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映画「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」

今、日本で起こっている森友学園・加計学園問題とジェンダー問題などを彷彿とさせる作品。アメリカで47年前に実際に起きた事件をモデルとしている。国家の機密文書流出により、アメリカ連邦議会の不正が明らかになるというもの。そのスクープをめぐり、連邦議会(国)が報道機関に圧力をかけてくる中、「報道の正義」「報道の自由」を守り切ることができるか否かという点が大きなテーマの一つとなっている。

原題は「The Post」。今作はワシントン・ポスト社という地方新聞社からの目線で描かれているため、この原題がピッタリくる。ペンタゴン・ペーパーズを探し出すことを主眼に置いた物語ではない。

ベトナム戦争が長期化する中、国防総省がベトナム戦争についての調査・分析した文書が7000枚以上にも膨れ上がり、「ペンタゴン・ペーパーズ」とよばれ、この文書は国家の最高機密に位置づけられていた。なぜ、「ペンタゴン・ペーパーズ」が最高機密文書として扱われていたのか。

ここからネタバレありです。あしからず。


ベトナム戦争が長期化し、客観的に分析・調査した報告書が7000枚にも渡っていた。その調査結果の中には、多くの兵士がつねに命の危険に晒されていることもハッキリと明記されていた。その調査結果を知りながら、アメリカ連邦議会は手を打つことなく、兵士として若者を戦地に送り続けていたのであった

この点が連邦議会(国)にとっての「爆弾」なんですね。要するに国家は国民を見殺しにしていたのである。その文書の一部を入手し、一報としてすっぱ抜いたのがニューヨーク・タイムズ誌であった。ニューヨーク・タイムズ誌は全国誌、日本でいうところの朝日新聞や読売新聞など。しかし、その記事の内容が国家の安全保障を揺るがすものとして、ニクソン大統領はニューヨーク・タイムズ社に対し記事の差し止め命令を議会に要求。その結果、諜報活動取締法や国家反逆罪に問われかねないという報道機関への圧力が増していくのであった。

今作の主人公は、地方紙であるワシントン・ポストのトップでアメリカ主要新聞社史上初の女性発行人キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)と、編集主幹であるベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)。

弱小ローカル紙であるワシントン・ポストはスクープを取って、全国誌に名を連ねたいという所願があった。しかし、それ以上に報道機関としてベトナム戦争により最終的に58,220人のアメリカ兵が死亡し、100万人以上の命が犠牲となる直接の原因となった政府のやり方、そして、その事実を隠蔽していたことについて報道する義務があると考え、ニューヨーク・タイムズ社が手に入れた文書の残りについて入手に急ぐのであった。

しかし、文書を手に入れて記事にした場合、国家反逆罪に抵触する可能性も秘めており、また同時期にポスト社は株式を公開しており、公開から1週間の間に何か事件を起こせばすべてが白紙に戻るという緊迫した状況にあった。

そして、その決断を下すのがポスト社のトップであるキャサリン。彼女は婿としてポスト社を率いていた夫を亡くし、主婦だったところから41歳で経営を引き継いたのであった。ポスト社は彼女の一族がつくった会社で、1971年当時、女性がトップにいる会社は皆無に近く、決定権があるのは男性で「女のくせに」「女になんて任せられない」「女だから仕方ない」「経営の素人のくせに」「女には勇気がない」などなど、働く女子ならデジャヴを感じざるを得ないような言葉や視線を浴びながらも、会社の存続・家族や友人との関わり、そして何より報道機関としての使命感・人としての良心などすべてをかけて決断を下したのである……。

いやはや、この決断は女だからとか男だからとか関係がなく、本当にしんどい決断だったと思う。しかし、職業人として・人として、どんなに苦しくても決断しなくてはならない時があり、そんな時に自分はどういった行動が取れるのか?正しい道はわかっていても、その道を行くのは大変困難である。そんな中で、正しい道に行ったキャサリンの勇気に拍手を送りたい。

さて、今作で特に素晴らしいと目を奪われたのが、メリル・ストリープの衣装。どれも本当にマーベラス! 大人の女性でしか出すことができない品が漂っている。これがいわゆる上流階級の人の働く服装なんだろうなぁ。

モデルとなった御本人はこちら。御本人のファッションの大変ステキ♥

上流階級のパーティーシーンではこちら。洒落とるなー。

カジュアルもいいわよー。こんな服が似合う大人になりたいもんです。もうだいぶ大人だけどね…。

#映画 #コラム #ペンタゴン・ペーパーズ  #015 #0408

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