きょうだいだから、恋愛はできないと思ってたけど、結婚してしまった。
こんな私が恋愛をしていいのか。
結婚を望んでいいのか。
兄が障害を持っていることは、いつも私に後ろめたさを感じさせた。
でも、そんな私も、今では結婚している。
そして、不思議なことに、兄と夫はなぜだかとても仲が良い。
私の実家に行くと、一緒にテレビを見たり、おしゃべりしていたりする。
素直に出せないけど、本当はとっても心が温まる瞬間だ。
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でも、それは今だから、の話。
夫に初めて兄のことを伝えるとき、
受け止めようと頑張ってくれちゃうんじゃないか、どうしたらいいんだろうと困らせてしまうんじゃないか。
本当はきょうだいじゃないひとと付き合えた方がいいんじゃないか。
答の出ない問いで、頭がいっぱいだった。
そんな気持ちの一方で、反応が返ってきたらきたで、偉そうに、敏感に、相手の反応を気にしまう自分も嫌だった。
言いたくて、でも言えなくて。
毎日毎日、幸せな気持ちと、言えない気持ちとの闘いだった。
でも、打ち明けよう、と覚悟したあの日。
精一杯話したあとに、言ってくれたのは、
「お兄さんと早く仲良くなりたいなぁ。俺みたいなひと、怖くないかな?」
「とりあえず会ってみたい!好きな食べ物とかある?」
という、なんとも肩の力が抜ける言葉で。
(※夫は全く怖くないけど、兄より年上で、背が高く筋肉質なので気にしていたらしい。笑)
夫の精一杯の優しさだとわかってるけど、
兄を「ひと」として扱い、仲良くなりたいと思ってくれたことが、ものすごくものすごく、嬉しかった。
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私は、親亡き後への不安をたくさん抱いてしまうけど、きっと旦那はそんなこと知らない。私は心の中で時々、兄の悪口を言いまくっているし、あんな奴いなければ~!とムカムカしている日もあるけど、それも秘密。
そして、旦那もきっと私に言えない葛藤や、迷い、悩みがあったと思うし、今もあると思う。ちょっと苦しくなるし、申し訳ない気持ちもある。
でも、それは少しずつ、少しずつ、話し合いながら乗り越えていくしかない。悩ましい部分もあるけれど、兄の横で笑ってくれる旦那を、今は、大切にしようと思う。
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過去には、兄のことを告げた途端音信不通になった人もいたし、お断りしてくる人もいた。逆に、そんなの気にしないから!と明るく言われすぎてモヤモヤしたこともある。
でも、弱かった私がここまで来られたのは、
大好きな先輩が、きょうだい児と付き合い、結婚する様子を間近で見せてもらったから。
いっぱい悩んだと言っていたけれど、それでも前向きに、幸せに笑うそのご夫婦に、私はものすごく救われたし、たくさん話を聞いてもらった。
だから、今の私がある。
きっと、ひとりでは、結婚しようと思えなかったと思う。
口にすることで終わってしまった恋愛もあったし、相談したところで逆に傷ついたこともあったけれど、
助けてくれる人がいたり、同じ境遇の人と話せたり、旦那のように理解のある人と出会えたり、
結局はひとに支えられてここまで進んでこられたんだって、心のそこから思っている。
ひとりで考えていた頃、私は本当に苦しかった。もっと早く相談できていたら、と思う気持ちも正直ある。
きょうだいや、きょうだいのお相手の方が、一人で悩みませんように。
幸せな恋愛、幸せな結婚をしてほしいと、心の底から願っています。