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『レポ』エドワード・ゴーリーを巡る旅

渋谷区立松濤美術館で開催されている、『エドワード・ゴーリーを巡る旅』に行ってまいりました。
ゴーリーの幼少期の絵から晩年の作品まで堪能できる、大満足の展覧会でした。
私は絵本作家としてのゴーリーしか知りませんでしたが、彼は絵本以外にも挿絵、舞台と衣装のデザイン、演劇やバレエのポスターなどのさまざまな分野で才能を発揮していたようです。

不気味で愛らしい

もし、彼の作品の何が好き?と問われたら、「不気味でかわいい小さな命たち」と答えます。

彼の作品の中には、小さな子供から動物、完全オリジナルキャラクターなどが数多く登場します。
『ギャシュリークラムのちびっこたち』に登場する、26人の子供たち、『狂瀾怒涛』に登場する黒い影のような生き物、そして『蒼い時』に登場する獏のような犬のようないでたちをした二足歩行の生き物など、挙げていくときりがありません。
しかし共通しているのは、「矛盾した要素を併せ持っている」という点です。
『ギャシュリークラムのちびっこたち』に登場する子供たちは、人形のようなかわいらしさを持っている一方で、どこか不気味な雰囲気も感じずにはいられません。
『狂瀾怒涛』では、マスコットのようなキャラクターが住んでいる世界で、人間の体の一部のようなパーツがその辺から生えていたりします。
「不気味で愛らしい」「恐ろしいけど愛おしい」「この世界から抜け出したい、でも出れない」。

人は、笑顔で怒っている人を見ると恐怖を覚えるとのことです。
彼の絵を見て感じる不安・恐怖はこの感覚に近いのではないかと私は思います。ただ、恐怖・不安を自覚しながらもページをめくる手を止められない、はじめは不気味だと思っていたキャラクターもだんだんいとおしくなってくる。もう見たくないと思っていたのに、気づけばまた本の世界に戻ってきてしまう。これが、彼の作品の魅力ではないかと思っています。

ある場面を描いた、というよりも、この世のどこかに存在する別世界の一部をそのまま切り取ったようにも見えます。その世界と絵を通してつながっていて、ふとした時に吸い込まれてあちら側へ行ってしまう、そんなことがあったとしても、ゴーリーの作品ならば頷けます。

2023年6月13日(日)まで開催しているので、興味のある方はぜひ足を運んでみてください。
売店では、ポストカード・トートバックなどのグッツを手に入れることができます。もちろん書籍も並んでいるので、展覧会で気に入った作品を見つけて購入してもいいかもしれません。

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