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友人のKさんと「関係人口」のはなし

20歳ほど年の離れた友人がいる。
前職で1年ほど前に入社された一般職の方で、当時私の隣の席だった。

友人の定義は人によって様々だが、私たちは共に互いを友人だと認識している。その方は、大学卒業後からずっとインドネシアに住んでおられ数年前に日本に戻られた、3人のお子さんの母でもあるKさん。

席が隣だったので、電話対応や事務的なことなどを教えたり、ちょっとした困りごとなどを互いに相談したり、お昼を一緒に食べたりするなかで仲が深まったのだが、私たちはおそらく互いを「同類」だと思っている。

一言でいうと、「感性が似てる」。
ランチに行って、まぁまぁメニューが豊富なところで選ぶ料理が同じだったり、同じ部署のメンバーで少し良い感じのイタリアンに行ったときも、コースで選べるメニューが全部被ったり、異性だったら恋に落ちているといっても過言ではないシンクロさ。そして、食べ物以外の好きなものも似ているし、性格もなんとなく似ている。そんなこんなで私たちは仲良くなり、今でも私にとって大切な友人なのである。


Kさんが入社される前、コロナ禍で海外出張に行けない時期に、私は埼玉県の小川町というところに通っていた。有機農業の研修を受けていたためだ。隔週であったその研修に1年通い、一緒に研修を受けたメンバーと農作業以外にも、小川町のいろんなところを開拓したりもした。大人だけで巨大滑り台に挑戦したり、トロッコに乗ってみたり、楽しんだな~。その後も小川町が好きで、何度も通っていた。(自分たちの結婚式の最後に参列者の皆さんに配るプチギフトも、小川のお店のお菓子にしたくらい…)そんな小川町を、Kさんも絶対好きになるだろうと思って紹介してみたところ、毎週のように通うほど気に入ってくださった。



自分もそうだったと自負しているが、Kさんは小川町の関係人口に貢献している一人だ。しかもおおいに!
「関係人口」は、その地域には住んでいないけれど、文化的に、あるいは経済的な活動を通じてその地域と関わりを持っている人たちのこという。「観光で来る人(交流人口)」と「居を構え暮らす人(定住人口)」の間のようなポジションである。

交流人口
観光・レジャーまたは通勤・通学でその地を訪れ、一時的にその地域と交流する人のこと。

定住人口
地域に居を構えて定住している人。あるいは、住民票がその地域にある人のこと。

関係人口
「観光以上、移住未満の、特定の地域と継続的かつ多様なかたちで関わる第三の人口」。

「関係人口」とは? 事例も踏まえてわかりやすく解説します! (sotokoto-online.jp)


行きたいお店がある、会いたい人がいる、触れたい自然がある、参加したいイベントがあるなど、そこに行きたい理由はさまざまであるが、自分の場合「そこに行くまでの過程」も好きだった。電車に揺られ、だんだんと建物が少なると同時に緑が多くなっていく車窓。減っていく乗客。小川町への距離が近づくにつれ、水を与えられた植物のように、日々の疲弊から解放され、生き生きと蘇ってくるような感覚がしてくる。


Kさんもまた、小川町で友達をつくり、料理をしたり、味噌やキムチを作ったり、サイクリングや楽器演奏などを楽しんでいる。先日は会社の後輩を何人も引き連れて行かれていた。私としては、こうやって小川町を好きになり、足繫く通ってくれる人が増えてとても嬉しい!


そこに住まなくとも、いいなと思えるまちがあることは、心の拠り所、住処のようなものがあるようなもので、精神をより豊かにする。

その町にとっても、経済がうるおい、賑わいを見せることで町としてより存続していける。商いをしている人にとってもモチベーションとなるし、空き家や耕作放棄地の整備等にも繋がるだろう。もちろんそこから移住促進に結び付くこともある。
東京都内と周辺の農村(地方)。点と点が繋がってできた線が無数にできることで、それが面的な効果をもたらし、地域の存続や活性化へとつながる。移住だけではなく、こういった関係人口の大切さをKさんと小川町の関係を見て改めて感じたのであった。


Kさん、今私が住んでいるこの町もきっと好きになるだろうな。東京からだとさすがに遠いので年一くらいで来てほしい。


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