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【この本を読んで考えた】ライ麦畑でつかまえて(野崎孝 訳)

最初この本を読んでみようかなと思ったのはなんとなく、心がソワソワしていた若かった時代。

「おかしいと思ったらたとえ一人でも声をあげる!」などという環境に身を置く反面、薄暗いジャズ喫茶に入り浸って世を拗ねたような少年たちとたむろってたりと、自分の中に明るいのと暗く気怠いのが同居していた時代。
この本の存在を知って「読んでみようかな……」なんて母親に言ってたら、「暗いの読むんやなー」と。
(私の記憶違いでなければ確かこの小説でこういう会話だったはず)
その時は「暗いもの」とわかっていて取り込むほど心に余裕がなかったのか、結局読まず、何となく気になりながら数十年。

少し前にTwitterでフォロワーさんがツイートされていたのを見て、そう言えば気になりながら読んでなかったけど、これを機会に読んでみようかと。

内容は、自分が想像していたような暗さではないけれど、親の立場で見てたらなるほど!この厭世的な感じ、確かに暗い!
母親が暗いと言ったのがわかる。
ましてや斜に構えて世の中見てるような娘にはオススメしたくないだろうなと。

それにしても「永遠の青春小説」と言われてる本であり、自分もその時代を生きてきたはずで、主人公が言いたいことは理解出来るけどなぜか心が動かされないのは、自分が年齢を重ねて心が硬くなってしまっているからだろうかと思わず省みる。

否。

そもそも、サガンの『悲しみよこんにちは』などもそうだけど、親の恩恵に預かって衣食住の苦労もしていないくせに一人前に批判だけはしている子どもというのが自分は嫌いなので、申し分ない環境を与えられてるくせにぐずぐず文句ばかり垂れ流している主人公を見ていて、いい加減にしろと。

もちろん、小説としての完成度は素晴らしいものだと思うし、そういう甘えやみっともなさが子どもから大人へ移る時の避けては通れないところで、既に大人になった自分たちは、過去を振り返って恥ずかしがればいいのかもだけれど、ここまで酷いとたとえ渦中にあっても共感はしなかったのではないだろうか。

そう言えば昔流行った某大型掲示板のそういうスレだと似たような感じの書き込みが見られたような気がする。

お母さん、せっかくだけど、もしあの時読んでても私はおそらく同調することはなかったよって言いたい。

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