憧れだった、人
今よりずっとずっと昔に
あだ名が欲しい、
と憧れの女性に伝えたことがある。
わたしにとって常に可愛らしくて
正真正銘お姫様であり続ける彼女。
言葉選びがどれをとっても美しくて、
少しでも近づきたくて
その感性を自分も纏いたい気持ちが多分に含まれた言葉だったなと今思い返すと気恥ずかしくなる。
「“ななたん”とか…?」
ななたん。驚愕。その当時わたしが使用していたハンドルネームと一文字も被らない。
センスって難しい…そう思いつつ由来を聞いてみると納得。どうやら連想ゲームらしい。
きっと今までもこれからもななたんと呼んでくるのは彼女だけだろう。
今になって当時のことを思い出したのは、
わたしは彼女の紡ぐ文章が好きだったから。
自分の言葉を書き綴る場を思い浮かべると、
どうしても切っては切り離せない。
ロリィタを纏い華やかに着飾る姿も
甘く揺蕩う言葉達も全てわたしのロールモデル。
思い出は今も変わらずわたしの前で美しさを保ち続ける。本名すら知らなくとも。