〜自然、そして、生きること愛することの凄み〜映画「レヴェナント:蘇りし者」
上映時間3時間!?。トイレ我慢できるのか?
時間はもちろんだが、映像が本当に凄まじい!正直、ここまでとは思っていなかった。やっぱりアカデミー賞ってダテじゃないんだということよりも、この作品を作り上げた監督・キャスト・スタッフの執念に脱帽する。映画でしかできない濃密な体験をすることができた。
ほとんどネタバレせずに観たので、その方が楽しめると思いますが、一応、簡単なストーリーを。
1823年のアメリカ北西部を行く狩猟の旅の途中、主人公のヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は不慮の事故に襲われ瀕死の状態となり、さらには愛する一人息子を目の前で殺され、置き去りにされてしまった。
侵略するアメリカ人と、侵略される現地民。そんな現地民と恋に落ち、息子を授かった主人公のヒュー。アメリカ人でありながら微妙な立場となる。荒れ果てた未開の荒野のため、食料や燃料、生活用品を得るために人間同士が殺し合い、侵略しあう。そこには凄まじい憎しみが生まれていた。
瀕死の重傷を負い、さらには愛する息子まで奪われ、復讐のために一心不乱に生き延びようとするヒュー。しかし、ヒューの前には極寒の大地、雪の壁、さらには勢いの凄まじい河川、そして原住民族からの激しい突き上げにも合う。
今作でレオナルド・ディカプリオは悲願のアカデミー賞主演男優を獲得した。そりゃそうであろう。人間の情念や愛情の凄まじさを、まざまざと目の前に見せつけてくれた。
また、監督のアレハンドロ・G・イニャリドゥは2年連続でアカデミー賞に輝くという華々しい快挙を成し遂げた。2000年に東京国際映画祭でグランプリを獲得した『アモーレス・ペロス』の会見で監督はこのようなコメントをしていたようだ。この映画観ていたのに今まで知らなかった。
「人は失ったもので形成される。人生は失うことの連続だ。失うことでなりたかった自分になるのではなく、本当の自分になれるのだ。」
監督は息子さんを亡くされているようで、今作レヴェナントでも父子の愛情というものが根幹に脈々と流れており、また監督自身、メキシコ出身者であり、「自分の世代で肌の色による差別をとめたい」というようなコメントを目にした。クエンティン・タランティーノ監督の『ヘイトフル・エイト』でも白人が黒人を差別し、黒人がヒスパニック系を差別するという構図が描かれていた。
『復讐の先に、何があるのか』
というキャッチコピーの通り、復讐や差別がどういった結果を生むのか、そしてその先に何があるのか?ぜひ、映画館で目にして欲しいと思う。
映像はもちろん坂本龍一教授の音楽も本当にすばらしいです。目も耳も、身体全体で圧倒されます。観に行ってよかった!
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