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でんぱ組.incが今日終わったらしい
でんぱ組を初めて観たのは18歳のときだった。ももクロをはじめとし、ありとあらゆるアイドルの映像をYouTubeで探していたときのこと。画面に映ったのは、巫女の姿をしたアニメ声の女の子たち。
耳に残る意味不明な歌詞にやたらと早いBPM、ガニ股ダンスに強いビジュアルは、一瞬で虜に!(特に長身の美しいおかっぱ女子こと夢眠ねむに一眼で心を奪われる)
でんぱれーどJAPANのMVをきっかけにわたしは、でんぱ組.incのファンになった。
友人の兄であるアイドルオタクと出会い
とはいえ、当時は地方の田舎出身の10代。ライブに行く勇気はまずなかった。そもそもアイドルオタクが怖い。男ばかりのイメージだし、ライブ映像を観ると野太い雄叫びが「おい!おい!」と会場に響きわたっている。臆病なわたしは画面越しででんぱ組を応援することしかできずしばらくの間は在宅で推し活に勤しんでいた。
そんなとき、絶好のチャンスが訪れる。2013年の12月。地元の男友達がとあるバンドのライブに誘ってきた。前から気になってるバンドだったので、二つ返事で行くと言った。「お兄ちゃんが車出してくれるって」
男友達とお兄ちゃん(初対面)とわたしという謎のメンバーでライブへ行くことに。車に乗るとお兄ちゃんは気を利かせて、今日観に行くバンドの曲を流そうとしてくれた。
カーナビの画面で曲を選んでいると、アーティスト欄の「た行」のなかにでんぱ組.incの文字がちらり見えた。わたしは思わず興奮して、えっえっ、でんぱ組好きなんですか?!と、大きな声を出してしまった。
「知ってるの?でんぱ好きだよー、でもどちらかというとBiSのほうが好きで〜」と、お兄ちゃんは淡々と話し、アイドルオタクだったことがわかった。
男友達を差し置いて、車内ではわたしとお兄ちゃんのアイドル談義に花が咲く。ももクロ、私立恵比寿中学、チームしゃちほこ、BiS、BELLRING少女ハート……アイドルの話でこんなに盛り上がれたのは初めてだったのでとにかく興奮した。
「なんなら今度でんぱのライブ行く?」
お兄ちゃんはでんぱ組のライブチケットが当たったらわたしに譲るよと言ってくれた。
いざ、初ライブ
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2014年の8月。でんぱのLIVEにお兄ちゃんと二人で行くことに。後で知ったのだがお兄ちゃんはアイドルオタク界隈ではまあ名の知れた人だったらしく、現場に着くなりいろんな人がお兄ちゃんに声をかけていた。
すげー!人気者じゃん!?とまたもや興奮した。よくわからないおじさん達から、だれこの女の子?!と聞かれていたが、お兄ちゃんは笑顔で流し「おれ整番一桁だから前のほう行っちゃうけど、もしあれなら女子専用エリアがあるか、そこで見るのが安全かも」と伝え、人の波に姿を消していった。
そんな女子が見るためのエリアが用意されてるなんて優しいなあ!と運営に感謝し何も知らないまま会場の中に入る。
しばらく待っていると電気がぱっと消えて、メンバーが続々とステージに現れた。初めて間近で観る推しはあまりにも可愛くて美しくて、ちょっと気を失いそうになったが、それ以上にオタクの気迫に驚いた。
オタクの熱気に圧倒
DVDは観たことあったけどさすがにここまでオタクの声が大きいと思わなかった。
「り”さじゃ”〜ん”!!!!!」「びん”ぎ〜〜〜〜!!!!」 すべての言葉に濁点がついてる。コールも完璧すぎるしもはや一種の団体競技みたいだ。サビに入るたびオタクたちは一斉に変な動きをしていた。これがオタ芸か……!
女子エリアにいる女オタも男オタに負けないくらいのパワーで、声が枯れる勢いで推しの名前を叫び、オタ芸も完全にマスターしている。
正直女子エリアにいる女オタをもっと控えめな存在で、勢いがあるのは男オタクだけだと思っていた。(しかし女子エリアにいる女オタの熱量も男オタとほとんど変わらなかった。)
初見のわたしはなにをどうすればいいかわからず、推しパートの時、推しに向かって手を振るくらいしかできなかった。
圧倒されてしまった。異文化を見せつけられて衝撃を受ける。これがカルチャーショックというやつ。
なんだあの全身を使った機敏な動き、ダミ声のコール、マサイ族並みのジャンプ力、人間を超越してる気すらした。オタク怖い。怖いと思う反面みんなと同じ動きができない自分が悔しかった。わたしもオタ芸とかコールとかしたい。みんなと一体感を味わいたい。でも怖い。あらゆる感情でぐちゃぐちゃになった。ライブが終わると人が押し寄せるようにぞろぞろ出てきてお兄ちゃんと合流。
「楽しめた?オタクすごかったでしょ」と初アイドル現場のわたしに気を遣ってくれた。お礼を言ってライブの感想を言いながら家まで送ってもらった。
Twitterを開設し新たな世界が
それからわたしは在宅を卒業し、翌年にひとりででんぱ組のライブへ行くようになり、(WWD 大冒険 TOUR 2015)人生で初めてアイドルオタク用のTwitterアカウントをつくり、もちこというテキトーなハンドルネームをつけて、たくさんのオタクと繋がった。
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新しい世界がひらけた気がした。Twitterで共通の趣味をもった知らない人たちと繋がることがこんなに楽しかったなんて。でんぱ組がMステに初出演したときのTLの盛り上がりようは最高だった。大興奮して情緒がおかしくなって家族に心配されていたくらい。
地方出身の貧乏フリーターだったので、しょっちゅう現場に行けるわけではなかったし、接触も全然できなかったけど、歌って踊る彼女たちを観るたびに心から楽しかったし華やかな気持ちになった。
メンバーがそれぞれ抱えている暗い過去なんて微塵も感じさせないくらいひとりひとりがステージで輝いていた。未来って変えられるんだなと希望を感じた。
オタ活のはじまり
GOGO DEMPA TOUR 2016 をきっかけに、オタクとの交流がより深くなった。ひとりのフォロワーが現場でわたしを見つけてくれて声をかけてくれたのがきっかけだった。
そこからはでんぱの現場だけじゃなくて、大人数で飲み会をしたり、ビアガーデン行ったり、いろんなアイドル現場へ一緒に行って遠征したり、朝までカラオケしたり、誕生日会をひらいてもらったりと濃厚なオタクライフを送った。大人になってからの新たな青春だった。でんぱ組が人生に新たな彩りを与えてくれたとゆってもおかしくない。
感極まってばーーーっと書いてしまったけど、最後のライブは行けなかったし、最近のでんぱ組の活動も全然知らなかった。だけど終わりを迎えるといろんなことを思い出す。
ひとつの歴史が終わったことは確かだし、そこにはファンの想いがそれぞれあるのだ。まだまだエモまりたいのでキラキラチューンの歌詞とか書きたくなっちゃうけどもうこのへんで辞めておきます。
でんぱ組.inc、ほんとうにお疲れさまでした。あの楽しかった日々は忘れません。13年間ありがとう。