ザファを31回観たら、もう二度と会えない(かもしれない)推し?が出来た話
今現在、タイトル通りの状態になってしまって困っている。彼らを推しと言っても良いのか?何でこんな事になったのか?自分の気持ちを整理する為に文章にまとめてみようと思う。
(勢いだけで書いているので、読みづらいと思う。)
まず私はスラムダンクは連載時にも読んでいたし、単行本はジャンプコミックスで発売日に買って集めた。「あれから10日後」も三浦の廃校まで見に行ったし、ずっと大好きだった。スラムダンクファンとして30年クラスだ。そのあたりから年齢も推測してほしい。
2022年12月、そのスラムダンクが映画化!絶対に観に行こうと思って、とりあえずムビチケを2枚(流川と三井)買った。私は分かりやすく顔の良い男が好きだ。ちなみに藤真も好きだ。
私が言うまでもなく映画は最高だった。ザファの素晴らしさについては本題からやや逸れるし、長くなるのでここでは割愛する。とにかく、私の今後の人生の中で、こんなにも何度も観たいと思う映画は今後無いだろうと思う。あの頃の私は、とにかくザファが観たい、それだけだった。
2023年2月、何度も何度も映画を観る中で私の中に変化が現れた。きっかけは友人の「床バンの時の深津の顔がかっこいい」という一言だった。
深津?山王の?ピョンの人?あの人、かっこいい?変な人じゃない?山王だったら沢北一択でしょ。そう思ったし、実際に口に出して言った。しかし、まあ、そう言うのであれば見てみようじゃないか、と思って映画を観た。
…映っていない。深津、床バンの時、顔、映っていない。映っているのは深津の尻だ。友達は深津を好きなあまり、脳内で勝手にマルチアングルしちゃって床バンの時の深津の顔を見ていた。本当にびっくりした。そんな事あるか?映画館では堪えたが、観賞後爆笑した。
しかし、その事があってから、何となく深津を見るようになっていた。
ちゃんと見るようになって知った事がたくさんある。深津は当たり前だが、バスケが上手い。腰に手を当てるの癖らしい。けっこう表情も豊かだ。
あれ?かっこいいかも。原作ではどんなだった?あ、原作だとチャーミング。沢北はすぐ泣くピョン、だけど、深津は泣けないんだな…。負けた時、どう思ったんだろう?勝手に深津の心情までも慮るようになってしまった。もう、ダメだ。これ好きじゃん。
いつしか深津の事を大好きになってしまった自分がいた。私にも、床バンの時の深津の顔が見えた。
2023年7月、ついに私達2人は山王の聖地巡礼、秋田旅行を決行した。
私は神奈川県在住なので、まず1日目に大館能代空港から秋田に入る。そのまま能代を観光し、その日のうちに秋田駅を経由して森子大物忌神社がある由利本荘市に入り、そこで1泊する。2日目の早朝に由利高原鉄道で最寄の黒沢駅まで行き、そこから歩いて神社に参拝する。参拝後は秋田駅へ戻って1泊。最終日は秋田市内を観光して秋田空港から帰るという2泊3日の旅程だった。
なぜ7月にしたのかというと、私達2人の事情と「沢北があの神社に行ったのは夏だろう」という予測からだった。
1日目のお昼前、能代での1番の目的である能代バスケミュージアムを楽しく見学した後、ミュージアムの方に「能代科学技術高等学校のバスケ部の練習、見学できますよ。今日はテスト前だから14:00〜です。」(時間は正確ではないが、とにかくいつもより早くから練習をしていた)と、教えてもらった。
他の高校と統合して名前は変わってしまったが、山王のモデルになった高校のバスケ部の練習が見学できる事を私は知らなかった。もちろん、見たい。しかし、旅程でも分かる通り、あくまでもメインは沢北が行った神社のモデルとされる森子大物忌神社で、能代での時間はそんなに確保していなかった。
何せ、その日のうちに由利本荘市まで行かなければならない。その為にはこの電車に乗らないと、というタイムリミットがあった。それに、失礼ながら、山王のモデルになったのは遠い過去の話であり、今のリアルな高校男子バスケ部の練習を見学して何か楽しいだろうか?という気持ちもあった。私が好きなのは山王であり、能代工では無いのだから。
能代市内を見ただけでも、私の中で山王への解像度は爆上がりし、満足だった。バスケ部の練習見学ができなかった、という事が少しだけ心に引っかかっていたが、また来たら良いか、くらいにその時は思っていた。
その後は旅程通りに消化し、充実した聖地巡礼の旅だった。帰って来てすぐに、また秋田に行きたいと思っていた。それくらいに楽しかった。
2023年8月、インターハイが始まった。現地には行けないものの、バスケットライブで生配信があったので能代科技の試合を観る事にした。
どうしても!では無く、秋田に行ってから少し愛着が湧いた、くらいの感じだった。
初めて能代科技の子達がバスケをしている姿を見て、衝撃が走ったかといえばそんな事は無い。
頑張ってるな、とか、4番の子と7番の子が上手だな、とか、ごく一般的な感想だった。しかし、この子達がバスケをしているところがもっと見たい、と何となく思った事を覚えている。
あの時練習見学をしなかった事を後悔し始めたのがこの頃だった。
そして、8/31の上映終了までに私がザファを観た回数は31回になっていた。
2023年9月、私達はウィンターカップを見に行こうと決めた。理由はウィンターカップは東京開催だから。行った事無いし、行ってみよう!くらいの気持ちだ。
試合を観に行くのだったら選手の事を知っておいた方が良いと思って、YouTubeで能代科技の練習風景や過去の試合を見始めた。ちなみに、まだこの時点では能代科技の出場は決まっていない。私は完全に先走っていた。
頑張っている若い子達を見るだけで泣けてくる、そんな多感なお年頃の私。能代科技の子達だけでなく、どの高校の子達も皆頑張っているに違いない。だったら私が応援するのはどの高校であっても良いはずだし、神奈川県代表の高校を応援するのが1番自然かもしれない。
私がたまたまスラムダンクファンで、ザファから深津に沼ってしまい、秋田にまで行ってしまったが為に、能代科技に妙な愛着を持ってしまった。それだけの事だし、実際、私のような能代科技ファンも多いと思う。2022年から2023年にかけては特に、ファンが激増したはずだ。
自分で認めちゃっているが、YouTubeを見始めてから、私は能代科技バスケ部のファンになっていた。この子達、特に3年生達が可愛くて仕方が無かった。
もはや山王とか深津とかそういう問題では無い。それはそれ、これはこれ。全く別だ。
と、同時に7月の秋田旅行の事をまたもや思い返していた。たまたまテスト前の時期で早くから練習していたのだから、ちょっと無理すれば見学できたんじゃないか?いや、そもそも旅程が間違っていたんだ。1日目は能代で1泊か、せめて秋田で1泊にして、2日目の夜に由利本荘市で1泊、最終日に神社に行ってそのまま秋田から帰って来る、にすれば良かった。1日目に能代で1泊にしていれば、2日間練習見学できたかもしれない。神社の約300段の石段にびびりすぎて、帰る日に神社に行くという選択肢が無かった。
うすた京介先生の言った通り、後悔後に立つ!だ。
あの時、練習見学をしなかった事を猛烈に後悔していた。この後悔は本当に一生忘れない。秋田旅行を計画した5月に戻れるなら、自分を殴ってでも計画を変更させる。
2023年10月、能代科技バスケ部は無事にウィンターカップ出場を決めた。私達もチケットを無事に購入した。コートサイド席にしようかと本気で悩んだが、勇気が無くてやめた。どんな顔で座っていたら良いのかまじで分からない。他の学校は分からないが、能代科技の試合のコートサイド席は一瞬で売り切れた。やはり人気が高い….!
2023年12月23日、ついにウィンターカップが始まった。能代科技の試合は午後からだったが、自由席が埋まってしまうと嫌なのでけっこう早めに行った。ウィンターカップの初戦はコートが4面あるので、お目当ての試合のコートの近くの自由席を確保する必要がある。そのおかげで前で見られたので良かったが、午前中の女子の試合でめちゃくちゃ泣いてしまったのは予想外だった。初見の、見ず知らずの女の子達の試合で泣くとは自分でも驚きだ。
勝ったチームにはおめでとう!と言いたいし、負けてしまったチームにはよく頑張った!と言いたい。
そんな爽やかな気持ちになれたのも大きな収穫だった。
そして、ついに能代科技の子達を生で見られる瞬間が来た。前の試合のハーフタイムにアップをしに出て来るのだが、めっちゃ遠くからでもすぐに分かった。伊達に毎日YouTubeで見ていたわけじゃない。無意識に「あ、来た…!」と口から出ていた。
少しずつ彼らが近づいて来るにつれて、私の心臓は高鳴っていった。
あの気持ちは何だろう?アイドルのコンサートで、初めて生で見られたという感動に近いかもしれない。画面越しで見ていた彼らが目の前にいるという事実がとにかく嬉しかった。見ず知らずの妙齢の女性にそんな事を思われているとも知らず、淡々とアップをする彼らを私は遠い親戚みたいな顔で見守っていた。YouTubeであまりにも見過ぎたが為に、感情が大きくなってしまっていたのだと思う。
彼らがアップを終えて引き上げて行った後、しつこく私は後悔していた。夏に!これを!もっと長時間見られるチャンスが!あったのに!私は無駄な時間を…!
いよいよ能代科技のウィンターカップ初戦が始まった。誰の目も憚らず、大きな声を出して堂々と応援できるのはとにかく楽しかったし、嬉しかった。試合内容に関しては私は素人なので詳しい事は言えない。負けてしまったが、最後まで走り続ける姿はやはり美しかった。
そして、あっという間に試合は終わった。体感10分。楽しい時間は過ぎるのが本当に早い。
これで、3年生達を応援できる試合は全て終わってしまった。最後にちゃんと試合を会場で見られて、応援できて良かった。もうこれで悔いは無い。
次の試合もそのまま観戦したが、心ここに在らずで全く集中できなかった。
2023年12月27日、能代バスケミュージアムのXで2024年1月4日9時〜能代科技の新チームが、3年生やOBを迎えて練習試合を行うという情報が流れてきた。
まじで?3年生来るの?正真正銘、最後のチャンス到来だ。ウィンターカップの試合後に悔いは無いと言ったな。あれは嘘だ。私は7月の事を後悔している。今後も能代科技を応援するとは思うが、今の3年生が卒業後もこの情熱を保てるのかどうか自信が無い。つまり、このチャンスを逃せば能代科技に行く事自体が無いかもしれない。これは行くしかない。
自分のスケジュールを確認すると、なんと、1/3,4が連休だ(私の仕事は暦通りではないので、お正月休みなど存在しない)。
交通手段と時間と金額を即計算。行ける!これなら行ける!最悪、1人でも行く気ではあったが、例の友達に連絡したところ「行ける」と。持つべきものは同じテンションの友達だ。私はその日のうちに全て手配を終わらせた。あの夏の後悔が無ければ、ここまでしなかったと思う。後悔の念は大きな原動力となるものなのだ。
一般人である高校生男子のバスケの練習試合を見る為だけに、正月に秋田へ行く。冷静に言葉にしてみると完全にヤバい人じゃないか?という自覚はあったので、誰にも言わずに行く事にした。
2024年1月3日、私は約6ヶ月ぶりに秋田駅に降り立った。前日の羽田空港での大きな事故の影響で、少し飛行機が遅れたものの無事に秋田に着いた。
ちなみに友達は仕事後に発つ予定だったのだが、なんと乗る予定だった飛行機が欠航になった。一時は諦めようとしたが、なんとか新幹線で夜遅くに秋田に到着した。さらっと書いたが、けっこう大変だった。
2024年1月4日、私達はついに、夢にまで見た能代科学技術高等学校に来た。ソワソワしながら体育館に入り、能代工の名前が印刷されたスリッパにやや興奮しながら、見学席に座った。
もう体育館内では部員達が自由に練習を始めていた。…いる。3年生達もいる!来て良かった。もう、この時点で来て良かった。
練習試合は3試合行われた。それぞれに見応えがあったし、とにかく彼らが楽しそうにバスケをしているのが見られて嬉しかった。公式戦の時には見られない光景だ。何度も心の中で幸せを噛み締めた。
本当に、来て良かった。かかった費用なんて実質無料だ。
試合と試合の間にトイレに行った時に、3年生の1人と偶然会ってしまって、本当にびっくりした。多分、私、すごく変な顔をしたと思う。相手がアイドルだったらキャーキャー言えるが、忘れてはいけない、彼らは一般人なのだ。
こうして、楽しかった練習試合は終わった。これで本当に見納めだ。何度も言うが、来て良かった。
結局帰りの飛行機も欠航になって、その日のうちに帰れなくなり、秋田にもう1泊して、翌朝1番の新幹線に乗って5時間かけて出勤したが、完全に遅刻なので職場に理由を話さざるを得なくなり、「あれ?実家秋田だっけ?」と聞かれるも、「いいえ!秋田には縁もゆかりありません!」と正直に答えたら、なぜ秋田に突然行ったのか不審がられたりしたが、本当に行って良かった。
これが、ザファ上映開始の2022年12月から、2024年1月までの約1年間に起こった出来事だ。
これを書いている時点で分かっているのは、1月23日のザファ再上映を2回観るので、観た回数が33回に増えるだろうということ。
そして、私は彼らにもう二度と会えないだろうということ。彼らの中の何人かはバスケを続けるだろう。それがどこでかは私には分からないし、そこまで深追いするつもりもない。これだけSNSが発達しているのだから、情報を集めるのは簡単だ。もしも私が若かったら、そうしたかもしれない。
実際、今すぐに秋田の女子高生になりたい、と思った。そうすればこんな複雑な感情にはならないだろう。純粋に「かっこいい!好き!」で済んだのではないだろうか?しかし、もしも私が今、秋田の女子高生だったら彼らに興味は無いだろうということも分かっている。あくまでも【今の私】だから、彼らに興味を持ったのだ。そして、それは恋愛感情にはどうしてもなり得ない。
タイトルで『推し(?)』と書いたのは彼らが私にとって何なのかがはっきりせず、推しと呼んで良いものかも分からなかったから。自分の中で1番引っかかっていたのは、彼らが一般の男子高校生だということだ。推して良いのか?倫理的にどうなんだ?じゃあ、この気持ちは何だ?名前がつけられない大きな感情を私は持て余していたのだと思う。我ながら面倒くさい性格だ。
彼らはアイドルでは無いし、私と血縁関係も無ければ、友達や知り合いでもない。しかし、思い出を振り返ってみると、彼らは私にあんなにも幸せで楽しい時間をくれた。
だからこそ私は彼らの幸せを祈らずにはいられない。幸せでいてほしい。健やかであってほしい。
『推し』の正しい定義は私には分からないが、この感情こそ、彼らが私にとっての『推し』である証拠と言って良いのかもしれない。
ザファを31回観たら、もう二度と会えない(かもしれない)推しが出来た。
もし、彼らの中の誰かがプロ選手になってくれたらまた会えるかもしれない。その時には迷わず推していく所存だ。期待を込めて、もう二度と会えない、と断言するのはやめておく。
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