見出し画像

車のスマートキー分解

スマートキーの電池が減るのが早いと感じている人は、車を乗らない時にはスマートキーを車から離して保管するか、アルミ缶などの金属の箱などに保管していた方が、電池の減り方が遅くなるかもしれない。これは、リレーアタックという盗難防止にも効果がある。

電池の減りが遅くなる理由は、スマートキーは、車側から発信されている微弱な電波を検知すると、スマートキーから信号を送信するように設計されており、信号を送信するには電力を消費するが、信号を送信しなければその分は電力消費を抑えることができるからである。但し、設計によっては違った設計思想のものもあるかもしれないので、全てが当てはまるとは言えないかもしれない。

スマートキーの反応が悪くなったと感じた場合は、車のエンジンが掛からなくなる前に早めに電池交換をした方がよい。

以下は、その技術的な考察。

最近の車は、スマートキーでドアの開錠・施錠やエンジン始動を行うことができる。しかし、スマートキーの構造がどのようになっているのかあまり知られていない。無線通信を行うのでアンテナが必要だが、アンテナの分野は奥が深く分かり難い。

車側から125kHzの低周波数で信号を送信し、スマートキーが信号を受信している。この信号を受信しているのが低周波用3軸受信アンテナで、X軸、Y軸、Z軸の3方向に配置されたコイルで構成された小型コイルアンテナになる。村田製作所などのメーカが提供している。

3軸コイルアンテナ

一方で、スマートキーは、315MHzの高周波数で信号を送信している。この信号を車が受信し、信号が正しければドアの開錠・施錠やエンジン始動を行う。スマートキーで315MHzの信号を送信しているのが、プリント基板上のパターンで構成されたループアンテナになる。

ループアンテナ

車室内にスマートキーがある場合は、ドアの施錠ができないことや、エンジンを動作させている場合には、スマートキーを車室外に持ち出してドアを閉めると警報音がなる。これは、スマートキーが車室内にあるかどうかを判別する信号を、車室内だけで発生させていると推測する。

スマートキーが車室内にあると、その信号を受信したスマートキーは、スマートキーが車室内にあることを伝える信号を車に送信していることになる。これは、スマートキーが車室外にある場合と異なる信号に違いない。

なお、スマートキーが受信する(車側が送信する)125kHzの周波数は、AMラジオの周波数帯(526.5kHz〜1620kHz)よりも低い。これは、電波干渉を考えると無線通信に使う周波数帯としてはあまり好ましくない。

スマートキーのような身近な製品でも分解してみると色々なことが分かってくるので面白い。🍺




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?