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流行のつけペンを左利きが選ぶには②特殊ニブやガラスペン
筆圧や書き癖の関係で、どうしてもオードソックスなつけペンが使いづらい左利きの方もいるだろう。実は、つけペンにはさまざまな種類があるのだ。前回、挙げたつけペン以外の選択肢として紹介したい。
▼前回の記事はこちら。基本的なつけペンの仕組みから、左利きのつけペン選びの考察を書いた。
ペン先エトセトラ
書きたい線の種類に合わせてペン先(ニブ)が選べるのが、つけペンのいいところ。ペン先の中でも左利きが使いやすいものを選んでみた。
オーナメンタルニブ|ブラウゼ
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左利きはつけペンを押し書きすることで、紙に穴を開け、必要以上にペン先を広げてしまう。ならば、ペン先の丸いものを選べばいいのだ。
ブラウゼの「オーナメンタルニブ」は線幅が均一な線の「モノライン」を書くために作られたペン先。見ての通り、平らで丸いペン先が特徴だ。
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元々はハンドレタリング(デザインされたおしゃれな文字)を書くためのもの。しかし、0.5mm幅から5.0mm幅まで豊富な太さのペン先がそろうので、字を書く選択肢としても使える。丸みのある愛嬌のある文字が書きたい人におすすめ。
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スクエアニブ Bandzug-Left|ブラウゼ
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西洋の書道である「カリグラフィー」。カートに美しくデザインされたアルファベットに憧れる方もいるだろう。実は、左利き用のペン先もいくつか売られているのだ。その中でも個人的に書きやすいのが、ブラウゼの「スクエアニブ Bandzug-Left」である。
右利き用はペン先が並行、または右下がりになっているのに対し、左利き用は左下がりになっているのが特徴。
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やはり、アルファベットも「左から右に」書くので、右利きよりも工夫して書く必要がある。
用紙を右下がりにセットする
インクをこすらないように気を付ける
実際に私もチャレンジしてみたが、思いのほか難しい。線の処理がきれいに書けないのだ。もう少し練習してコツをつかんだら、記事にまとめてみたい。
左利き用カリグラフィーニブ
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私が持っているペン先は以下の3種類。
ブラウゼ スクエアニブ Bandzug-Left
スピードボール 左利き用ペン先 LCシリーズ
ウイリアム・ミッチェル ラウンドハンドニブ左用
先に挙げたブラウゼのペン先が一番硬く、中間がスピードボール 、最後に挙げたウイリアム・ミッチェルのペン先が一番柔らかい。ペン先が柔らかくなるほど強弱のついた線が書けるが、その分、ペン先の筆圧コントロールが難しくなる。初心者の方にはブラウゼかスピードボールをおすすめしたい。
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流行のガラスペン、実は左利きも使えます
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その名の通りガラスで作られたつけペン。全体がガラスでできたものと、ペン先のみガラス製で、軸は木や竹、アセテートなど別素材のものがある。
ガラスペンも、オードソックスなつけペンのように、毛管現象を利用して書く。ガラスペンはペン先にたくさん入った溝でインクを吸い上げるので、オードソックスなつけペンよりもインク持ちがいい。
<引き書きの場合>
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ガラスペンを作っているガラス工房やメーカーによって書き味はさまざま。スルスルと滑るような書き味や、しゃりしゃりと独特のかすかな引っかかりを感じる書き味など、各工房のこだわりが感じられる。
<押し書きの場合>
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ペン先に方向性がないので、押し書きでも安定した書き心地。
ただし、「しゃりしゃりと独特のかすかな引っかかり」を感じるように作ったペン先は、押し書きのとき「強い引っかかり」になってしまう場合がある。左利き向けに調整してくれるガラス工房もあるので、相談してみてほしい。
また、筆圧が強い場合も注意が必要だ。ガラスペンの筆記線の太さは、ペン先そのものの太さにあたる。細字の場合、強い筆圧をかけるとペン先を折ってしまう可能性も。「ボールペンがすぐ壊れる」タイプの左利きは、まずは中字からチャレンジするのをおすすめしたい。
技術が光る金属ペン先はいかが?
最後に挙げるのは、ガラスペンの技術を応用して作った金属のペン先だ。一度購入すれば、お手入れしながら半永久的に使えるのもうれしいポイント。
Metal nib|カキモリ
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オーダーノートやインクスタンドなど、「たのしく書く人」にうれしいアイテムがそろうKakimori(カキモリ)。「丈夫で手軽なペン先を」という願いから、金属のペン先を作り出した。
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ペン先は2種類。劣化しづらく細い線が書けるステンレスと、経年変化を楽しめる真鍮、好みのものを選んで欲しい。ペン軸のサイズは標準タイプを採用しているので、さまざまなペン軸を使える。
私はステンレスを購入した。ペン先の角度によって線の太さが変えられるところがおもしろい。
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推奨されている筆記角度は45°だが、垂直に傾けるほど細い線が書ける。参考までに90°・45°・15°で書き分けてみた。ペン先を並行近くまで倒すと面で塗れる。
DRILLOG
ドリルを思わせる見た目のDRILLOG(ドリログ)。これもつけペンの仲間なのだ。
ペン先に入ったねじ切りのような切れ込みに、たくさんのインクが吸い上げられていく。ペン先の表面に特殊な加工を施すことで、インクを安定して保ち続けられる。丈夫なステンレス製なので、筆圧の強い方でも使いやすい。
現在、ペン先は0.5mmと0.8mmの他、イベントなどでの対面販売で0.2mmを取り扱っている。線幅は使うインクにもよるが、一定の太さで引けるのが特徴。
ペン軸は独自規格で、インダストリアルな雰囲気を漂わせる。シンプル&かっこいいデザインが好みの方にはたまらないだろう。
私はDRILLOGを持っていないが、左利きユーザーさんがいるので今回取り上げた。都心近郊に住んでいたら、今すぐ試筆するのに…ぐぬぬ…(地方住み)となっている。
探せばきっとみつかる、左利きのつけペン
探してみると、つけペンにもさまざまな種類があることがわかる。ありがたいことに、従来の技術に新しい発想を取り入れたペン先や、手に取りやすい価格帯の物も見つかった。
右利きの人よりつけペン選びに苦労する左利きだが、運命の1本を見つけたときの感動はひとしお。ぜひ自分に合ったつけペンを探してみて欲しい。
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文具マガジンやっています。道具として使っている文具と、完全に趣味趣向の文具、どちらも好きで紹介しています。
▼「左利き向け文具」記事まとめはこちら。ボールペンや万年筆など書く文具から、ハサミや定規まで幅広く紹介。
▼初心者向け「ガラスペン」記事はこちら。ガラスペンの魅力から使い道までまとめた。
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