#011 沖縄のビール「オリオンビール」の謎
こんにちは。社会科コンテンツクリエイターのモチオカです。
沖縄のビールといえば、やっぱりオリオンビールですよね。
オリオンビールは全国的にはシェア5位です。アサヒ、キリン、サントリー、サッポロに続いて5位。でも、沖縄ではオリオンビールがシェアの約5割を占めています。これはなんでなのか?
沖縄でオリオンビールが圧勝している理由、大手4社が沖縄でもっと頑張らない理由、そしてオリオンビールが沖縄以外でなぜ活躍できていないのか、調べて考えてみました。
まず、オリオンビールが沖縄で強い理由の一つは「安い」ことです。沖縄が1972年に本土に復帰した後、沖縄企業は優遇されました。沖縄と本土の間には大きな経済格差があったので、そのまま対等に競争すると沖縄企業は負けてしまう。だから、沖縄の企業は税金の面で優遇されたんです。
特にお酒に関しては、酒税が軽減されました。この優遇措置は、沖縄が本土に復帰する前から製造免許を持っていた沖縄の酒メーカーだけが対象で、当初は5年間の特別措置だったんですが、それが今も続いているんです。これによって、オリオンビールは他のビールメーカーよりも安くビールを作ることができました。
さらに、大手4社が沖縄にビール工場を作るメリットが少ないことも、オリオンビールが沖縄で強い理由です。ビールって重いし輸送費がかかるので、できるだけ消費者の近くで生産したい。でも沖縄は市場が小さいから、わざわざ工場を作るメリットが大手にはないんです。
だから、大手は九州あたりからビールを輸送することになり、その結果、輸送費がかかってしまう。たとえ価格をオリオンビールと同じにしても、利益が少なくなってしまうので、あまり沖縄で頑張る理由がないんですね。
もう一つ、仮説ですが、沖縄の人たちが地元志向であることも理由の一つかもしれません。沖縄の人たちは「外から来たビールより、地元のオリオンビールがいい」と思っているのかもしれません。
これは、沖縄の人たちが内向きな傾向があるのではないか、という仮説です。例えば、沖縄で生まれ育った人が一度県外に出て戻ってきたとき、急によそ者扱いされる、という話を読んだことがあります。これがオリオンビールにも当てはまるのではないか、というのが私の仮説です。
しかし、ここでさらに疑問があります。なぜオリオンビールは全国であまり活躍していないのか?
大手4社が沖縄に進出しにくいのは理解できますが、オリオンビールが本土に進出するのは、税金の面でも不利ではないですよね。むしろ、沖縄でこれだけ強いなら、本土でもっと頑張れるはずです。それなのに、なぜオリオンビールは本土でそれほど有名になっていないのか?
これは、もしかすると「やる気」の問題なのかもしれません。オリオンビールは税制面で守られているので、無理に本土で競争しなくても、沖縄で十分やっていける。だから、本土で勝負しなくてもいいか、という気持ちになっているのかもしれません。
ちなみに、この税制優遇措置は2026年に終了する予定です。これからオリオンビールがどうなるのか、注目していきたいところです。