京都の朝ごはん
先輩から飲みに誘われ、どうせならGoTo使って安いホテルに泊まってそのまま京都の美味しい朝ごはんを1人贅沢に食べる計画を立てた。
1人優雅に京都モーニング、ふふ、素敵やん。
朝8時に予約した、完全予約制の朝ごはん屋さん。
1人分土鍋でゴハンを炊いてくれる。
美味しいものは心と身体を元気にするなぁ。
そんなこと思いながら1人でもりもりごはんを食べていたらふと、隣の若いカップルがほぼ喋らずに同じ朝ごはんを食べていた。
全然喋らんやん。
こんなに美味しいのに。
そういうカップルなんかな???
あ、もしかして、1人で寂しくごはんをもりもり食べてる私に同情して気を遣ってる???
気を遣わないで〜私は幸せよ??昆布の佃煮がこんなに美味しいと気付いた人生最高よ???
まぁ赤の他人にそんな気を遣うわけないか。
そう思ってたら彼氏が少しずつ彼女に話しかけ始めた。
「美味しいね。」
「予約してよかった。」
「八つ橋どこで買おうか。」
「京都のお土産屋は何時からだろうね。」
恐らく関東圏から来たカップルの彼氏は彼女にずっと話しかけてるのに彼女の返事は私の席からは聞こえなかった。よっぽど声が小さいんやろな。
そしたら彼氏がついに
「機嫌悪い???それとも眠いだけ???」
米を吹き出しそうになった。
彼氏、不憫。かわいそうに。そういうカップルじゃないんだ。嗚呼せっかくGoTo使って京都まで来て、美味しい朝ごはんを食べに来てるのに、彼女がふてぶてしいんだね。きっとこんなに美味しい土鍋のお米もほぼ味しないんだろうね。嗚呼、もっと、もっと彼らの会話が聞きたい。
彼女の返事はやはり小さくて聞こえなかったが、恐らく朝からこんなに朝ごはん食べれない的なことを言ってる気がした。
まぁ確かにボリューミー。でもそんなにふてぶてしくしなくてもいいのに。
その後彼女はトイレで席を立った。
彼氏は彼女がいない間ただひたすら、朝ごはんを食べていた。まるで早く片付けなきゃという感じで口に京料理を運んでた。
嗚呼、彼氏。これから彼女のこのふてぶてしさを解消する為にどうするんだろう。一旦ホテルに戻るのかな??それとももうホテルには戻らず観光でもするのかな。清水寺とか行っちゃうのかな。そんなもんじゃ彼女の機嫌は直るのかしら。抹茶スイーツが食べたくても朝ごはんで胃がパンパンで入らなくてカフェにも入らないかもね。帰りの新幹線は20時と言っていたね。まだまだあるけど、頑張って。20時までそんな女と一緒だなんて、私ゾッとしちゃうわん。
トイレから戻ってきた彼女はその後ずっと手鏡で自分の顔をチェックしてた。
こういう子に限ってインスタで「#美味しい朝ごはん #京都デート #予約してくれた彼氏さんに感謝 」とかタグ付けして朝ごはんの写真を投稿してるんだろうな。
彼氏、あなたがそれで良いなら良いんだよ。
「美味しいけど、朝からなかなかこんなに食べることあまりないから苦しいね」とニコッと笑う女よりも、そういう女が良いなら止めないよ。
彼女の機嫌に振り回されるのが好きなのかもしれないしね。
私は美味しい朝ごはんと君たちの会話が聞けてとても楽しかったから、君たちの京都の旅が幸せであることを祈るよ。
カップルは私よりも先に店を出た。
店を出た途端、彼女が
「隣の人、1人で来てたね。なんか寂しい人なのかと思って黙っちゃった。」
と彼氏に言ってないことも祈る。