会場は森美術館ではなく:塩田千春 個展【感想】
東京・六本木で開催中の美術展「塩田千春展 魂がふるえる」の、塩田千春氏の個展が実は今、名古屋でも開かれています。
その個展に、昨日行ってきました。
■インスタレーションはここにも
塩田千春氏が手掛ける圧巻のインスタレーションを名古屋でも観ることができます。
これはギャラリーの扉を開けてすぐの光景です。
二艘の船とひもを用いた新作のインスタレーション《DIRECTION》(2019)が展示されていました。
この作品の船は現在GINZA SIXで展示されている《6つの船》と同じフェルト素材で出来ているとのこと。
「船」は塩田氏の作品において重要なモチーフとなっているそうです。
《6つの船》に関する記事では、「船」について以下のように述べられています。
「船」は人や物だけでなく、時間をも運びながら前進するものであり、「存在とは何か。生きているとはどういう意味なのか。私たちは何を求めて、どこへ向かおうとしているのか」を追求してきた塩田の問いに共鳴する。
出典GINZA SIXに塩田千春の新作が登場。塩田が銀座の「記憶の海」を語る|MAGAZINE|美術手帖
《DIRECTION》と題された本個展での「船」は、どこへ向かっているのでしょう。
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ギャラリー2階、いちばん奥の部屋には《地に触れるとき》(2019)が展示されていました。
白い部屋の中に映える、鮮やかな赤が目に飛び込んできます。
地に触れるブロンズの足はこんな感じ。
赤い糸を用いた作品と言うと、森美術館(東京・六本木)で開催中の「塩田千春展 魂がふるえる」の《不確かな旅》(2016)がいちばんに頭に浮かびます。
森美術館での解説には、糸の赤についてこう書かれていました。
塩田は、(中略)赤は血液、あるいは「赤い糸」といった、人と人の繋がりと考えることもできると語っています。
出典|本展の特徴|塩田千春展:魂がふるえる - 森美術館 MORI ART MUSEUM
《地に触れるとき》では、無造作に垂らされた糸が、地とその他との繋がりやその広がりをあらわしているのではないかと感じられます。
■塩田千春作品をじっくり味わう
平日の午後であったので、ゆったりと静かに観て回ることができました。
館内には図録が2冊置かれていて、ベンチに座りながらぱらぱらと眺めていました。滞在は大体1時間くらい。
これだけの作品を、無料で、こんなにもじっくりと観ることができるのは、ギャラリーでの個展ならではだと感じます。
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■名古屋で素敵な作品を
東京に足を運べないけれど、塩田千春氏の作品が是非観たいというかたや、SNSなどで写真を観てインスタレーションが気になっているというかたに是非お伝えしたい。今、名古屋にも来ています。
【塩田千春展】
会期:2019年10月12日(土)まで
会場:ケンジタキギャラリー(名古屋)
開館時間:11:00 - 13:00 / 14:00 - 18:00(日、月、祝 休み)