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映画『あぁ、荒野~前編~』

なんでこんなに興奮するんだろう。惹きつけられるのだろう。映画を観ていてこんな感覚になったのは久しぶりだ。こんな体験ができるから映画を観ることはやめられない。

こちらの映画、前編・後編に分かれている上に、前編だけで約3時間! 知らずに見たけど全然飽きない。なんならもっと来い!という感じである。

メンバーも最高! 主人公に菅田将暉、ヤン・イクチュン。その脇を固めるメンバーにユースケ・サンタマリア、木村多江、でんでん、モロ師岡、などなど、ミーハー感ゼロの実力派俳優陣ぞろい。隙がない言うことなし!

孤児で振り込め詐欺グループのリーダー格だった新次(菅田将暉)はチームのトラブルに巻き込まれ殺人未遂で少年院へ送致された。刑期を終えて戻ってきたが、仲間はもちろん居場所もお金もなくなっていた。そんな時に偶然出会った”バリカン”(ヤン・イクチュン)とともに”片目”(ユースケ・サンタマリア)のボクシングジムでプロのボクサーを目指すことになるというストーリー。

新次はとにかく手加減を知らないド直球な性格。孤児院で育った境遇からも闘争心がハンパない。そうでなければ生きてこられなかったからだ。狙った女に対しても、憎むべき人物にたいしても「自分」という存在の全てでぶつかっていく。「まぁこんなもんでいいか」ということがまるでない。

一方のバリカンは、韓国人と日本人のハーフで、学生の頃に母親を亡くし、父親(モロ師岡)と共に日本へ住むこととなった。そういった境遇からか人前で話そうとすると”どもり”を発症してしまう。理髪店で働きながらも、そんな自分や今の境遇を変えたいという想いからボクシングを始める。しかし、相手にパンチを当てることはもちろん、目を合わすことすらできない。

そんな性格が真逆のような二人だが、お互いの奥底にある孤独や空虚な心が互いを否応無しに引きつけ合う。新次とバリカンはいわば「動」と「静」「表裏一体」なのである。

映画を観ていて、なんでこんなに興奮したのだろうか?  この物語の中にはいわゆる「社会の底辺」の人たち、自分では変えることができない境遇から辛酸を嘗めまくっている人しか出てこない。「普通の家庭」で育ち「普通の生活」を送っている人が一人も出てこない。浮かびあがりたくても「浮かび上がるって、どこに?」というレベルの人たちが主人公なのである。

ほぼ絶望しかない中、新宿という「荒野」を舞台に、何かを掴み取ろうともがきながら前進していく姿に心が持っていかれる。
クソみたいな世の中なのに、なんでこんなにキレイなんだろう?と思えるくらいキラキラと輝きを放つ瞬間がある。目が離せない。それこそが「生きている」ってことなのか。

ストーリー的にご都合主義的なところは満載ですが、そこを気にかけてはこの映画は味わえません。ささいなことは無視をして、俳優が放つ熱量と、新宿という街が持つエネルギーの凄さに身を委ねてください。(↑上の森山大道先生の写真もステキすぎる)

ラストに後編の予告をやるのですが、ネタバレされたくない人はさっさと席を立ってください。気がついていたけど、そこそこのネタバレされますのでご注意を!

さて、余談です。

がっつりとしたベッドシーンも出てきますよ。ガンガンやりまくります。菅田将暉のファンはどう思うのかしら? ワタクシとしましては、菅田将暉のおしりを存分に堪能させていただきました。ありがたやー。ありがたやーー。本当に美しかったっす。(オバハンのセクハラ発言お許しを!)

相手役の女の子がもうちょいと美人だったらもっとハマれたのになー。まぁ、このベッドシーンをOKできる女優さんはそうそういないか。

#映画 #映画評 #コラム #037 #ああ荒野

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