![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/80499893/rectangle_large_type_2_672bf4205a8631494af68339f9ae78e3.jpeg?width=1200)
2022年冬春アニソン【進撃の巨人・呪術廻戦0・サマータイムレンダ】
2021年のアニソンはこちら↓
今回は2022年冬春のアニメから3曲を紹介します。
☆☆☆
進撃の巨人 Final Season Part2
OP:SiM「The Rumbling」
ED:ヒグチアイ「悪魔の子」
まず「The Rumbling」が衝撃的でした。
まさか地鳴らしがテーマのオープニングになるとは…
この曲はイントロも無しに「Rumbling!Rumbling!」という声から始まるので、聴いた瞬間の衝撃が凄かったです。なんか緊急地震速報の音(地震です、地震です)みたいじゃないですか。それに曲中にシャウトする所は巨人の叫びにも聞こえました。
ただ歌詞に着目するとエレンの苦悩と本音が語られています。
まず地鳴らしは進撃の巨人で絶望を運ぶものと描かれていました。地鳴らしで民や国そのものを踏み潰してしまうからです。その一方でエレン自身も絶望していました。それが語られているのが「The Rumbling」であり地鳴らしのインパクトだけではない魅力があります。
ヒグチアイ「悪魔の子」
オープニングがエレンに着目した歌であるならば、エンディングの「悪魔の子」は進撃の巨人のテーマそのものに着目した歌です。(※曲の解説にFinal Season Part2までの内容を含みます)
進撃の巨人で描かれたのは一貫して「人間の愚かさ」でした。
本来同じ人種のはずが社会的に分断され、憎み合う。
人種の異なる人間に優劣をつけて、権力で従わせる。
正義の為に戦っていたら、無関係の人が犠牲になった。
敵だと思っていた人は誰かの大切な人だった。
みな平和を望みながら人間同士で殺し合っている。
これがいかに愚かで虚しいことか…
「悪魔の子」でも「僕らはなんて 矛盾ばっかなんだ」という歌詞がありました。進撃の巨人でこの事実に気づくのは物語の終盤、Final Seasonに入ってからです。
物語が進むにつれて、誰もが「敵は誰か?正義とは何か?」を考えるようになります。ようやく本当に大事なことに気づいた時、世界は取り返しのつかない事態になっていました。
「悪魔の子」は特定の誰かを歌っているわけではありません。
人間は誰しも悪魔の心を持っています。
進撃の巨人でも悪魔という単語は度々登場していました。「悪魔の末裔」や「島の悪魔」は全てパラディ島の人々(エルディア人)を指す言葉です。元々は(巨人化できる)エルディア人に対する恐怖心や憎しみから生まれた言葉であっても、エレンたちの時代では蔑む意味合いで使われています。その扱いもひどく、特にマーレに取り残されたエルディア人は差別の対象でした。
しかしエレンたちもマーレとの戦いで多くの犠牲を出しました。敵も味方もです。さらに地鳴らしの被害者も含めたら、その数は計り知れません。こうした背景まで知ると本当の悪魔とは何か分からなくなると思います。
悪魔の正体についてはヒグチアイさんがインタビューで語っているように、進撃の巨人124話で言及されていました。
それまで互いの存在を許せなかったガビとカヤは初めて助け合う行動を取ります。その後、二人の会話のなかでガビは「人をたくさん殺した自分は悪魔だ」と話します。これに対し、ニコロはこう言いました。
ニコロ:「そいつは俺の中にもいる。カヤの中にも誰の中にもみんなの中に悪魔がいるから世界はこうなっちまったんだ」
ニコロの言葉を解釈すると、悪魔の心は誰しもが持っていてそれに抗い続けることが平和への一歩に繋がる…という意味ではないでしょうか。逆に言えば、みんなが憎悪や間違った正義など悪魔の心に支配されたから世界は取り返しのつかない事態に陥ったことになります。
♢
また悪魔の子で思わずハッとした言葉がありました。
この言葉も 訳されれば
本当の意味は伝わらない
進撃の巨人に置き換えるならば、パラディ島の人々は”エルディア人”という名前があります。同じエルディア人からは「ユミルの民」と呼ばれ、他の国々からは「悪魔の末裔」と呼ばれていました。
つまり「エルディア人=悪魔の末裔=ユミルの民」が同じ人を指しているのに意味は全くもって異なる訳です。エルディア人にとって始祖ユミルは国を発展させた希望の象徴でした。しかし他国にとって巨人は恐怖の対象でしかないため悪魔と名付けられました。
始祖ユミルの存在は事実ですが、歴史はその国の視点で語られます。そして言葉はその土地の文化や信仰から生まれます。このようにして全く意味合いが異なる言葉が複数存在するようになりました。
「この言葉も 訳されれば 本当の意味は伝わらない」とはまさにその通りで、国も文化も違う人に理解してもらうのは実に難しいです。
マーレにいた際、ガビは自らを”善良なエルディア人”と称し、パラディ島のエルディア人を”悪魔の末裔”と呼んでいました。しかしパラディ島に潜入し、本当のエルディア人を目の当たりにしてからは悪魔は自分だと言っています。この変化はなんでしょうか。
これは進撃の世界だけでなく現代にも当てはまるはずです。国や言語が多様になればなるほど歴史は複雑に絡み、平和への道のりは難しくなります。そのうえ実際に目で見て経験しないと分からないことも多く、遠く離れた国が他人事に聞こえるのも無理ありません。情報が溢れた世の中で既に翻訳された状態で耳に入っても、それが最新の情報だとしても、”本当の意味”を理解するのは想像以上に難しいことなんじゃないかと感じました。
進撃の巨人の世界観を一曲で表現したのはまさに見事としか言えません。ぜひ全ての歌詞に耳を傾けて聴いてほしい曲です。上記に載せているアニメスペシャルVer.は進撃の編集がされているので、より感情移入できると思います。
※インタビュー記事参考
ヒグチアイ「悪魔の子」インタビュー自分を豊かにすること
【インタビュー】ヒグチアイ新作『最悪最愛』から紐解く、歌にしかならないもの
(※ちなみに上記に引用しているニコロの言葉には続きがあります。その台詞の意味を理解するには進撃の巨人28巻111話も一緒に読んでみてください。)
劇場版 呪術廻戦0
King Gnu「一途」
King Gnu「逆夢」
King Gnu「逆夢」
どちらもKing Gnuが主題歌を担当しています。
両方好きですが「逆夢」は映画館で涙を流しました。
劇場版のクレジットで流れていて、映画の余韻に浸るには最高の曲です。本編からクレジットに移るまでの流れがとても自然で、思わず聴き入ってしまう感じ。King Gnuは曲を聴かせると没入感がすごいですよね。
胸を締め付けられるような曲に思わず涙を流していて、映画で泣いたのか曲で泣いたのか一瞬分からなくなりました。おそらく両方だと思いますが、アニメでストーリーを体感した後に「逆夢」を聴くと何倍も感動します。アニメ主題歌の相乗効果ってまさにこういうことだなと実感しました。
アニメで昂っていた感情が音楽でクライマックスに到達する感覚です。私にとって呪術廻戦0のクライマックスは「逆夢」が流れた瞬間でした。
しかもこれだけでは終わらず、逆夢の後に「一途」が流れるんですよね。歌詞の世界観は変わらないのに正反対のような曲を聴くと、アニメ本編の迫力やスピード感が思い起こされました。そのため映画が終わった後は逆夢のしんみりした気持ちと一途の興奮やワクワク感が合わさって不思議な気分になりました。
なんとなく曲のイメージとして「一途」は解呪前に里香へ愛を捧げていて、「逆夢」は解呪後に昔の思いを馳せているようでした。
「逆夢」の前半は「〜あの頃」が何度も出てきます。
夢はいつだって
正夢だと信じていたあの頃
あなたはいつだって
当たり前のように隣にいると
そう思っていたあの頃
幼い頃、里香と夢に見ていた未来とは違うけれど今は前を向いている。だから悲しそうな曲なのに希望を感じるのかなと思います。
サマータイムレンダ
OP:マカロニえんぴつ「星が泳ぐ」
ED:cadode「回夏」
マカロニえんぴつ「星が泳ぐ」
2022年の春アニメで一番好きな曲です。
初めてマカロニえんぴつさんの曲を聞きましたが、オープニングの曲を聞いたとき不思議と懐かしさを感じました。
アニメと同様に仄暗い雰囲気を残しながら切なさも感じます。独り言のような歌詞にはところどころ寂しさが表れています。
意味がないな 君が居ないと
そんな夏だけが残っていく
キリがねぇな 悲しみは叩き割るたび増えていく
そして最後の歌詞は”バイバイ”で終わっていました。
伝えられていない事ばっかだ
たましいごと愛していたんだ
嘘ではないよ そうでもないかな
もう行かなくちゃ、バイバイ
誰かに向かって一方的に話していたのに「バイバイ」で終わる。唐突に別れを告げたのに聴いていると、さほど悲壮感はありません。ここで面白いのは曲として「バイバイ」の部分が一番盛り上がるんですよね。爽やかで青春っぽくもあり、賑やかなサウンドで終わるところは壮大な物語の終わりのようでした。
♢
エンディングについても少し紹介させてください。
「回夏」は不思議な雰囲気を持った曲です。
私がまず驚いたのはアニメのエンディング映像がほぼ実写だったこと。それも海の映像がずっと流れているだけなんです。船から見る海と島の景色で映像自体さほど変化がありません。それなのに惹きつけられてしまう…不思議な曲でした。
冒頭のメロディもすごく独特です。のどかにも不気味にも聞こえます。続いて子供の声で「ラララ…♪」と歌い出しがあって、これも懐かしさと不気味さがちょうど良い雰囲気を出しています。
cadodeのMVは子供たちがメインの映像でした。
MVのストーリーはこんな感じです。
少年は一人の少女と出会う
少女は少年の友人たちと一緒に遊ぶようになった
そんな日々の中、少女が突然姿を消した
少年と友人らが山へ探しに出かけると、
不思議な装いをした少女を見つけた
しばらくすると少女はもうそこにはいなかった
子供以外に映っているのは青年(cadodeのボーカル)と黒い影だけです。青年が何を表しているのか分かりませんが、勝手なイメージで見るとこんな感じです。
・この青年は少年の大人になった姿
・船に乗っている時に寝てしまい子供の頃の夢を見る
・船上で目が覚めてから夏の思い出を振り返っている
でも正直分からないことばかりでした。
冒頭の船の映像は島を出たのか、島に行く予定なのか。
黒い服は何を表しているのか。(喪服?死神?)
青年は誰なのか。
少女は誰だったのか。
少女はなぜ消えたのか。
どなたか解説してほしいですね…
きっと色んな見方があると思います。
☆☆☆