の企画展の中だと1番好きだった。2Fフロアでは初期作や1990年代の作品がメイン。草間彌生=抽象ってイメージがあるけど、日本画風の作品や、静物や花、動物など、具体的なモノを書いたものが多くて、新鮮だった。同じ静物でも、リアルさを追求した画風から、現在の草間彌生らしいドット風な色合いなものと、作風の変容を辿ることができた。3Fフロアでは近年の作品がメインで見たことがあるものが多かったけれど、やはりキャンパスの大きさも相まって凄まじい迫力。モニュメント作品もいくらか出ており、歪な形と独特な色遣いにゾワっとした。草間彌生さんの作品は、禍々しくもあり、恐ろしくもあり、可愛くもあり、美しくもあり、見ているこちらの感情がカオスになってくる。4Fと5Fでは南瓜を楽しめた。5Fの南瓜は2024年作のもので、「YAYOI KUSAMA 2024」という手書きの文字を見て、涙が出そうになった。90歳を越えてなお現役で探求し続けられるって本当に凄いし、近年の作品から明確に伝わってくる死が迫っているという予感。自分は死を身近に感じた時、何をしているだろう。色んな感情の起伏を感じさせられた満足度の高い企画展でした。久々に図録も買った。
殿さまのスケッチブック
@永青文庫 5/10
はじめての美術館。美術館のある庭園は雰囲気が良くて広くて素敵でした。庭園の中の階段を登ると、かわいい建築が…といった感じで入場。タイトルの通り、殿様が描かれたスケッチブックを観覧する展示。個人的には、カワウソや鳥をはじめとした動物のスケッチブックに感動。線が細いのに、毛並みなどがしっかりグラデーションで表現されていて、当時そこにいた動物が目に浮かぶようだった。コンパクトながら4F建ての美術館で、レトロな内装のフロアを下りながら作品を鑑賞できてすごく楽しかった。
@東京カテドラル聖マリア大聖堂 5/10
去年くらいから自分の中でホットな教会建築。3ヶ月ぶりの訪問だったけど、荘厳な雰囲気は何度訪ねても感動。丹下健三建築好きとしては、何度でも行きたい。
平野杏子展-生きるために描きつづけて HIRANO Kyoko - A dedicated life for painting
@平塚市美術館 5/11
建築目当てで尋ねた平塚市美術館。内観の美しさが堪らず、ぼーっと眺めてしまった。はじめての作家さんでしたが、時を重ねるごとに作風が変化していっており、驚き。5人くらいの作家さんの展示を拝見したと錯覚するほど。独特な色遣いな作品が並んだと思ったら、ビックスケールで荘厳な作品、最後には抽象度の高い作品と、見応えがありました。作品名は読み方分からぬ…みたいなものが多かったのだけど、仏教系に関連した作品が多く、仏教系の知見があればもっと面白かったかもしれない。
1950~60年代の日本画-造形への挑戦
@平塚市美術館 5/11
平塚市美術館の常設展示。中村岳陵さんという作家さんの「花と犬」という絵が堪らなく可愛かった。
フランシス真悟
「Exploring Color and Space-色と空間を冒険する」
@茅ヶ崎市美術館 5/11
「これぞ美術館で体感する醍醐味だ!!!」というメッセージをいっぱい浴びた。今年行った企画展の中でも特にお気に入り。フランシス真吾さんのことは知らずに伺ったのですが、色と空間を冒険する、というサブタイトル通りだった。第一展示室の一見シンプルなように見える絵は、様々な顔料を用いて厚く塗り重ねられているらしく、見る角度によって色合いが変化して驚き。さらに驚いたのは、美術館の照明を使わず、自然光を受ける形で展示されており、意図的に自然光を遮る時間帯では、「同じ作品?」というくらいガラリと色遣いが変わって、感動。(スタッフさん曰く、天気によってまた見え方が変わるそう。)第二展示室では、コロナ禍中に大量に書き上げられた数十作品が壁一面に飾られており、圧巻の一言。お気に入りの一枚を探すのがすごく楽しかった。最後の第三展示室は、円形のフロアに飾られた、円形の一枚絵。自分の周囲を囲むような一枚絵を見ることって少ないので、貴重な体験だった。作品と建物構造の活かし方が凄まじく、写真や画像じゃ分からない魅力が詰まっていた。これこそが美術館へ足を運ぶ醍醐味なんだなぁと。一周するだけじゃもったいなくって、展示室を三周してしまった。素晴らしい体験でした。(スタッフさんが楽しみ方を詳しく教えてくださったので、心から感謝。)
犬派?猫派?
―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―
@山種美術館 5/12
ずっと楽しみにしてたので、会期初日の朝一番に訪問。
犬、猫の日本画、近代画を集めた特別展。見ているだけで何だか頬が緩む作品たち。やはり長沢芦雪の犬の絵は特に好き。ゆるい輪郭がたまらない。小さな美術館の強みを活かして、3周見て回れて満足。菊花子犬図のリトグラフ、家に飾りたいなぁ。「子犬の絵画史」という本も気になる。
〜特に気に入った作品メモ〜
(犬の絵画ばかりなので、皆似たタイトル笑)
薫風 麻田辨自
捕獲図 山口晃
雪中狛子図 円山応挙
狛子遊図 長沢芦雪
狛子 西山翠嶂
狛子 川合玉堂
菊花子犬図 長沢芦雪
和フリカ―第三の美意識を求めて―
@丸紅ギャラリー
新宿駅構内の広告を見て気になって拝観。ピカピカのオフィスビルの中にあるギャラリーで驚き。セルジュ・ムアングさんという、日本、アフリカのカルチャーをミックスさせた作品を手がけるアーティストさんのよう。アフリカの伝統的なマスクや像を漆塗りにしたり、アフリカ布を使って作られた着物などなど。漆塗りの置物って馴染み深いものだけど、塗られている対象が見慣れないフォルムばかりしていて、不思議な気分になった。緑色で漆塗りされた作品は特に印象深かった。すぐ見回せるギャラリーだったけど、作品作品のインパクトが強くって満足度高め。渋くて可愛い風呂敷がグッズにあったので、つい買ってしまった。笑 我が家のどこに飾ろうか。 母体が企業のギャラリーってたくさんあるんだろうけど、中々巡り会えないので、今度集中して検索してみよかな。
シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝
@森美術館 5/17
先日民藝展を観に行って関連して楽しめそうなので訪問。まず冒頭の展示室の聖堂のような荘厳な迫力に面食らった。床一面に煉瓦を敷き詰めてあり、その中に佇む複数のモニュメントが楽しめる設計でとても良かった。次はゲイツさんが手がけた建築の解説。黒人の方がどんな差別を受けてきたか、またそうした経験を後世に残すための建築が多いように感じた。そこからは常滑市や他の文化からインスピレーションを受けたであろう、ユニークな陶芸作品、彫刻が並び、見ていてとても楽しかった。最後はクラブミュージックが流れるフロアで音楽を聴きながら、陶芸作品やモニュメントを観るという稀有な経験ができた。企画展示室全体を通じて、静かな気持ちからだんだんとテンションを上げられていくような、そんな展示でした。会期中また行ってもいいなぁ。(思ったより空いていてゆったりしていたのも良かった。)
走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代
@菊池寛実記念 智美術館 5/17
こちらの美術館は地下にあるこじんまりとした美術館なんだけど、地下に降りる螺旋階段が本当に見事。地上の光を天井から取り込んで、キラキラ光っていて、神秘的な感じ。今回の企画展は、前衛陶芸。言葉の通り前衛美術の陶芸版って感じで、見たこともない造形がたくさん観れて、本当に面白かった。前期後期に分かれている展示のようなので、後期展示もまた行こうかな。
日本の山海
@松岡美術館
はじめての松岡美術館。白金台の住宅街の中にある美術館で、一階フロアはお庭を囲むように彫刻が置いてあり、のんびり休憩するためだけに入りたいと思った。笑 2階が企画展示室になっていて、さまざまな風景画を堪能。作品数が多くはないけれど、山岳風景などダイナミックなものが多くてよかった。この美術館で特に良いと思った点は、撮影可な作品でもシャッター音は厳禁!無音アプリ使ってくれ!というルールが。スマホのカメラのシャッター音ってやたら高くて、パシャパシャなると、集中力が削がれるというか。所謂映える展示なんかは特にシャッター音がフロア中に鳴り響いていて、作品に没入しきれない感があるので、こうした配慮はありがたいなぁ(一眼レフとかの撮影はOKかわからなかった)。写真は撮りたい勢ではあるものの、シャッター音が不快な方もいるだろうから、良い塩梅なルールが広がるといいなぁ。
〜気になった作品メモ〜
梅津五郎 鳥甲山初冠雪
真野広 焼岳
大河内正夫 御岳山
下村観山 富士
横山操 暁富士
瀑 加藤勝重
竹内栖鳳 晴海
TOPコレクション 時間旅行
千二百箇月の過去とかんずる方角から
@東京都写真美術館
移動の途中でぐるっとパスを使ってふらっと入った。時間の都合、じっくりは観れなかったけど、戦前の三越の開店記念ポスターとか渋谷駅の写真とか、原風景を感じられて楽しかったなぁ。
青山悟 刺繍少年フォーエバー
@目黒区美術館 5/19
青山悟さんの作品ははじめて拝見したのだが、凄まじかった!フライヤーに使われている都会の風景もまさかの刺繍でつくられたもの!刺繍って洋服とかに施すイメージが強いけれど、刺繍で絵をつくるというのは、斬新。特に感動した作品は、フライヤーの作品と世界地図の刺繍絵。世界地図を刺繍で再現しているのだけど、よく目を凝らしてみると、国境と国名まで縫われていた。更に驚くのが国境などは蛍光色の糸で縫われていると思っていたら、展示室がだんだん暗くなって、国境や国名がハッキリと視認できるように。刺繍作品でもこうした遊び心が加えられるのだと、自分の中での刺繍作品の概念が塗り替えられた感じ。小学校でワークショップされていたり、教育にも携わっていて、素敵だと思った。
東京建築祭
@中央区 5/25
楽しみにしていた東京建築祭!ただ体調が優れず(涙)、築地本願寺とカトリック築地教会だけ、拝観。もっとじっくり観たかったなぁ。

6月以降は、土日中心での展示巡りになるので、観れる母数は減ってしまうので、名残惜しい。
おおよそ行きたい展示をリストアップしていたら、8月末までの予定が埋まりつつある。
6月は久々に軽井沢の方にも遠征いこうかな。
今年度はぐるっとパス101施設をコンプ目指すのも良い。
楽しみは尽きない。

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