非エンジニアのぼく(事業責任者)が考えた、次世代の最強ECシステム「MAGI(マギ)」とは?
みなさん、Merry Xmas !
Ateam cyma Advent Calendar 2019もとうとう最後になりました。
長いようで短かったAdvent Calendarのラストは、株式会社エイチームの@mochi_mochizukiが務めさせていただきます。
はじめに
2019年7月から、株式会社エイチームで自転車通販サイト「cyma」の責任者をしています。
プログラミングの知識は全くないのですが、人力に頼ったECの運営から脱却する夢を見ています。
本エントリーは、みなさんに「非エンジニアの事業責任者が、事業のシステム化どう考えているのか」を赤裸々に伝えることを目的としています
エンジニアのみなさんが、(非エンジニアの)事業責任者の脳内を理解し、担当サービスを開発するうえで意思疎通がスムーズになるお手伝いができたら嬉しいと思っています。
What's cyma ?
cymaは「自転車屋さんがECに進出」したのではなく、「web企業が自転車業界に挑戦」している珍しい自転車屋さんです。
そして、cymaはたくさんの種類の自転車を取扱い、資格を持っている整備士が自転車を組立て、完成車として配送会社がお客様のお宅まで届けします。
この、「たくさんの種類」から選んで「完成車」を「安い送料で自宅に届く」って当たり前に聞こえるかもしれませんが、実はこれらがAND条件で成立しているサービスはcymaくらいです。
世の中の自転車屋さんを分類すると
・たくさんの車種から完成車を買えるが送料が高いうえに店舗受取り
・完成車を買えて安い送料で届くけど折り畳み自転車しか扱ってない
・たくさんの種類から買えて安い送料で届くけど組立はセルフ
あなたの頭に浮かぶ自転車屋さんは、ほぼこの3つのパターンのどれかに該当するのです。
cymaは独自の価値を世の中に提供し続け、一定の社会貢献ができているという自負があります。
そんなcymaの未来
自転車の通販は、非常に多くの変数が複雑に絡み合うモデルです。
商売をまわすオペレーションセグメントには、「仕入」「販売」「物流」があり、それぞれが異なるワークフローを形成しています。
大まかに言うと、cymaのワークフローは以下のとおりです。
これを見るとわかるとおり、それぞれのオペレーションセグメントは独立していると同時に、それぞれが密接に関わっています。
在庫を仕入れなければ販売できない、ひとたび仕入れれば早く売らないと現金化できず次の仕入ができない、値段を下げれば早く売れるけど利益が出ない。
これはほんの一例ですが、ほぼ全ての意思決定において考慮すべき変数が多く、一つ一つの意思決定にメリット・デメリットのトレードオフが存在します。
この意思決定が1分に一度くらいの頻度で発生するので、人間が考えて動かすのに不向きなビジネスだな、と日々思うわけです。
そのため、cymaが目指す未来は、ずばり「リテールテック」です。
人力に頼りがちなECを、システムの力で精度高く効率的なビジネスに変革していきます。
どんなシステムにしたいか
cymaの基幹システムを、さきほど紹介したオペレーションセグメント「仕入」「販売」「物流」の3つに大別します。
それぞれのオペレーションが最適な結論を出した上で、cymaとしての最適解を出すようなシステムをイメージしています。
社内でもわかりやすく伝えるため、私はこのシステムを「MAGI(マギ)」と呼んでいます。
某アニメに登場するスーパーコンピューターの、あれです(笑)
3つの独立したシステムが、それぞれのロジックで結論を出し、全体として高度な意思決定をするイメージがぴったりなのです。
ただし、アニメでは3つのスーパーコンピューターが多数決で意思決定しますが、cymaのMAGIは「利益の最大化」というバランスで意思決定をする点が異なります。
では、なぜシステムを3つに分ける必要があるのか?について説明したいと思います。
システムを分割する3つのメリット
私が考えるシステムを分割するメリットは3つあります。
1.オペレーションごとの異なる思想に対応できる
2.ワークフローやシステムの見直しに細かく対応できる
3.部分的・段階的な導入によりレガシー化を回避できる
(これを社内のエンジニアに話したら、「マイクロサービスみたいですね」と言われたので、以下マイクロサービスと呼びます。)
最も大きなメリットが「1」なので、詳しく解説します。
cymaは3つのオペレーションセグメントが一連のワークフローを形成していますが、それぞれの思想は大きく異なります。
それぞれのシステムが持つべき思想は以下のとおり。
仕入:十分な量の商品を、納入計画どおりに安い条件で仕入れる
販売:安いコストで集客し、粗利がとれて在庫が消化できる価格で販売する
物流:安いコストで最短の納期を守るための配送網を構築する
ここで難しいのは、X(3つのいずれか)の最適解がその他YやZにとっての最適解にならないということです。
例えば、商品は大量に仕入れればボリュームディスカウントがききます。
一方で、許容ライン超えた在庫は物流の効率を落とし、安いコストでの配送を阻害します。
そのため、販売側で必要以上に価格を落として在庫の回転を上げることになり、結果的に販売の粗利が傷みます。
この場合、仕入条件の改善が販売粗利の低下を上回ればそれが優先され、下回れば却下されます。
マイクロサービス化によって、それぞれの解を独自に出し、変動する「正しさ」に対応できるようになります。
それ以外にも、cymaのMAGIは一度作って終わりではなく、ワークフローの変更や外部環境の変化に合わせてどんどん手直しをしていくシステムです。
また、技術が古くなれば、ためらわずに捨てたり入れ替えたりすることもできるため、サービスにフィットし、エンジニアがメンテナンスしやすいこともメリットになります。
MAGIに期待する2つの機能
私がcymaのMAGIに期待する機能は、「ロジックに基づく正確な処理」と「機械学習による未来予測」です。
例えば、販売のMAGIシステムが最適なプライシングをするケースにおいては、前者の「ロジックに基づく正確な処理」が機能します。
お客様が自転車を購入する際の判断材料は、「本体価格」と「送料」と「納期」で、いくつかのサイトで比較されるのが一般的です。
販売のMAGIはこの3つの要素について参考サイトを参照し、それぞれの材料に一定の重みづけをした上で、自社のプライシングをリアルタイムに行います。
一方で、MAGIが広告費をコントロールするケースでは、「機械学習による未来予測」が機能します。
「今週〇台を販売するために広告費をいくらかけるか?」に対して有効なロジックはなく、過去のデータを学習し、正確らしい傾向値が必要です。
この2つの機能を実現するために、現在5年間積み上げてきた人的なオペレーションをロジック化し、最も効果的で効率的なワークフローを確立中です。
また、ここ1年以内にはcymaが取り扱っている年間5万件以上の販売データをどう機械学習していくのか方針を決め、着手していきます。
最後に
cymaは5年以内にMAGIを完成させ、運営の自動化を実現させたいと思っています。
そんなcymaとMAGIに興味を持ったエンジニアの方はcymaのQiita Jobsをご覧ください。
そのほかの職種は、エイチームグループ採用サイトをご覧ください。
長文にお付き合いくださり、ありがとうございました。