最近ハマったドラマの話。
はじめに
小学生の頃、私は生粋のテレビっ子だった。
学校での話題は専らテレビのこと。
家に帰るといつも再放送の『花ざかりの君たちへ』や『メイちゃんの執事』、『花より男子』などをテレビにかじりついて見ていたものだ。
しかし、時を経るにつれテレビをあまり見なくなっていく。
韓流コンテンツにハマったり、動画サイトをよく使うようになったり…と色々理由はある。
ただ、テレビ離れをした一番の原因は「テレビがつまらない」と感じるようになったからだ。
これはあくまで私個人の感想なのだが、ここ数年のテレビドラマは刑事系や医療系、人気シリーズの続編ばかりが続き真新しさがない気がする。
何となく同じような内容になってきているなと感じたのだ。
そんな訳で私は暫く“テレビ離れ”をしていた。
ところが最近、ひょんなことから2つのドラマにハマってしまった。
それが『最愛』(TBS)と『恋です!』(日本テレビ)だ。
たまたま見始めたのだが、気が付いたら毎週楽しみになっている。
今回は私がなぜこの2作品に魅了されたのか自分なりに考えてみようと思う。
『最愛』(TBS)
TBSで毎週金曜日の夜10時から放送中のドラマ『最愛』。
あらすじは以下の通り。
『最愛』の魅力を一言で表すと「制作陣の力量が最大限に発揮されているところ」だと思う。とにかくドラマの細部まで強いこだわりを感じる。
まず“脚本”が素晴らしい。毎回緻密な伏線や意味深な発言が多く、いい意味で心がざわざわする。
TBSのドラマは『夜行観覧車』(2013年)や『Nのために』(2014年)などここ数年“サスペンスドラマ”に強い印象があった。『最愛』もサスペンスなのだが、上記2つと異なり原作となる本が存在しない。完全なオリジナル作品であるため、視聴者も最後まで見なければ犯人が誰かわからないのが特徴だ。
脚本を1から構想するのに沢山の時間を要したはずだ。しかも、サスペンス系の評判がいいのでプレッシャーは大きかったはず。そんな重圧をものともせず、最高傑作のドラマを提供してくれた。
そして“俳優陣”である。
特に腹の探り合いや複雑な心理描写が多いこのドラマにおいて、皆さんの表情演技が光っていた。梨央の高校時代から社長になった時の顔つきの変化、大ちゃんの誠実さあふれるりりしい表情、加瀬さんの心配そうに見つめる眼差し、橘しおりの全てを打ち明ける時の表情、藤井のどことなく怪しげな雰囲気…。
演じている人全てが本当にその役を生きている感じがするから見ていて引き込まれる。
他にも意味深な描写を劇中に散りばめてくる“演出”、それぞれの役どころ・シチュエーションに合った“衣装”など制作陣の『最愛』に対する並々ならぬ思い入れを感じる。一つ一つの要素が確立しているからこそ、安心して見られるのも強い。まさに「実力派ドラマ」だなと感じた。
『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(日本テレビ)
日本テレビで毎週水曜日の夜10時から放送中のドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(以下『恋です!』より)。
あらすじは以下の通り。
『恋です!』の魅力を一言で表すと「全ての人を“普通”と捉えられる温かさ」だと思う。本当の意味での“多様性”が描かれているドラマだなと感じた。
ヒロイン・赤座ユキコや彼女の友人たちは“弱視”、ユキコの彼氏・森生は顔に大きな刀キズがあり、森生のライバルである獅子王は男性が好きな男性だ。
世間では彼らのことを「障がい者」や「怖い人」、「ゲイ」と一括りにすることで特別視することも多い。
でも『恋です!』は少し違う。ドラマの中で弱視や刀キズ、獅子王の恋に触れることはあるものの、彼らを“どこにでもいる普通の人”として描いている。
「マジョリティだから」と特別扱いするのではなく、あくまで「同じ空間を生きている人のうちの一人」と捉えられるスタンスがいいなと思った。
周りの人たちの描き方も素敵だ。
ユキコを陰でそっと見守るお父さんとお姉ちゃん、ユキコをいつでも明るく受け入れてくれるBBバーガーの茶尾店長、正義感が強くて優しいヤンキー仲間…。偏見なくフラットに人と関われる登場人物たちもまた魅力的なのだ。
近頃“多様性”という言葉がメディアを中心によく使われている。
しかし、現実を見ると自分と違う人に強い拒否反応を持つ人もいてまだまだ万人に優しい世界ではないなと感じることも多い。
それでも私は、この『恋です!』というドラマに出会い、『恋です!』のようにみんなで支え合える世界があれば素敵だなと少し希望が持てた。
私は『恋です!』の今までのドラマでにはない、「視点の新しさ」。そこに私は感動したのだ。
おわりに
改めて『最愛』と『恋です!』という2作品に出会えてよかったなと思っている。
どちらも今週で最終回。
初回から追ってきた番組が終わりを迎えるのは少し寂しいが、最後まで全力で応援し見届けていきたい。
どんな結末になるのか今からとても楽しみだ。