
にほんむかしばなしの「仏」
私はこどものころ、「ぼうや〜よいこだねんねしな、」の、あのオープニングで始まるアニメにっぽんむかしばなし の、シリーズのアニメの絵を使った講談社の昔話シリーズを読むのが好きでした。子供達にも読んでみたいと、再編集された本を買ったのですが、有名な明るい話もありますが、まずしいとか、虐げられるとか、そして亡くなったり、消えてしまったり、、そんな登場人物が悲しみにくれる話しがとても多いです。悲しいなかでは眠れないと思うので、子供達には悲しいより面白い話しばかり読んで、あとでひとりで(こんな話しだったんだな)と読み返してます。
今日の、読まなかったはなしのひとつ、「子育て幽霊」。亡くなった女性が、墓に捨てられた赤ん坊を育てる為、夜な夜な飴屋に飴を買いにくる話しです。
その中で、お坊さんが亡くなった女の人を「やさしいほとけ様じゃ」と言いました。
そうか。亡くなった人をほとけと呼ぶ。
刑事ドラマで被害者の遺体を「ほとけさん」と呼んだり、葬儀社でご遺体を「仏様」と呼んだりしますが、それとは違う、慈しみを感じます。
亡くなった人の、無念のうちに断絶される繋がり。生きているものには訪れない計り知れない苦しみを乗り越えざるを得なかった人なのです。普通の仏教での「仏様」は普通の人ではありえないと思うけれど、死に直面し、まっとうされたという畏怖と敬意で、仏様と呼んで良いのかな、と思いました。(亡くなった人が、自分にとっての悪人であれば、また話しはちがうでしょうが。。)
畏怖と敬意ではあるけれど、そこにはどうしようもない悲しみがあります。
私は、お寺に生まれた寺の娘です。
ふだんはあまり気にしませんが、やっぱりどちらかというと、この世は人の亡くなる、悲しい事が多くて当然と思っていたように思います。そしてそれに寄り添うお父さん(お坊さん)を、誇りに思えていたのかな、と思い出しました。