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焚き火の会 戸隠キャンプその三
いつの間にかテントに入ってコットの上に横になったか、なってないか?
のタイミングから記憶は無い。
早く起きて、いつもより時間がゆっくりと流れる場所に居たせいか、眠くなってから気を失い、そのまま朝を迎えるまでは早送りのようなタイミングだった。どうやらハルトとせいやが2人同じテントに就寝し、熊が出たのか⁉️と近所で騒ぎになる程のいびきだったらしい。
朝は戸隠神社にお参りさせてもらうのがいつものルーティーン。
6時前に目を覚ますとそれぞれがのそのそと焚き火に集まってくる。
今回は、wonder woodチーム不参加だったので葛西の(カチャイ)のチャイが飲めなくて残念だ。まだ暖かみを残すサウナテントに再び火を入れ一気に温度を上げる。
この入り方だと20分程入って居られる。身体から湯気を出しながらテントを出るとそこには、樹々の間から朝日が神々しく降り注ぎ改めていた。
戸隠の神秘性を体感することができる。
お清め、手水がわりに川に入る。
顔だけをうっすら水面に浮かべて川の流れに漂う。
自分だけがゆっくりと感じる時間。
朦朧としながら、整いも程々に、二台に分乗した僕たちは、車で5分ほどの戸隠神社奥社へと向かう。
午前10時を過ぎる頃には参拝客や登山者で一杯になるこの駐車場も、今の時間だとまだガラガラ。
最初の鳥居から片道約2キロを歩いてお参りする。
途中、参道沿いの見事な杉に毎度のごとく圧倒されながら随神門をくぐると、この辺りから“気”が変わる。周波数が変わる感じ。
杉の出立もさらに立派になってくる。いつも参拝させて頂くときにはゴミを拾うのだけど、すれ違った参拝客の中に、火バサミとゴミ袋を持って参拝してらっしゃる方がいた、
「なる程そうすれば良いのか‼️」
ここでも学びがある。
階段が出てくるともう直ぐそこに御目当ての神社はある。
最後に急な階段を登り終えると、改めて手水を使い参拝する。
手を合わせて思い浮かべるのは、
「いつもこんな体験を本当にありがとうございます」それだけ。
奥社の後に九頭龍社をお参りし、今上がってきた階段を下り始める。
さっきの随神門の辺りまでくるとやっぱり気が変わる。
行き帰りの小1時間のんびりと色んなことを話す。
いつの間にか定番になった、登り口の蕎麦屋の自販機で飲み物を買ってそれぞれ喉を潤おす。朝一でサウナに入り、参拝をすませてリアルゴールドを飲む。まだ7時過ぎだ。
お腹を空かせて、ベースキャンプに戻ると森山がタコ飯を炊いてくれていた。
僕らは手早く囲炉裏を整え、福井のノドグロ、そして気仙沼の金華サバを焼き始める。
昼過ぎまでと滞在が決まっているので、朝からビールで乾杯した。
毎度のことだけど干物って本当に素晴らしい。
みんなで大切に大切に焼いたサバの旨さ!
遠赤外線で外はパリッと中はとてもジューシーに焼き上がる。
そうするうちに味噌汁が配られ始めた、これは、、、、!
海なし県から参戦なのに何故か海鮮をふんだんに持ってきたたかよしの鯛のあらだ。
昨日のうちから仕込んであったアラ汁。ザックリと切られた白葱が効いている。
素晴らしいダシだ。そこにタコ飯。これにはトリュフオイルを少しかける。
しもついのタコから出た塩分と旨味がご飯に染みこみ、その香りをトリュフが包みこむ。
贅沢な贅沢なタコ飯だ。
皿の上にサランラップをしいて軽く握りながら追いトリュフオイルをかけて食べる。
そこに鯛のアラ汁を流し込む。
口から喉、胃にたどり着くまで細胞が旨味を吸収していくのを感じることができる。
みんなこの朝ご飯にノックアウトされ、無言になってしまった。
ゆっくりした時間を再び楽しむかのように、うたた寝をしたり、もう一度サウナに入ったり、それぞれ思い思いに過ごす。日曜日ということもあってキャンプ場は段々賑やかになってきた。
11 時を過ぎた頃片付けが始まる。
自衛隊並みな撤収の速さが僕らのウリ。各自持ち場を把握してテキパキと動く。
一夜限りのレストランはあっという間にただの川辺に戻った。
名残は尽きないけれど、僕らはそのまま東京に直帰するチームと、今回のもう一つのメインイベント、サンザに向かうチームに分かれた。
サンザは佐久平にあるレストランで、モーリーがハワイの中澤親方に、人生で絶対に行った方がいいレストランを聞いたところ、ニューヨークのレストランとこちらサンザを薦められたとのこと。
今回タイミングよく戸隠キャンプに合わせることができた。
サウナに入っているもののお風呂には入っていないし、2日間燻された僕らはとてもスモーキーだった。
時間もあるので、長野市内の温泉センターに寄ることにした。
中々の混み具合だったけど、サウナもあって水風呂は17度くらい。
外気浴できる露天風呂もあって、周りは景色も素晴らしく長野の山々を眺めながら、ゆっくりと整うことができる。素晴らしい施設だった。
のだけど、、
そりゃあの環境には敵わない。
長湯はせずに、
アッサリとモーリーからもらった炭酸シャンプーで頭を洗い(煙の匂いが取れるらしい)そそくさと風呂から上がってしまった。そのまま受付に行って足裏マッサージを予約しようとしたところ、満席で仕方なくフルーツ牛乳かって歩いていると、コインのマッサージ機が置いてある。
よく見ると“無重力マッサージ機”と書いてある。
「無重力だと⁉️」
自販機で牛乳を買おうとしてた梅ちゃんと目が合って、「無重力だと⁉️」
マッサージ機に座ると、ハルトも反対側でマッサージスタートしている。フルフラットからさらに頭が下がる無重力スタイル。
200円投入すると中々の圧、フットもハンドも申し分のない包み込み。
10分はあっという間に過ぎる、当然のようにおかわり。日本の技術は凄い‼️
なんだか得した気分で施設を後にした一行は、お目当のサンザへ。
運転役のモーリーには悪いけど全員大爆睡。目を閉じて、目を開けたらサンザについた。
高原の谷あいにある静かな一軒家のレストラン。
聞けばレストランで使っている野菜を作っているニックさんの畑に連れて行ってくれるという。そのまま車に乗って5分くらいのニックさんの畑に向かう。
公民館を目印にして車も公民館に停める。そこからは徒歩だ。
佐久平は日中でも涼しいので軽いハイキングだと汗もかかない。
ただ白いビーサンが気になるだけだった。坂の中腹ほど、畑の入り口にニックさんは居た。
ニックさんは農業研修生でフランスから日本にやってきて、この佐久平の地を気に入って家を買い、少しずつ畑や田んぼを手作りで拡げてきたそう。
畑を案内してくれるニックさんについていくと、色んなハーブを千切って渡してくれる。そのまま口にするとどのハーブもエネルギーが強い。
僕が気に入ったのはレモンバジル、イタリアではバジリコと呼ばれるハーブ。
ちぎりたてはこんなにも美味い。その他にもビーツや野菜をニックさんは次々と千切ってくれる。どれも魂を込めたジャブなしの右ストレートだった。
何で佐久平なのかを聞いてみた。
先ずは、気候が素晴らしい。ヨーロッパ野菜を作るに適していて、温度が上がらないので変な害虫も居ない、軽井沢にも近いし、とっても住み良いと。
人生を生き直すとしたら、こういう選択が出来るだろうか?
成り行きで決めることと、決めてから動くことは違う。
''''"人生の価値の2割は合理的なもので、残りの8割は非合理的なものだ""""
ニックさんの畑を後にして
サンザへと戻ると、景色を見渡せる外のテーブルに案内してもらった。
ココでの一杯目はシャンパンでもビールでもなくフレッシュトマトジュースだった。
上から深い山々、棚になる田んぼや畑、側を流れる小川の音、そういう環境でこの土地で育った野菜の前菜を食べる。優しくて身体に滲みる真心のこもった料理。
室内に移動してからも、近くの川で元校長先生が捕った岩魚や、漁師さんがその場でしめた香りの良い鹿肉、東京で食べるジビエはなんだか傲慢な気がしてあまり得意ではないのだけど、こういう場所で食べるとジビエも自然なものとして自然に受け入れることができる。
最後に出された、至極のフレッシュハーブティーを飲み終わっても、まだまだ会話は尽きそうになかった。
最近よく考える、人生で必要なもの。
やっぱり合理的なものは2割程度で、残りは非合理的なものだと考える。
遠廻りが味わいを作り出すのだと。
そうすると最短距離で無駄なくということが(仕事は除いて)
空しく思える。
こういう機会をこういう仲間と共有できること。
僕らはとても恵まれている。そのことに改めて感謝する2日間だった。