マンガ「先生の白い嘘(4)」鳥飼 茜
このお話は、地味な高校教師の美鈴(25歳)が、自分と初めて関係を持った男性(親友の恋人)や、親友(典型的なマウンティング女子)、そして美鈴に想いを寄せる高校生男子、そのまわりの女子学生など、様々な形で「性」「男女の性差」「SEXという名の暴力」など、なんと表現してよいのか難しすぎるものを描き出している。
第4巻に来て、どんどん強烈になっていってるけれど、作者の鳥飼先生はどこへ向かっているんだろうか?
鳥飼先生は女性だろうし、読んでいるこちらも胸が苦しくなるような表現が多数あり、ちょっと心配になるくらいの話の展開。しかし、描かずにはいられないんだろうなぁ。
この作品は結構前に読んでいたのですが、強烈すぎて、なかなか書けずにいて、ずっとモヤモヤしていました。このモヤモヤは自分が女で性的な対象なんだと理解した時からずっと消えないし、今でもモヤモヤしている。
マンガはもちろん、下記のツイートとWEBの記事を読んで、少しだけど糸口?のようなものが見えた気がしました。
以下、瀧波ユカリ先生(マンガ『臨死!江古田ちゃん』『あさはかな夢みし』の作者)のツイートをそのまま抜粋させていただきました。
■瀧波ユカリ 冬は熱きホルモンを噛む @takinamiyukari 12月7日
性欲って言葉のあいまいさについて最近考えてるんだけど、セックスしたいって意思が立つ前には「好きな人の一番になりたい」とか「人肌で癒されたい」とか「劣等感を捨てたい」とか「服従させてスッとしたい」とかいろんな欲求があるわけで、でも全部「性欲」で一緒くたにされてるの、雑だなと思う
■瀧波ユカリ 冬は熱きホルモンを噛む @takinamiyukari 12月7日
性犯罪の加害者がよく「性欲を抑えきれず」と言うけど、抑えきれなかったのは性欲じゃなくて嗜虐心や征服欲で、それを満たすために自分と他人の性を濫用したってことでは?と思う。どうしようもない本能的な欲に負けた、みたいな言い方で、苛めたい、虐げたいって欲の存在を隠してる気がする。
■瀧波ユカリ 冬は熱きホルモンを噛む @takinamiyukari 12月7日
だれでも食欲とかと同じように性欲ってものがきっちり備わってるってことになってるみたいな、言葉の扱いの雑さ、掘り下げの成されなさ。そこ、「母性」と似ている気がする。
モヤモヤしていたことの一部が言語化されてる!瀧波ユカリ先生もすごいな。マンガ家さんって本当に尊敬に値する。ずっと色んなことを考え続けて、自分の名前で発表している人の覚悟や思考って半端ないな、と思わされる瞬間です。
あと、こちらの記事『男性が知らない。すべての女性がやっていること』も深く考えさせられた。
http://www.huffingtonpost.jp/gretchen-kelly/thing-all-women-do-that-you-dont-know_b_8735974.html
しかし、こういった記事は本意が伝わりづらいというか、同じ女性でさえも「私はそんなこと思わないしぃ~~」みたいな感じでモテアピールにすり替えてくる人がいる(…気がするよ)。これは男女別姓・同姓の議論の時にもヒシヒシと感じる。そこが話しの本質じゃないんだけど、伝わらない。同じ女性なのに、まるで異次元の人のように感じることがある。色んな人がいるから当たり前なんだけど、「性」ってとても根源的なことだから、女性同士でこの感情が伝わらないのは結構キツい。
それにそういう話しをする場も女性同士でさえもない。なので、こういったことを考え続けている人がいるんだ、自分だけじゃないんだ、という安心感に似た感情をこのヘビーなマンガの内容からも感じている。
この先いったいどういう展開になるのか予想はつかないけど、鳥飼先生を信じて続きを待ちたいと思っています。