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noteを始めた理由 その2
最近開業したらしい、その眼科。
少し待って、診察室で症状を聞かれ、簡単な視力検査や視野検査をした。
その間、わずか5分か10分。
「たぶんね、この病気だと思います。大学病院への紹介状書きますんで、数日中に病院から電話があると思うんで、予約して大学病院のほうに行ってください。」
書かれた病名は、硬膜動静脈瘻。心臓から動脈を通って、脳を覆った硬膜の毛細血管を血液が巡り、静脈を通ってかえってくる・・・のが普通なのだが、硬膜の毛細血管ではなく、太い動脈の血管から太い静脈の血管にショートカットしてしまう病気らしい。そのショートカットした血管に大量の血液が流れ込むので、血管が太くなり、その血管に圧迫されて眼球が外側に押し出されることから、ピントが合わなくなって、モノが二重に見えるようになっているらしい。国内では、年間10万人当たり約0.3人程度で発症する、結構珍しい病気とか。視野に支障が出るだけでなく、本来圧力がかかるべきでない脳血管が圧迫されるので、くも膜下出血のような、重篤な症状につながりやすいという。
そこからは、トントン拍子で大学病院、検査入院、入院、カテーテル手術と続いた。入院期間は一週間弱、眼科に行ってからひと月ほどで手術を終えることができた。
しかし、物が二重に見えることは変わらない。この分野ではかなりオーソリティらしい大学病院の主治医は、飄々とした口調で言った。
「まだ二重に見えるかー。もう一度手術だなー。」
もう一度手術すれば二重で見える症状が回復する補償はないが、治すには手術する以外の方法はないらしい。
一か月後、もう一度一週間弱の入院をして、再度カテーテル手術。
今度こそ、二重に見える症状がなくなった。
noteを始めた理由が、なぜか入院報告になってしまったが、少しばかり、病気とか、死ということを考えた期間だった。
耳鼻科、脳神経外科、眼科、大学病院と渡り歩いてようやく治療できた病気。脳血管の病気だったので、脳神経外科を勧めた耳鼻科の判断は間違っていなかったが、脳神経外科では原因がわからなかった。大学病院の主治医はMRIまで撮ってわからないことは考えにくい、と言っていた。要は、専門の医師でも見落とす・・・というか、ヤブ医者であることが往々にしてある、ということを知った。その後の眼科の診断はファインプレーで感謝するほかないが、比較的医療機関が多い地域だったからいいようなものの、医療機関が限られている地域だったらどうだったのだろう?なんて考えた。
さらに、家族、仕事、自分の人生を考える契機にもなった。
歳を取ったからなのか、手術で体に負担がかかったからなのか、疲労がたまりやすくなったようにも思う。
いろいろ考えたが、自分の大切な人たちを守り、そのために自分の心身の健康を維持するためには、仕事はほどほどにして、自分や家族や信頼できる友人たちのために、自分のやりたいややらなければならないことを優先していこう、という思いを強くした経験だった。