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拝啓 ~大切なあなたへ~④
生まれるとね、
別室に新生児とお父さんは移動して、
身長体重を計測したり、指の数を数えたり。
あとね、
お母さんより先に抱っこできるんだ。
だからあなたのことを初めて抱っこしたのは、お父さんなんだよ。
「私たち家族にもとへようこそ」
声をかけたの覚えてるかな。
その時も、あなたはたくさん泣いてくれたね。
あなたの健康状態をチェックして、
お母さんのもとへ戻ったね。
先生は言ってたよ。
「良いお産だった!!!」
って。
良いお産ってなんだろうね。ほんとに。
あなたは保育器に入って、
そこでもあなたは一生懸命泣こうとしてたね。
あのね、
保育器に入ってるあなたをビデオに撮ってないの。
だってさ、
これから何分も何時間も何年もあなたのことビデオに収めるつもりだったから。
お父さんがお家に帰ろうとしたときくらいかな、
助産師さんがあなたの呼吸を気にしてたんだ。
記録した数値をすごく真剣に見てた。
あなたに向かって、
「もっとたくさん泣いてー」
って言ってたんだ。
無事に産まれてくれた喜び。
母体も無事だった安心。
これから始まる4人家族の生活へのわくわく感。
そして、
消えない胸騒ぎ。
そんな感情でお家に帰ったよ。