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映画『哭声 コクソン』

す……すごかった。笑いと恐怖のジェットコースター。波に飲み込まれては吐き出される感じ。『もういいよ、いつ終わるのこれ?』と何度も思いながら、気になってチラッと見てしまい、じっくり見るのエンドレス。

韓国映画は、映画なのに匂いや体温、湿度なんかが、ねっとりと伝わってくる。それが一段と恐怖をあおってくる。血の匂い、雨にまじった地面の匂い、饐えた体臭、キムチや肉なんかの食べ物の刺激臭…。おえっっ。

平和な田舎の村に、得体の知れないよそ者がやってくる。彼がいつ、なぜこの村に来たのか誰も知らない。この男について謎めいた噂が広がるにつれ、村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発していく。そして必ず殺人を犯した村人は、濁った目に湿疹で爛れた肌をして、言葉を発することもできない状態で現場にいるのだ。事件を担当する村の警官ジョングは、ある日、自分の娘に、殺人犯たちと同じ湿疹があることに気づく。ジョングは娘を救うために、よそ者を追い詰めていくが、そのことで村は混乱の渦となっていき、誰も想像できない結末へと走り出す――(公式サイトより抜粋)

ちょっとダメだけど人の良い田舎の警官のジョング。しっかり者の娘と妻、義母と、それなりに楽しく暮らしている。村で起きた連続殺人事件を調査していたはずが、次第に得体の知れないものに巻き込まれていく。

はいっ!もうね、全ーーー然意味がわかりませんでした。とにかく人が惨殺される。しかも変な発疹ができてるし、殺され方もむごたらしい。薄目で見ていた。しかも、現場には常に大雨降ってるし。キモいーーー。

物語では3名の鍵となる人物が登場します。

一人目、「日本人」で「よそ者」である國村隼。生きた鹿を喰らい、褌一丁で森を走り回り、誰との接触も持たずに山の中の小屋で暮らしている。文章にするとただのおかしな人で、そんな人が怖いの?と思うでしょうが、が、マジ怖いです。客観的に見ると笑えるけれど、目の当たりにしたら腰抜かすぞ。

二人目、高名な祈祷師のイルグァン(ファン・ジョンミン)。見るからに怪しい。しかも、携帯もある現代において祈祷師って…。人間は怪しいものにも頼らざるをえない時があるんだなぁ。日本で言うところの狐憑きとかを退治する人なのかな?

3人目は謎の美女。この女性、要所・要所重要な場面に出てくるのですが、何がしたいのか、なぜここにいたのか、さっぱりわからない。

……で、これ以上説明しようがないので、ネタバレもできない。あまりにわからなすぎて、答えを求めてググってみたところ、こちらの感想に行き着きました。読んでみたところ「なるほどな~~。ホント納得!」と感心した次第。映画の批評ってすごい。感想しか書けない私とは違うな。今回は感想にすらなってないし。怖いしか言ってない(苦笑)

■ハテナのブログ「物語る亀」

http://blog.monogatarukame.net/entry/kokuson

物語を紐解くキーワードは『キリスト教』。オープニングでもはっきりと描かれていたし、要所・要所そうなんだろうなという描写も出ていたけれどキリスト教信者じゃないので、まったくわからなかった。

『お嬢さん』『アシュラ』『コクソン』と立て続けに3本韓国映画を見てきたけれど、韓国映画の底力をまざまざと見せつけられた。今作はテーマが『宗教』だが、それは『裏のキーワード』であって、わからなくても楽しめる。謎が多いので解き明かす楽しみもあるし、単純に怖がることもできる。

しかし、こんな映画、日本じゃ流行らないし、作らせてももらえないんじゃないかな。イケメンも美女も出ていないどころか、ほぼおじさんしか出てこない。しかも虐殺物。これを700万人(って盛ってるだろうけど)動員した韓国ってどんな国だよ。映画に対する成熟度がすば抜け出てる気がする。すごいわ。

#映画 #映画評 #感想 #コラム #コクソン #016

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