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誤診〜女性化乳房

小学4年生の頃、両胸の乳首のところに小さなしこりができた。しかも触るとまぁまぁ痛かった。

女の子は成長期を迎えると胸がふくらんでくるわけだが、その過程で乳房が痛くなったり、しこりのようなものができたりする。

当時、私の胸はまだペッタンコで、成長期による痛みが生じていたのだった。
しかし、初めてのことだったので私には原因が分からなかった。

母に言ったところ、母も分からなかったらしく、「何でだろう…」と首をかしげた。
母は経験しているはずなのだが、覚えていなかったらしい。

1週間以上痛みが続いていたため、近所の病院で診てもらうことになった。
おじいちゃん先生がやっている病院で、風邪の時によく行っていたので看護師さんたちとも顔見知りだった。

私はその先生に、胸の先にしこりがあって、触ったり走ったりすると痛いことを説明した。
先生に触診してもらい、たしかにそうだということになった。

すると先生は少し険しい顔をして、「これは女性化乳房だな…」と言った。

女性化乳房?
私はその言葉を聞いて一瞬「?」となった。

女性化も何も、すでに女だけど…。
それとも大人の女性になるってこと?

女性化という言葉に混乱していると、それを横で聞いていた看護師さんが、
「やだ先生、もち米ちゃんは女の子ですっ!
とツッコミを入れた。

当時私の髪型はショートカットで、よく男の子に間違えられることがあった。
このおじいちゃん先生も私を男と勘違いしていたらしい。名前を見れば女の子だと分かるはずだが…。

おじいちゃん先生は少し驚いた顔をしたあと、「あ、ならただの成長期だわ」と訂正した。

成長期による痛みということで診断を終え、私と母は病院をあとにした。


何かの病気ではなく安心したが、女なのに女性化乳房と診断されるのはレアな経験だったと当時を思い返す。
まさかそんな時にまで男に間違えられるとは思わなかった。

もし自分に娘ができて年頃に胸が痛いと言ってきたら、この時のやり取りを思い出すに違いなかった。

おしまい

※女性化乳房:男性の乳房に発育が認められる疾患

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