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カエルと迷子の山小屋 "The Secrets of Change Hidden in the Mountains"

あの瞬間、私は自分の人生で一番のミスを犯したかもしれないと思った。

山頂を目指すために早朝から歩き続けていた私は、分岐点でなんとなく「こっちが近道っぽい」という謎の直感に従って道を選んだ。その結果、案の定、完全にはぐれてしまったのだ。青空の下、心地よい風が吹いているにもかかわらず、私の心はパニックでぐるぐるだった。

「落ち着け、小春。深呼吸だ。まず状況を整理しよう」

そう、自分に言い聞かせながら、しゃがみこんで大きなバックパックを降ろした。鮮やかなブルーのジャケットとピンクのアクセントが入った登山靴は、山岳部のエース・麻衣先輩が選んでくれたものだ。「これなら山で目立つから迷子にならないよ!」って。でも、目立っても人がいなきゃ意味がない。

何より、私、小春は高校2年生。特別運動が得意なわけでもないし、山登りだって初心者レベル。それでも「山岳部に入ったら何か変わるかも」と思ったのが運の尽きだった。今、完全に一人ぼっちでこの広大な山の中に取り残されている。

「あーあ、どうしよう…」

頭を抱えて座り込んだそのとき、ふと目の前に古びた山小屋が現れた。

こんな場所に建物なんてあったっけ?

いや、見間違いかもしれない。でも、目をこすってもその山小屋はそこにある。木造で、どことなく温かみのある雰囲気。煙突からはかすかに煙が立ち上り、まるで誰かがいることを示しているかのようだった。

「助けてくれる人がいるかも!」

期待と不安を胸に、私はその小屋のドアをノックした。しかし、返事はない。そっとドアノブに手をかけると、意外にも簡単に開いた。

中に入ると、不思議な静けさが広がっていた。外見からは想像もつかないほど広々としていて、壁には古びた登山地図やモノクロ写真が所狭しと貼られている。どことなく時間が止まったような空間だった。

「こんにちは?誰かいますか?」

返事はない。ただ、小さな薪ストーブが静かに燃えているだけ。その暖かさにほっとしつつ、私はさらに奥へと足を踏み入れた。

そのときだった。

「迷子かい?」

突然、背後から声がした。

驚いて振り返ると、そこには私と同じくらいの年頃の少女が立っていた。肩までの黒髪を小さなリボンでまとめ、どこか古風なワンピースを着ている。目は大きく澄んでいて、全体的に現実離れした雰囲気を漂わせていた。

「ごめん、驚かせちゃった?」

彼女は微笑んだ。なんだか見てはいけないものを見たような気がしたけど、怖い感じは全くしない。むしろその笑顔は不思議な安心感を与えてくれる。

「い、いや、こっちこそ勝手に入ってごめん。でも、あなたは誰?こんな山奥で何してるの?」

「私?澪。ここでちょっと用事があってね。それより、君はどうしてここにいるの?」

その問いに、私はこれまでの経緯を簡単に説明した。すると澪は頷きながら、「なるほど」と小さくつぶやいた。

「君、迷子になるの得意そうだね。」

「失礼な!初めてだよ、こんなこと。」

「まあ、いいじゃない。それで君、これからどうするつもり?」

「どうするって…仲間を探すしかないけど、どっちに行けばいいのかわからなくて…」

すると澪は少し考え込むような仕草をした後、言った。

「じゃあ、ちょっとお茶でも飲んでいく?焦ってもいいことないよ。」

そう言って、彼女はストーブの上に置かれた小さなポットからカップに紅茶を注いでくれた。その香りはどこか懐かしく、疲れ切った体にじんわりと染み渡る感じがした。

「ねえ、小春ちゃん。」

「なんで私の名前知ってるの!?」

「そんなの、大したことじゃないよ。」

彼女の口ぶりには何か秘密があるように思えたけど、追及する気になれなかった。その代わり、私は自然と自分の話を始めてしまった。部活での悩み、進路のこと、そして自分がどこか自信を持てないこと。

澪はそれをただ黙って聞いてくれて、時々、「そうだね」とか「わかるよ」と相槌を打つだけだった。でも、その聞き方が不思議と心地よくて、どんどん話したくなる。

「ねえ、小春ちゃん。君はカエルが好き?」

「え?急に何?」

「ほら、カエルってさ、オタマジャクシから変わるでしょ?君も今、その途中なんじゃない?」

なんだそれ、と思いつつも、どこか腑に落ちる部分があった。自分がまだ未完成で、これから変わっていける、そんな気がしたのだ。

澪との会話はその後も続き、どれも妙に的を射ていて、なおかつ笑いを誘うものばかりだった。

しかし、気づけば眠気に襲われてしまい、私は眠気に勝てず、その場で眠りに落ちてしまった。

目を覚ますと、澪も山小屋も跡形もなく消えていた。ただ、胸には彼女の言葉が深く刻まれていて、足取りも心なしか軽く感じた。

「カエルか…よし、行くか!」

私は仲間を探しつつ、新たな一歩を踏み出した。


小春は再び登山道に戻り、仲間たちを探し始めた。しかし、どこかで見たはずの道が少しずつ違って見える。木々の間から差し込む朝日が奇妙なほど鮮やかで、鳥の声さえもどこか調子がずれているような気がした。

「なんか変だな…気のせいかな。」

少し歩くと、先ほどまで見えていた風景がふっと変わり、目の前に大きな湖が現れた。澄んだ水面には空が映り込み、まるで鏡のように静かだ。

「あれ?こんな場所、地図にはなかったはずだけど…」

湖のほとりには、一人の青年が座っていた。彼は木の枝を削り、何かを作っているようだった。近づいてみると、ふいにこちらを振り返った。

「おはよう。君もここに迷い込んだのかい?」

彼の声は穏やかで、どこか懐かしさを感じさせた。青年は名を光(ひかる)と名乗り、ここで何日も過ごしていると言う。

「何日も?じゃあ、ここから出られないの?」

「そうとも限らないよ。出ようと思えば、きっと出られるさ。でも…澪に会ったんだろ?」

「なんでその名前を知ってるの?」

光は答えずに微笑んだ。そして、小春に木で作った小さなカエルの彫刻を手渡した。

「これ、君にあげる。きっと役に立つよ。」

小春は戸惑いながらも、その彫刻を受け取った。触れると、不思議な温かさが伝わってくる。

「それじゃあ、良い旅を。」

光はそう言うと、再び木の枝を削り始めた。小春は礼を言い、その場を後にしたが、彼の言葉がどうしても気になった。

歩きながらカエルの彫刻を見つめていると、澪の言葉が頭をよぎる。

「カエルってさ、変わるんだよね。」

その瞬間、背後で木々がざわめき、ふいに強い風が吹き抜けた。振り返ると、湖も青年も跡形もなく消えていた。

小春の心は、どこか澪の山小屋での出来事を思い出させる不思議な感覚で満たされていた。そして、その感覚が彼女に確信を与えていた。

「私はまだ変われる…絶対に。」

そう自分に言い聞かせ、小春は足を踏み出した。どんな道が待ち受けていても、きっと自分は乗り越えられると信じながら。


<終わり>


※作品は完全なフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係がありません。


この物語について

人工知能との対話から紡ぎ出された短編小説の世界へ、ようこそ。この物語は、人間とAIの創造性が織りなす新しい物語表現の試みです。どうぞ、ゆっくりとお楽しみください。

今回の創作に使用したテクノロジー

AI画像生成

  • ツール:Stable Diffusion WebUI AUTOMATIC1111

  • 使用モデル:bluePencilXL_v700

  • 画像加工:Adobe Photoshop Express、PhotoScape X

AI小説作成

  • ツール:ChatGPT

これらの最先端のAIツールを通じて、新しい形の創作表現に挑戦しています。

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